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Back door night

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第三章

「だったらな」
「いるかも知れないのね」
「開けたらな」
 その扉をというのだ。
「そうかもな」
「そうだったら嫌ね」
「そうだな、けれどな」
「お酒階に行く為にね」
 私達のお部屋があるマンションから歩いて三分だ、都会は何処にもコンビニはあるのでこうした時は楽だ。
 それでもだ、扉を開けるとと思ってだ。それでだった。
 まさかと思いながら扉を開けた、するとそこには誰もいなくて夜空とその下の街があるだけだった。それでだった。
 私は彼に笑ってこう言った。
「平和ね」
「ああ、何もないな」
「街に出ただけね」
「そうだな、じゃあその街の中を少し進んでな」
 お部屋の中とは少し違うそこをというのだ。
「そしてな」
「そのうえでね」
「ワイン買いに行くか」
「一人一本ね」
「それ位でな」
 こうした話をしてだった、私達は扉を閉めてそこに鍵をかけた、これで戸締りは終わった。
 その鍵をかけた扉を見て私はまた彼に言った。
「ねえ、それでね」
「今度はどうしたんだ?」
「いや、この扉の向こうがね」
 今は私達の後ろにあるだ。
「私達のお部屋ね」
「そうだな、俺達は今外に出ていてな」
「本当に扉一枚で違うわね」
「そうだな、ほんの数センチ位の違いでもな」
「それが絶対の違いね」
「本当にそうだよな」
「それでコンビニの扉を潜っても」
 こちらは自動だ、だから行き来も自由だ。
「コンビニに入るから」
「違う世界に入るな」
「そうよね、じゃあね」
「ああ、これからコンビニに入ってな」
「そうしてね」
「ワイン買おうな」
「そうしましょう」
 こんなことを二人で話してだった。
 私達はコンビニまで行ってワインを買ってお部屋に戻った、扉一つで全く違う場所をそれぞれ行き来した。些細だけれど神秘的な儀式を行った、そんなことも思いながらこの日は彼とゲームをしながらワインを楽しんでそうして寝た。


Back door night   完


                2019・2・3 
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