デート・ア・ライブ~Hakenkreuz~
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第七話「休日の過ごし方・Ⅱ」
先に動いたのは真那の方であった。両肩に付けられたスラスターから幾つものレーザーが吐き出される。彼女はそれを余裕を持って回避するが真那が指を振るとレーザーは角度を変え多方向から彼女の体を狙い突き進んでくる。
彼女はそれを体をくねらせ紙一重で回避するとともに右手にいつの間にか握られていた小銃を真那に向けて発砲する。時代錯誤の銃から放たれたにしては重厚な発砲音が響く。しかし、放たれた弾は真那が後方に回避する事で地面にぶつかり砂埃を発生させた。
「前にあった時よりも少しはやるよーですね」
「そういう君は少し鈍ったんじゃない?動きがとろいよ」
彼女は真那の言葉に返すとともに一気に接近する。そして一瞬で真那の懐に入ると左手に持っていたブレードを横なぎに払う。真那の体を上下に分断できるそれはしかし、CR-ユニットから発せられる随意領域に阻まれる。一般兵程度ならそんな物関係ないとばかりに切り裂けるが真那のCR-ユニットは最新型と言う事もあり切断どころか皮膚に触れる事すら出来なかった。
「くっ!」
彼女はブレードを防がれた瞬間後ろに飛びのく。瞬間先程まで彼女がいた場所にレーザーの前が降り注ぐ。あのままあの場所に居れば確実に体中が穴だらけになっただろう。
彼女は飛びのくと同時に小銃を連射する。熟練者ですらここまでの早打ちは出来ないであろうと思われるスピードで連射された弾丸は真那が上空に飛び上がったため当たる事は無かった。
「流石ですね。ナイトメアに続く危険度の持ち主は伊達ではねーって事ですか」
「そう言うお前こそ本当に人間か?以前よりも人間を辞めていると思うよ」
真那の言葉に彼女はそう返すがその表情に余裕は無かった。対して真那にはまだ与力があるようで余裕そうにしている。
因みにここまでで彼女は銃を撃てど霊装を纏っている訳ではない。彼女が霊装を纏えば真那と言えど警戒せざるをおえないだろう。しかし、彼女は霊装を纏う事は無かった。
「そんなに余裕こいて死んでも知らねーですよ!」
真那は彼女の行いを余裕と取ったのか不機嫌な表情で一気に距離を詰めてくる。真那の両手にはブレードが握られておりそれを一気に振りかざす。
「…っ!」
「なっ!?」
瞬間彼女は動いた。距離を詰めてきていた真那の脇を素通りする形でするりと避けるとそのまま逃亡を開始する。真那も急停止をして追いかけようとするが真那の目の前に棒状の何か、柄付の手榴弾が目の前に現れた事で一瞬思考が停止する。これは彼女が脇をすり抜けた時に置き土産として置いて行ったものだ。
既に発動するための紐は抜かれており真那のテリトリーに触れると同時に大爆発を起こした。
「んな!?なんてことをしやがりますか!」
テリトリーに阻まれほぼ無傷とはいえ目の前で先行と大音量の爆発が起きればどんなものでも恐怖を覚えるだろう。真那も数秒とは言え恐怖に心を包まれるが直ぐに気を取り直し辺りを見渡すが既に彼女の姿は無かった。
「くっ!何処に行ったのですか…!」
真那は取り逃がしたと言う現実から手を握り締めるのであった。
一方、真那から無事に逃げることが出来た彼女は森の中を不規則に走っていた。真那を撒くためであるがあの爆発に気付く者もいるだろうし長居は無用だった。
既に森のある公園の反対側まで来ていたがまだ安心は出来なかった。今はただ、真那に見つからないように息を潜め逃げるのみだ。
彼女が本気になれば真那などどうにでも出来るが今真那を倒せばDEM社が本格的に介入してくるのは目に見えていた。
デウス・エクス・マキナ・インダストリーと呼ばれる軍事会社はCR-ユニットを始めとして様々な武器を製造している。更に魔導師最強のエレン・メイザースの存在もあり彼女とて現段階では迂闊に手を出す事は出来なかった。DEM社と本格的に敵対するのは彼女の考えではもう少し先であった。
「(…ここまでくれば大丈夫、と言いたいけど…)」
彼女は先ほどから感じる霊力にげんなりする。かなり近くから発せられるそれは今最も出会いたくない相手であった。
「(前門の虎後門の狼、か)なら私が進むのは…」
彼女は右へと反れる事で回避しようとする。しかし、
「おやおやぁ?私に挨拶せずに立ち去るつもりですかぁ?」
「…」
彼女の目の前の地面から一人の少女、ナイトメアが現れる。どうやらこちらが確認できたように既に彼女の僅かに漏れる霊力をあちらも感知していたようである。
「…どいてくれないか?」
「きひひひ、別に構いませんよ。貴方とやり合うにはまだ私の力は足りないですからね。けぇどぉ」
ナイトメアは短筒を彼女へと向ける。
「是非とも今から見てほしい光景があるのですよ。それからでも遅くはないのではないですか?」
ナイトメアは歪んだ笑みを彼女へと向けるのであった。
後書き
狂三ってこんな口調だっけ?あと真那も。
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