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ある晴れた日に

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628部分:桜の枝を揺さぶってその六


桜の枝を揺さぶってその六

「それをね。どうかな」
「いいんじゃねえのか?」
「そうよね」
 まず五人がそれに賛成した。
「未晴へのプレゼントにね」
「そうしたのも」
「ひまわりは太陽だからね」
 彼はこんなことも言った。
「だから。いいと思うよ」
「おい、どうしたんだよ」
 野本は今の従兄弟の言葉に驚いて声をかけた。
「御前がそんなこと言うなんてよ」
「何かおかしいかな」
「おかしいよ」
 はっきりと言った。これまた実に。
「何かポエマーみたいじゃねえかよ」
「そういえば竹山って」
「そういうのはなかったけれど」
「何でこんなこと急に言ったんだ?」
 野本の言葉に今皆も気付いたのだった。
「一体どういう風の吹き回しなんだ?」
「こんなことを言うなんて」
「何かね」
 その竹山は首を少し捻りながら考える顔で述べた。眼鏡の奥のその目も考えるものになっている。それがはっきりと表に出ていた。
「どうもそんな風に思えてね」
「変わったってこと?」
「だから?」
「そうだろうね」
 自分で分析した言葉だった。
「やっぱりね」
「何かそれってどうも」
「俺達もそうだし」
「そうよね。私達だって」
「何かね」
 こう言われると皆にも心当たりがあった。実際に皆高校に入ってから、とりわけ未晴に不幸があってから。彼等は確実に変わっていたのだ。
「何かね。本当に」
「変わったっていうか」
「何処かが」
「確かに変わったね」
 またここで恵美が皆に話した。
「私だってね」
「自覚はなかったけれどな」
「何時の間にか、なの」
「そうよ。自分では気付かないうちにね」
 変わったというのである。
「私だってね」
「そういえば恵美も」
「そうよね」
 彼女と付き合いの深い明日夢と茜がここで言い合う。
「中学の時と比べるとよく話すようになったし」
「前からすぐに気が利いてくれたけれど」
「こんなに言葉に出すことはなかったからね」
「出さないといけないと思ったから」
 彼女はだからだというのだ。
「それでなの」
「それで変わったの」
「皆も影響もあったしね」
 ここで周りを見回して微笑みもする。
「何か明るくなったわね」
「明るくね」
「それもあるの」
「明るくなれたわ」
 微笑みはそのままだった。
「五人を見てもね」
「私達も影響与えてたの」
「恵りんに」
「そのめぐりんって仇名よ」
 その仇名についても言うのだった。
 
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