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デート・ア・ライブ~Hakenkreuz~

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第八話「休日の過ごし方・Ⅲ」

「断る」

ナイトメアからの申し出を彼女はばっさりと切り捨てる。しかし、ナイトメアは予想していたのか肩をすくめる。

「全く、少しは考えてくれてもいいのではないですか」

「私にメリットがない。大体貴様の食事を除いたところで何も面白味はないからな」

それにここには真那がいるため長居する事は出来ない。あれ以上相手をするのは面倒だからな、と口には出さなかったが心の中で呟く。一応撒くことが出来たとはいえ完全に安心とは言い辛かった。

「あらあら、私はまだ見てもらいたいものがあると言っただけですわよ?」

「今日の午前中にお前と五河士道が歩いているのを見かけた。どうせそいつ関係と思うのが必然だ」

「成程ぉ、あれを見られていたのですか。気付きませんでしたわ」

狂三は後悔するような表情で言うが口元には笑みが浮かんでいるためそれが本心ではないと見ただけで分かった。

「…さて、私はお前の近くにはいたくないんだ。通さないのなら、押し通るまで」

「き、ヒヒヒヒ!流石は【SS】さん。阻む者には容赦がないという訳ですの」

狂三は楽しそうに笑うと彼女に道を譲る。分身体でどうこうできるわけではないと最初から分かっており目的は最初からただの挨拶程度だった。

「…随分素直だな」

「ええ、それはそうでしょう。なんせ私は非力な分身体。貴方のお相手をするには力不足ですわ」

「…ふん」

非力と言う部分に目を細めるが別に指摘する事ではないため譲られた道を通る。分身体の脇を通る去り際に彼女は狂三に声をかける。

「…今も目的が変わっていないのなら言っておくぞ。私は貴様の目的を認めない。もし、目的が達成されそうなときは、貴様を殺す」

「…胸に刻んでおきますわ」

彼女は狂三のかを見ることなくその場を後にした。















世間では休日明けの日、彼女は来禅高校の近くに来ていた。理由は単純である。目の前に広がる校舎、しかしその周りを囲むように黒いドームで覆われている。

この前会ったナイトメアが有する時喰みの城と呼ばれる結界である。自分の影を広げその影を踏んでいる者の時間、つまり寿命を奪う代物だ。ナイトメアの天使は自らの時間を使用するためこうして他者から補充しているのだ。これがナイトメアが危険度が高い理由である。

しかし、そんな事は彼女にはどうでもいい事だった。一人二人の時間で得られる霊力などたかが知れているし例え百、千を一気に喰べても彼女に霊力を使わせればそれだけで十分消費させることが出来る。だが、彼女はあえて乗り込むことに決めていた。理由はとくにはない。ただ、数百近い時間を奪っているためそろそろ邪魔をしておきたかった。

彼女は霊装を纏うと一気に跳躍する。地上にいた彼女はそれだけで屋上を見渡せる位置まで飛び上がる。そして屋上には目標であるナイトメアと五河士道の姿があった。

彼女はラインメタルFG42自動小銃を構えるとフルオートで放ち屋上に弾丸の雨を降らせる。ナイトメアは分かっていた様で無傷で躱すが一緒にいた五河士道はいくつか弾が当たり血で屋上を染め上げる。弾倉を全て使い切るまで撃ち続けた彼女は空になった弾倉を交換しながら華麗に屋上に降り立つと直ぐにナイトメアに銃口を向ける。

「おやぁ?【SS】さんが私の邪魔をするなんて、珍しいですわね」

「別に、ただ目についただけ、だから」

彼女はそう言いながらフルオートでばら撒く牽制も兼ねて広範囲にばら撒くがナイトメアは自分の陰に入る事で呆気なく回避する。しかし、彼女はそれを予測していた為陰に向けて一気に放つ。当たるかどうかは分からないが圧を与える事は出来る。

案の定影は直ぐに消え代わりに右からナイトメアが現れる。その顔には不快の二文字が浮かんでおり忌々しそうに彼女を睨んでいた。

「小賢しい真似をするのですね」

「目的を達するのに手を抜く方が可笑しいのだ。私はただ貴様を潰すと言う目的の為に全力を出しているに過ぎない」

彼女はラインメタルFG42を話すと空間から新たにグロスフスMG42を両手にそれぞれ一丁ずつ持ちナイトメアに向けると一気に撃ち放った。本来なら固定しなければ撃つことは難しい機関銃を彼女は苦も無く発射する。先程とは比べ物にならない速度と弾丸がナイトメアに襲いかかる。

そしてナイトメアの体は呆気なく肉塊へと姿を変えるが彼女は警戒を解くことなくマガジンを交換する。そして彼女の後ろから新たな分身体が現れる。

「全く、貴方のせいで分身体が一体無駄になりましたわ」

「それは良かった。ならもっと減らせ」

ナイトメアの言葉を受けて彼女は更なる追撃を加えようと振り向く。しかし、

「待ってくれ!」

射線を塞ぐように一人の男が飛び出した。その男の姿に彼女は一瞬固まる。なぜならその男は先ほど体に穴を開け死んだはずの五河士道であったのだから。
 
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