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ある晴れた日に

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715部分:清き若者来るならばその一


清き若者来るならばその一

                  清き若者来るならば
 吉見が親子共々捕まったという話はすぐに一同にも伝わった。皆病院に向かう中でその話をしていた。
 今日から冬休みだ。それで皆朝から未晴がいるその病院に向かうのだった。
「何か凄いことになってるな」
「そうだよな」
 まずは野茂と佐々が話をしていた。全員冬休みなので私服である。
「まさか麻薬とかまで出て来るなんてな」
「親父まで捕まったしな」
「それは予想外だったな」
「そうだな」
 今度は坂上と坪本が話す。
「あの親父もとんでもない奴だったんだな」
「噂はあったけれどな」
 実際に前からかなり悪い評判のある父親だったのだ。彼等はそのことも既に知っていたのだ。その吉見を調べているうちにだ。
「それでも。あそこまでだったなんてな」
「何か洒落にならない筋からの話も出てるらしいな」
「みたいだな」
 彼等は口々に話していくのだった。
「あのテロ国家の出先機関とも懇意で」
「拉致にも関わっていたらしいな」
「とんでもない奴だったんだな」
「しかもよ」
「そうそう」
 女組も眉を顰めさせて吉見の父親のことを話すのだった。
「過激派ともパイプがあって」
「資金提供もしていて」
「今わかってるのでこれだけ?」
「他にまだありそうだけれど」
「どういう奴なのよ」
 あらためてこのことを思うのだった。
「一体全体」
「犯罪者なんてものじゃないじゃない」
「しかもよ」
 ここからが彼等にとって本題であった。まさにここからである。
「未晴だけじゃなかったし」
「丁度一人監禁していて虐待していたって」
「それが行方不明だった娘だったからね」
「今テレビでもネットでもその話題で持ちきりよ」
 まさにそうなのだった。それだけの騒ぎになっているのだ。
「そんなとんでもない奴だったなんてね」
「予想を遥かに超えてたっていうか」
「恐ろしい奴だったのね」
「あの妖気は伊達じゃなかったってことね」
 恵美がここで冷静に述べた。彼女はその見事な長身をズボンとコートで包んでいる。ボーイッシュなそのスタイルとロングヘアが合っている。
「それだけのものがあったのね」
「そうだったのね」
 隣にいた明日夢が彼女のその言葉に頷いた。
「つまりは」
「そういうことよ。ただ」
「ただ?」
「今余罪がどんどん出ていて」
 まずはこのことから話す恵美だった。
「拉致して監禁、虐待していたのは未晴やあの娘だけでないみたいだから」
「そうね。何か話だと」
「他にも一杯いたみたいね」
 明日夢だけでなく茜も言ってきた。皆歩きながら話をしていく。
「小さな女の子までさらってね」
「それをあの父親が全部揉み消していたのね」
 明日夢は忌々しげに言った。
「自分もそれに一枚噛んで」
「つまり親子で共犯だった」
「そういうことね」
 茜の言葉に応える恵美だった。
「要するにね」
「殺人もしていたのかしら」
 奈々瀬は怯える顔でこのことを言った。
「まさかって思うけれど」
「いや、それはなかったよ」
 竹山が彼女のその不安に答えた。
 
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