ある晴れた日に
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605部分:アヴェ=マリアその五
アヴェ=マリアその五
「何か晴れ晴れとなったからな」
「またやってくか」
「それでだけれどな」
ここで彼等もまた。彼女達を見るのだった。
そこに野茂と坂上も来る。彼等も彼女達を見ていた。
「あいつ等はどうなるんだ?」
「それで」
「どうなんだ?」
「一体」
「さてね」
桐生がそれに応えるのだった。
「今のところは。何とも言えないね」
「大丈夫よ」
今度は恵美が来た。彼女も言うのだった。
「皆ね」
「そうね。それは」
「今はね」
恵美の今の言葉に頷く明日夢と茜だった。
「ここはね」
「何か変わってきたから」
「そうかしら」
千佳はその言葉に首を傾げさせた。
「だって。今見てると」
「いえ、大丈夫よ」
だがそれを言われても恵美の言葉は動かなかった。
「今はね」
「いけるのね」
「すぐに元に戻るわ」
「戻るの?」
「そうよ」
明日夢の問いにも微動だにしない。
「すぐにね」
「すぐにって」
茜はそれがまだ信じられないといった顔だった。
「奈々瀬だっていないし」
「あれっ、来たよ」
加山がベランダの方を見て言った。
「橋口さん」
「えっ、来たの」
「マジかよ」
それを聞いた野茂と坂上が思わず声をあげた。
「今日は来ないって思ってたのによ」
「暫くはな」
「けれど来てるよ」
身をさらに乗り出して言う彼だった。
「本当にね」
「何か信じられねえな」
「ああ」
これは坪本と佐々もだった。
「ちょっとな」
「まさかな」
「来たわね」
しかし恵美だけはだった。楽しげに微笑むのだった。
「やっぱりね」
「あんたまさか」
「それがわかってたの」
明日夢と茜はその彼女に対して問うた。
「それでこうして」
「待っていられたの」
「そうよ。わかってたわ」
隠すことはしなかった。ありのまま話してみせたのだった。
「さて、それじゃあ」
「それじゃあ?」
「元になのね」
「人の絆はね」
ここでさらに言う恵美だった。
「確かに脆いわ」
「そうだね。何かあればね」
桐生が今の彼女の言葉に頷く。
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