おっちょこちょいのかよちゃん
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18 次なる敵のお出まし
前書き
《前回》
組織「次郎長」は秘密基地で「義元」からすみ子に異変があったという手紙を受け取る。その後、町で殺人事件が発生し、かよ子は杉山からその事を電話で聞く。翌日、新聞にその記事が載っており、かよ子は異世界からの敵が訪れたのかと不安になるのだった!!
長山は小春の病気が治った為、妹と一緒に家を出た。
「行って来まーす」
小春は学校に行けて嬉しそうだった。
「おにいちゃん、こはる、がっこうのともだちにはやくあいたいな」
「うん、楽しみだね」
その時、向かいの家から一人の男子高校生が現れた。彼の名は北勢田竜汰という。
「あ、おはようございます!」
「おお、治君、小春ちゃん。おはよう。小春ちゃん、元気になったか」
「うん!」
小春は元気よく返事をした。
「それじゃあな!」
北勢田は駅の方角へと向かった。長山達も学校の方へと向かった。
北勢田は駅で電車を待つ。そこにちょうどクラスメイトの男子も現れた。
「お、ミカワ」
「北勢田、おはよう」
三河口は昨日の事件の話を始める。
「ところで北勢田、昨日の事件は尋常じゃないよな」
昨日の事件とは人間の肉片が木っ端微塵にされて殺害された事件の事である。
「そうだな。俺も何か感じるよ」
「前に地震のような現象から異世界から来たという奴がテロを起こし続けているからな。これも関係が深いと思うんだよ」
「そうだな。普通あんな殺され方ありえんよな」
(今度の奴はどんな奴何だ・・・?)
三河口は次の敵はどんな者か、そして隣に住む女の子がまた標的になりそうな予感がした。
かよ子は学校に着くなり杉山を見ると照れながら声を掛けた。
「す、杉山君・・・!!お、おはよう・・・」
「おう、山田」
「あの、昨日の事件、新聞に載ってたよ。私、何だかまた怖くなっちゃった・・・」
「山田・・・。弱音吐くなよ!」
「え?」
「お前のその杖ならきっとどんな相手でもやっつけられるぜ!それに今度も俺が味方してやるよ!」
(す、杉山君・・・)
かよ子は好きな男子からそう言われてさらに心を打たれた。
「う、うん、そうだね、頑張るよ!」
その時、長山も教室に入ってきた。
「あ、長山君、おはよう!」
「ああ、山田。そうだ、小春の病気が治ったんだ。また小春を紫陽花が咲いてる所へ連れてってくれるかな?」
「うん、いいよ!」
かよ子は承諾した。その時、杉山はかよ子が外に出る予定である事を悟った。
(山田・・・。あいつ、危ないかもしれねえよ・・・)
杉山は大野に話しかける。
「大野。今日山田かよ子は長山の妹を連れて紫陽花が咲いている所へ行くつもりだ。だが今日山口達とも会うつもりだし、その後、行かねえか?」
「ああ、いいぜ」
(杉山、お前、それだけ山田を気にしてるのか。ま、俺にはどうでもいいけどよ・・・)
すみ子はこの日も胸騒ぎが治まらなかった。
「すみ子、安心しろよ。今日は隣町のあいつらとも会う。何か情報があって原因が解ればきっと大丈夫だ」
山口が励ました。
「うん・・・」
かよ子は家に帰ると長山の家へと向かった。
「こんにちは!」
「ああ、山田。よく来たね」
長山が出迎えた。
「こんにちは・・・」
病気から回復した小春はさらに明るくなった感があった。
「小春ちゃん、こんにちは!」
「小春、また紫陽花見に行けるよ!」
「うん!」
「それじゃあ、行こうか!」
かよ子は例の羽根を出して巨大化させた。そこに自分が乗り、次に長山兄妹を乗せて飛行した。
杉山と大野はまる子、ブー太郎を引き連れて例の秘密基地へと向かった。
「大野君、杉山君、本当に異世界からの敵が現れたみたいなのかブー?」
ブー太郎が質問した。
「ああ、昨日の殺人事件も普通じゃない殺され方だった。それに異世界からの敵なんて馬鹿馬鹿しいと思うかもしれねえが、実際に俺と杉山は山田かよ子の家でそういう奴と闘った事がある。俺達が出会った石松とかフローレンスとかとは違ってきっとこの世界を襲撃するために動いている奴だ」
「そ、そんなブー・・・」
「だから石松は俺達にこの石を持たせたはずだぜ。そいつもこの日本は破滅の危機にあるって言ってたしな。その可能性があるかもしれない。それならこの石を使うことになるだろう」
「分かったブー!」
皆は基地に付いた。「義元」の面々も丁度到着した。
「あ、お前ら!」
「おお!」
「昨日殺人事件があったんだ。殺され方が普通じゃなかった。きっと異世界からの敵の仕業だ!」
大野が報告した。
「ああ、俺達も朝そのニュースを新聞で読んだ。すみ子もいつもより心が落ち着かない様子だったんだ!」
山口も報告で返した。
「これから本当の闘いをする事になるかもしれないな!」
「まさにその通りである」
一人の男が現れた。組織「次郎長」を結成した杉山達に不思議な能力を持つ石を渡した森の石松だった。
「森の石松!?」
「お主ら、今この清水に敵が訪れている。そしてその敵の側に付く人間もこの清水に訪れている」
「マジか!それで山田かよ子が巻き込まれる可能性はあるのか!?」
杉山が質問した。
「おそらく山田かよ子が襲われる可能性はある。彼女も不思議な能力をもっているからな」
「杉山、山田にも連絡した方がいいぞ!」
「ああ」
その時、杉山はある事を思い出した。
(そういえば山田は俺と喋った後、長山と話していたな。確か長山の妹の病気が治ったって事で紫陽花が咲いてる場所へ連れて行くとか・・・)
「皆、紫陽花が咲いてる場所を探してくれ!」
「え!?」
「山田はきっとそこにいるかもしれねえんだ!」
「うん、分かったよ!」
皆は基地に上り、紫陽花の咲いている場所を探した。しかし、遠すぎて確認できない。
「お主ら、紫陽花の方角はあちらだ」
石松は一つの方角を差した。
「よし、行こう!」
皆は石松が差した方角へ向かう。すみ子はさらなる胸騒ぎを覚えるのだった。
女は男と共に町を歩く。
「結局、昨日は会えなかったわね」
「ああ、だが、今日こそは見つけんとな」
そして二人は一人の男子高校生とすれ違った。その高校生に怪しまれている事も知らずに・・・。
「あら、あそこで飛んでる子がいるわね」
女は飛行物を発見した。その飛行物には二人の女子と一人の男子が乗っていた。
「あの能力はやはり異世界から貰った力だ。オリガ、遂に見つけたぜ」
北勢田は学校帰りに男女の二人組とすれ違った。そして不吉な予感がした。
(この感じ・・・。三河口が言っていた殺人事件の犯人な気がする・・・!!)
北勢田は走り出した。
かよ子は長山兄妹と共に紫陽花の咲く場所を探す。そしていつの日か来た場所と全く同じ場所へと辿り着いた。
「着いたよ!」
「うわあ、おねえちゃん、ありがとう!」
小春はかよ子にお礼をした。
「どういたしまして。紫陽花、今日も綺麗に咲いてるね!」
「うん!」
かよ子達は紫陽花の美しさに見とれていく。と、その時、後ろから女性の声がした。
「貴方達」
「え?」
三人は後ろを振り向いた。そこには外国人の大人のような女性がいた。
「あの、誰ですか・・・?」
「私はオリガ。貴方達、さっき羽根に乗って飛んでいたわね?」
「あ、はい・・・」
かよ子は返答した。
「貴女は不思議な能力を持っている。そうでしょう?」
「う、それがどうかしたんですか?」
「貴女の力はとても恐ろしいものだって聞いたからよ。そして一緒にいる男子は物知りなのかしら?」
オリガという女は長山の方を見た。
「いや、そんな・・・」
(この人、まさか・・・!!)
かよ子は気付いた。この女は自分と長山を狙っていると。
「それだけ謙遜していると言う事はその通りみたいね。では、貴方は私と協力して頂戴。そちらの貴女は・・・」
オリガの台詞にかよ子は息を飲んだ。
「ここで消えてもらうわ」
後書き
次回は・・・
「隙見せぬ猛攻」
オリガという女性に唐突に命を狙われ、苦戦するかよ子達。かよ子の安否が心配で急ぐ杉山達。そして、苦戦するかよ子の前に最悪にももう一名敵が・・・。
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