魔法少⼥リリカルなのは UnlimitedStrikers
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第30話 問題発生
――side響――
目の前の流そっくりな長い髪の子……多分、きっと多分、男だと思う! 柔らかいけど、やわかいけれど! 絶対に違う!
スッと持ち上げてた布団を静かに下ろす。
で、だ。
くっっっっそぉおおおお、なんで誰も念話に出ないの?!
あ、そうだ。
(花霞ー!!! 今何時!?)
[おはようございます主。まだ4時ですよ]
(4時……!? そら、皆まだ寝てるわな……あ、そうだ。ギルは居る?)
[おはようございます。緋凰様。如何されましたか?]
(あぁ、おはよう。昨日の晩。流起きてトイレとか行ったか?)
[えぇ、少し起きた後。貴方のベッドへ入りましたよ。マスターも前の部屋では下の段で眠っていらしたので、間違えてしまったのでしょう。何か有りましたか?]
……わぁい。じゃあ、この子は流になるのか……えぇ、嘘ぉ……。待って、え、何これまだ寝ぼけてる……? うっそだろおい……。
必死に頭を動かして、考えを巡らせる。だけど、どうしてもこの子が流に結びつくはずがないと思ってしまう。
再び布団がモゾモゾと蠢き。ゆっくりと這い出るように布団から、ぷはっと声を出しながら顔が出てきた。
「おはようございます。お兄さん?」
えー、俺。それなりに男です。先日18になった人です。何が言いたいかと。
布団から顔だけ出して寝ぼけ眼で、上目遣いなんて……可愛いに決まってるだろう!!!!!
その破壊力は凄まじく。なんというか、自分が赤くなって事が自覚できるほどだ。顔が熱く、汗が出て来る。
目の前の子は目をこすりながら、あくびを一つ。相変わらず眠そうな、ふにゃふにゃしたような顔で不思議そうにコチラを見上げてる。
自然と、自分の顔を手で覆う。そしてその子とは反対方向へ寝転がる。
ダメだ、直視できん……。つーか、これどうあがいても、緊急事態じゃね?
良し、死んでもいいから相談しよう。そうしよう……。ロリコンショタコン言われても、いいやもう。そう考えたら、なんか大丈夫な気がしてきた。
だけど、ここで一つ問題が。頼りになる幼馴染って、大体が朝弱いんだよね。特に奏なんか一番弱かったはず。朝一だけは、震離が強いけど……多分、奏を起こすのに全力費やしてる頃だしなぁ……。一番の信頼出来る場所は使えない……。
かと言ってもなー……。はやてさんは論外だしなぁ……。
しゃーない。あの人に頼ろう。朝一だから、連絡の方法としては……。
(花霞、バルディッシュさんにお願いしてフェイトさんに連絡。内容は、朝一から失礼します。流に異常事態発生。指示を下さい。と、連絡飛ばして)
[了解。返事があり次第伝えます。そして、主はどうt(花霞?)失礼しました]
なんか言い出しそうだったので、先手を撃って止める。ふざけんじゃねぇ。大体そんなんやる暇なんて今まで無かったよ。忙しかったんだし、相手居ないし……申し訳ないし。
[主、バルディッシュ様、レイジングハート様から、お返事が来ました。要約すると、意味がわからないとの事]
あー、うん、ですよね。分かってた。
流石に、少し頭が冷えた。顔も多分戻った。もう大丈夫だ。寝返りを体制戻して……。
「……すぅ……すぅ」
うん、なんとまぁ。よく眠る事よ。……しかし、見れば見るほどこれ、やっぱり流だと思ってしまう。
だが、ここで謎が……。俺から流を見て誰? とは聞けるけど、流から俺を見て、どちら様と聞かれたことがわからん。
それに流と違って、表情が凄い豊か。昨日の御飯作ってもらった時も、それなりに表情出してくれたけど、普段の延長だし……寝起きはわからないけどさ。
ゆっくりと起こさないようにベットから降りて……良し、行けた。
さて。布団の中で丸くなってるこの子。どうしようかな……。あ、そうだ。
(ギル、ベッドに眠る子は流で間違いないんだな?)
[おっしゃる意味がわかりませんが、その通りですよ……。いえ、訂正します。確かにマスターと同じ魔力を有しておりますが、これは……一体?]
(あー、スキャンしてくれたのか。結果は?)
[報告します。マスターの体が女性になっております。それに伴って、体が少し小さくなっています……何故?]
やっぱり、か。その上、少し小さくもなってるのか。気のせいかと思ったけど、違ったのか。
(俺もわからん。で、だ。それをバルディッシュさんと、レイジングハートさんに伝えて、そして、隊長から指示を仰いでくれ。報告は俺に。流はまだ起こさない、いいね?)
[了解]
とりあえず、寒くないようにしっかり布団を掛けなおして、制服に着替えて……髪も縛って……良しバッチリ。
[緋凰様。連絡がありました。直ぐにハラオウン隊長が来るそうです]
(了解、ありがと。あと流に関してさ、何か変わったことがあったら教えてくれ)
[畏まりました。では]
ギルとの念話をきって、冷蔵庫に行くついでに、入口の鍵開けまして、冷蔵庫に入ってる抹茶ラテを取って、椅子に座って一口飲む。あー、冷たい、やっぱり夢じゃねーなー。
時計を見ると既に5時過ぎ。朝練は6時スタートだから、もうそろそろティア達は起き始める頃だろう、今頃奏は起きたくないーとか言ってんだろうなー、それを震離が頑張ってるんだろうなー。
さて、少し頭もまわってきた所で。原因を考えましょう。
何をどう考えても昨日のあのロストロギアだよなぁ……。あれくらいだもんこんな摩訶不思議が起きるなんて。
まぁ、昔見たことあるロストロギアの中には、外見年齢を調節出来る飴型の魔法薬。赤色を使うと大人、青色を使うと子供になれる。
何が凄いって魔法で変化してるとはいえ、肉体年齢弄ってるらしく、解除魔法でも時間来るまで戻せないっていうヤバいやつ。
大昔販売されたかなんかで、今でも割と見つかってる。と言うか、用法用量守って使えば、問題ないということもあって、割高で売られてるし……。ああいうタイプだといいんだけどなー。でもそうなると、記憶が飛んでるかも知れないのは説明つかないしなー。
(響、来たよ)
おっと、フェイトさんがそこまで来ましたねっと。
(鍵空いてますのでどうぞ。一応まだ寝てるので、念話で話しましょう)
(うん)
カチャリと、扉が開いてフェイトさんが入ってくる。立ち上がって敬礼しようとするのを目で制され、頭を下げるだけに済ませた。
未だに布団で眠る子を見て、凄く驚いてる。
(……可愛いね)
(えぇ……って違いますよね。どう思います?)
開口一番、普通に釣られたわ。ごめんねと両手を合わせてコチラを見てるけど……まぁ、いいですけどね。
(ギルの言うとおりならば、魔力は間違いなく流みたいです。だけど……)
(姿が変わっていて、分からない……そうだね?)
フェイトさんの言葉に頷いて回答。流の方に視線を向けていたが、何か思いついたらしくコチラを向いて。
(でも、なんで分かったの?)
(え? あぁ。下の段は自分が寝ているんですけど、そこに潜り込んでて。捲ってみたらあの子が入ってたんですよ。で、一瞬起きて、目が合ったら流と同じ目の色してました)
やましいことはなにもないので、正直に。とっても正直に応える。嘘言ってないしね!
(……起こしてみてもいいかな?)
(大丈夫かと)
そう言って、ベッドの脇に座って、優しい手つきで眠っている子を起こす。いつの間にか布団に潜っていたけれど、ピクリと、反応。布団から顔だけ出して寝ぼけ眼の上目遣いで。
「……どちらさまでひょう?」
こてん、と首をかしげて出てきた言葉は舌足らずな質問。その破壊力は慣れたと思ってても凄まじく。
「「こふっ」」
一瞬倒れそうになるのを全力で堪えて、踏ん張って立つ。やだもう直視出来ないし……。
というか、フェイトさん近距離で食らってたけど大丈夫かな? そう思ってフェイトさんを見る。
そこにいたのは顔を真っ赤にして、顔を手で覆ってぷるぷるしてるフェイトさんの姿が有りました。
まぁ、耐性出来てないのに至近距離で見たらああなるわ。俺も初手ああなったし。しかし、フェイトさんなら大丈夫だと思ったら、駄目だったかー。
と思いきや、咳払いを一つしてからの。
「えっと……私の事分かるかな?」
お、流石です。フェイトさん。なんとか立て直してる。まだ顔赤いけど。
「……?」
ちょっとだけ考えた後、少し悲しそうな顔で首を横に振る。
「そっか。じゃあ君のお名前は?」
「……流、風鈴流……です」
名前を聞いて、2人して頭を抱えました。
――――
あれから、俺の代わりにフェイトさんが話を聞いてくれたり、着る服がないということで、ギルがバリアジャケットをつけたりしてた。
と言っても普段の流のサイズより少し小さい、エリオとキャロより下手すりゃ小さい。髪も太ももにまで到達してるし。
少し驚いたのが流のバリアジャケットについて。アンダーやズボンはギルが、オーバーコートはアークが担当してるらしい。そんなことも出来るんだなーとか考えてたら。
アンダースーツ。袖無いんスね。しかも若干ブカブカしてるし。そんな格好に萌えたらしく、フェイトさんは顔覆ってて使えないし……。しゃーない。
「花霞。俺の上着を流に合わせてくれる? つか出来る?」
『おまかせを』
手に俺のバリアジャケットの上着部分。流サイズに合わせた赤い和服を取り出して、それを流の両肩に掛けて、と。
「ほれ、そのカッコだと良くないからこれ着な」
「……わぁ。綺麗」
キャッキャしながら凄く喜んでる。なんかちょっと嬉しい……。違う、そうじゃない。
「なぁ、流?」
「なんですか、着物のお兄さん?」
あぁ……。ダメだ。目の動きでわかった。この子は完全に俺のことも知らないんだと。目の前で不思議そうにする流から視線を外して、隣に座るフェイトさんを見る。
少し悲しそうな表情をしているけれど、俺の意図を汲んでくれたらしい。
「ちょっと出るけど、お願いできるかな?」
「……えぇ、大丈夫ですよ」
スッと立ち上がるフェイトさん、すると、流の手が伸びて、フェイトさんの服の裾を小さく掴んで
「……行っちゃうの?」
悲しそうな、少し泣きそうな顔で、フェイトさんを見上げている。それを見て、優しく微笑んで、その手を取りながら、もう一度流に視線を合わせるために屈む。
「大丈夫、直ぐに戻ってくるから、ね?」
「……はい」
そう言うと、流の頭を優しく撫でてから部屋から出ていった。
さて、この間に。
「えーと、流? 改めて自己紹介を。俺は響。さっきいた方はフェイトさん」
「響お兄さんに、フェイトお姉さん……ですね。はい、わかりました」
パァッと弾けるような笑顔で復唱する。同時に名前がわかったからか、嬉しそうにしてる。
だけどね、流。冷静になった今なら実感出来る。どうして? なんで? っていうことよりも……。
忘れられるって、こんなにも辛いんだな。
新しい一面が見えたかも知れない喜びよりも、色んな表情が見れた嬉しさよりも、ただ。それだけで悲しい。
流の顔を撫でるように、頬に手をあてる。嬉しそうにその手を添えて喜ぶけれど……正直辛くなってきた。
ま、それは一旦置いとこう。多分俺なんかよりもこれに気づくアイツが一番凹むだろうしな!
とりあえず、この海坊主見たいな子をなんとかしないと、な。
「さて、流。少し髪を整えようか?」
「はい、お願いします」
そう言ってから、自分の机の引き出しを開ける。中には書類とか色々入ってるけれど、一つだけ朱色の布に包まれている物があり、それを取り出す。布を解くと、花櫛と呼ばれる櫛が一つ入っている。
それは桜の花びらを散らしたような綺麗な装飾のモノ。最近は中々出来ないけれど、これで髪を梳いてやると、よく喜ばれたなぁ。なんて考えながら、それを手にとって。
「さて、やろうか?」
「はい」
――――
実をいうと、ガキの頃……いや、6歳位から人の髪に触れるのが好きだった。自分がこんな長髪だからというのも多少は関係があるかもしれない。
だけど、それより前はどういうわけか、人一倍髪が伸びるのが嫌で、自分でよく切ってた。その際バカやって耳を切ったときにはすげぇ痛かった。今思えば、あの頃の時点で母さん治癒魔法で治してくれたんだなぁと今になってわかった。
その際ガタガタの俺の髪を綺麗に揃えてくれて、梳いてくれたのは気持ちよかったし、嬉しかった。母さんから、私と同じ髪だから大切にしてねと言われたのをよく覚えてる。
それからは髪を束ねて出したけれど、シュシュが嫌で落ちこんでたし、そもそも下に落ちるし。それを見かねた母さんが、自分で使ってた長めの白いリボンと黒いリボンを半分に切って、髪を縛ってくれた。これも魔力を使った特殊なものらしく、傷ついてもある程度したら直ってるし、多少燃えても復活する。流石に汚れは取れないからちゃんと洗濯してるけどね。
何より、そんな大事であろう物をくれて、今では形見みたいなもんだ。
今使ってるこの櫛も母さんが最後にくれたもの。だけど、これ使うと不思議と落ち着く。使われても使っても、だ。
現に今これで流の髪を梳いているけど、心地よさそうにしてる。最近こういうこと出来ないしなぁ。いつか合間見てエリオとキャロにもやろう。
さて、調子はどんな感じかな?
「流、これ終わったら、髪型でも変えるか?」
「……すぅ」
おいおい、まじかよ。座ったまま寝よったよこの子。まぁ、いいや。その辺は勝手にやろう。
しかし、良い髪だよなぁ。いつかの出張の時にも思ったけど、良い質感だ。ゆっくりと、そして、丁寧に髪をほどき櫛をいれていく。偶に触れる地肌が暖かい。子供特有の体温が高い証明だ。
梳いていく度に細い首筋が露わになっていく。多分いつもの流ならば、こんなことさせてくれないんだろうけど、この流は凄く無防備だ。
いつだったか、同じ部隊になった子たちから、ゴムを貰ったり、ピンを貰ったり色々したのを思い出して、起こさないようにゆっくりと机の下にある小さなボックス開けて、そこからゴムとピンを取る。
そして、いくつか机の上に置いて、ゴムを手にとって流の髪を結わえ始める。手櫛を入れてふさを取り分けて、耳より上の髪だけを結ぶ。ハーフアップって言われるのかな? そういうやつだ。
一つのゴムとピンだけであっという間に出来上がる。我ながら良い出来だ。ゴムは髪で隠れてしまうからシンプルな黒を、ピンはワンポイントで入れたいから、シルバーを。
静かに前へとまわって、前髪を整えて、目に入らないようにピンで留めて……よっしゃ。
「いいね。可愛いね」
「我ながら良い出来……うん?」
ふと、声が聞こえた方へ振り向くと、関心したような顔でなのはさんとフェイトさんが簡易キッチンから見学してました。
「いっ、いつの」
すかさずフェイトさんに口を抑えられ、ジェスチャーで静かにするように言われ、落ち着く。ちらりと流を見れば相変わらず座ったまま眠ってる。とりあえず、ホッと安心して。
(とりあえず、現実逃避してました。申し訳ないです)
(あ、あはは……まぁ、うん。気持ちは分かるけど……。あの子が流……なの?)
苦笑を浮かべつつ、念話で応えるなのはさん。不思議そうに流を見た後、コチラに視線を戻す。
(他に誰かに伝えたの?)
(いえ、まだなのはさんとフェイトさんだけですね。朝早かったということもあって、デバイス経由で連絡したもので)
(うーん……こちらで、はやてちゃん達に伝えたんだけど。カメラ片手に出てきたときには少しお話しちゃった)
わーお、笑顔でとんでもないこと言い出してる。こわーい。あとはやてさんは自業自得だな。仕方ない。
(それで、どうしましょう?)
(そうだね。シャマル先生には伝えてあるから、来たら任せよう)
(了解です)
とりあえず、状態を調べないと始まらないし当然だな。
(だけど、響?)
(なんでしょうかフェイトさん?)
クスクスと微笑みながら流を伺ってる。
(綺麗に出来たね?)
(あぁ、ただの現実逃避ですよ。なんか、色々もう……はぁ)
((あ、あはは……))
2人からなんか憐れむような苦笑が漏れてる。
とりあえず、なのはさんにフェイトさんに説明したように今朝の状況を伝える。まずは名乗ったということ。そして、次に流の瞳の色が、見た限りでは一致した事と、流のデバイスであるギルが同じ魔力質だと断言したこと。
(うーん……考えられるとしたらやっぱり昨日のアレだよねぇ……響は何か気づいてたみたいだけど、どう?)
(いえ、俺も鏡みたいに反射してるって気づいただけで何も)
(うーん。不味いなぁ)
渋い顔をするなのはさんを見て、俺とフェイトさんは顔を見合わせてどうしたんだろうと首を傾げる。
(昨日のあれ、シグナムさんが聖王教会に行く用事があったから、お願いして運んでもらったんだよね……)
それを聞いて、フェイトさんと2人であちゃーと言ったジェスチャーを取った。
なんというか、タイミングが悪すぎる。そして、同時に扉が開いて。
「おじゃましま~す」
良し色んな意味で良いタイミングだ。なのはさんからシャマル先生へ先程の内容を伝えた後。
「響。流を運ぶの手伝ってもらってもいい?」
「え、あ、はい」
シャマル先生に言われるまま、座って眠る流をゆっくりと横にして、抱き上げて。よし。
(よく眠ってるね)
(えぇ、普通起きそうなものなんですけどね)
なのはさんと流の顔を見ながら念話で話してるけれど、何度目かわからないけれど、本当にそう思う。
(響、連れて行ったらブリーフィングルームへ。皆もそこに集まるように伝えるから)
(了解です)
そう言って、先に部屋から出ていくなのはさん。フェイトさんもまた後で、と手を上げてから出ていった。
(じゃ、響君。行こうか?)
(えぇ)
起こさないように持ち直して、医務室へ向かって歩き出した。
――side?――
―― 聖王教会本部 ――
とある保管庫にて、シスター2人が朝の掃除を行っている。ここらにあるものは聖王教会に預けられた物があるが、中には完全封印されたロストロギアもあり、緊張した様子で掃除を行なっていた。ふと、そのうちの一人が真新しいアタッシュケースを見つけて……。
「あら、このアタッシュケースの中身って」
「え、あぁ。それは昨日機動六課にあずけていたものを封印して下さったみたいですよ。それをその日のうちで騎士シグナムが持ってきて下さいました」
「えぇ、そう……ッ!?」
「え、どうかされました?」
「いいえ、なんでもないですわ。さ、早く終わらせましょう」
アタッシュケースを元あった場所へ片付け、2人は再び掃除を初めた。だが、アタッシュケースを見ていたシスターは一人。不安そうな表情を浮かべていたが、誰にも見られることもなく、朝の掃除を終わらせ。
「……潮時、か」
その後、アタッシュケースと共にシスターの1人が姿を消した。
後書き
長いだけの文かもしれませんが、楽しんで頂けたのなら幸いです。ここまでお付き合いいただき、感謝いたします。
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