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蒼と紅の雷霆

作者:setuna
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蒼き雷霆ガンヴォルト
  プロローグ

 
前書き
蒼き雷霆ガンヴォルトはロックマン要素多々だからニヤリとなるところが一杯 

 
第七波動(セブンス)能力者… 。

数十年前から人類に現れるようになった超能力者の総称・第七波動と呼ばれる超常的な能力を生まれながらに備えた新人類…。

それにいち早く目をつけたのが、当時新エネルギーの研究を進めていた“皇神(スメラギ)グループ”だった。

皇神の歴史は古く、その母体となった組織の設立は平安時代にまで遡ると言う…。

現代における皇神は、電力会社を中心とした巨大複合企業体(コングロマリット)だが、国のエネルギー供給を一手に担う彼らをこの国の影の支配者と呼ぶ者も少なくはない。

事実、当初は大きな混乱を呼ぶと思われた能力者達の出現も、彼らの統制によってこの国は、他国とは比べ物にならない治安レベルを維持していた。

…しかし、皇神のもたらした平和とは能力者の犠牲によって成り立つものだった。

“能力者の保護”を名目とした強制収容…。

“エネルギー研究”の過程で行われる数多くの人体実験…。

それらの非人道的な行いは、皇神によって巧妙に隠蔽されていたが、その中でいち早く真実に気付き皇神に抵抗を始めた組織があった。

私設武装組織・“フェザー” 。

それは、海外の能力者による人権団体が母体となり結成された、“反皇神”を掲げるレジスタンスグループである。

それに蒼と紅の2人の兄弟が加わるのはそう遠いことではなかった。

皇神の研究施設の一室に1人の少年が目を閉じて壁に背を預けていた。

少年の容姿は銀髪と白い肌にかなり整った中性的な顔立ちをしている。

しかし、その体には所々に傷があり、目を閉じているのにも関わらず、まるで抑え切れていない憎悪を放っていた。

時々、体から紅い火花が散る。

これは少年のみに発現した現在研究中の第七波動・蒼き雷霆(アームドブルー)の派生種と言うべき皇神の研究員が命名した紅き雷霆(アームドレッド)である。

この少年は同じ蒼き雷霆の被験体の中でも特別に強い帯電体質を持っていた為にその体質と蒼き雷霆の能力因子が見事に噛み合い、紅き雷霆へと昇華されたのである。

だが、だからと言って少年の人生がマシになったと言うわけではない。

寧ろ新たな第七波動となったことで、研究による苦痛は他の被験体よりも酷くなり、限界まで体を酷使された挙げ句、強すぎる能力の為に“プロジェクトには使えない”と研究員から蔑まれて、一方的に殺処分が決められてしまった。

しかし、それを悲観することはなく、それどころか少年はこの時をずっと待っていたのである。

自己流ながらも第七波動の制御が出来るようにして、何時でも牙を向けられるように…まさか研究員も荒削りながら第七波動の制御が出来るようになっているとは思わないだろう。

そして扉が開いた瞬間、紅い雷撃が迸った。

皇神の研究員と警備員の悲鳴が響き渡り、少年は施設を駆け回る。

ずっと研究によって傷付いた体はすぐに体力の限界を迎えるが、怒りと憎しみによってアドレナリンが分泌されて限界など関係なしに動く。

「ふーっ…ふーっ…」

研究施設の皇神関係者を皆殺しにした少年は返り血を浴びて血塗れになり、息を荒くしながら研究室の研究台に寝かされている自分とよく良く似た少年を見遣る。

「っ…」

先程の殺戮を見た少年の表情には怯えがあったが、彼は少年の拘束を外すと起き上がらせた。

「…お前、立てるな?」

「う、うん…」

「他の皇神の奴らが来る前に逃げるぞ」

「え?」

少年を強引に立たせると、少年を引き連れて、彼は研究施設から逃亡した。

これが後に雷霆兄弟と呼ばれることになる少年達の出会いであった。 
 

 
後書き
しばらくは路上生活で、それからフェザーに保護されます。 
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