ある晴れた日に
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562部分:もう道化師じゃないその十三
もう道化師じゃないその十三
「やっぱりね」
「ええ、だからね」
「未晴、私達がいるから」
「安心してよ」
彼女にも声をかける。しかし返答はない。
それでもだった。彼女に対してその声をかけ続けるのだった。信じて、である。
「また明日も来るから」
「だからね」
「じゃあ行くか」
野本が彼女達をはじめとして皆に声をかけた。
「今日はこれでな」
「ああ、そうだな」
「これでね」
「あんたは残るの?」
恵美が帰ろうとする中で正道に声をかけた。
「まだ」
「ああ、残る」
こう答える彼だった。
「俺の気が済むまでだ」
「そうなの」
「側にいる時間の問題じゃないのはわかっている」
それを意識していないのも確かだった。
「だが。それでもだ」
「わかったわ。じゃああんたの気が済むまでね」
「ここにいる」
そうするというのであった。
「今日もな」
「じゃあ私達は先に帰るわ」
恵美はまた彼に告げた。
「これでね」
「また明日学校でな」
「そうね。また明日ね」
こう言葉を交えさせて別れる彼等だった。そうして未晴と彼に別れを告げて殆どの面々は病院を後にする。その病院を出て暫くするとだった。
不意に竹山が自分の携帯を見ながら皆に言ってきたのであった。
「嘘じゃないんだ」
「嘘って」
「いきなりどうしたんだよ」
「いや、今ね」
見れば彼は携帯からネットにつなげていた。それであるサイトを見ていたのである。
「ほら、竹林さんがああなった事件あるじゃない」
「ああ」
「そのことね」
「その事件で怪しい人間がいるらしいよ」
こう話すのであった。
「一人ね」
「怪しい奴!?」
「それって一体誰!?」
「名前はまだわからないけれど」
それはだというのだ。
「ただね」
「ただ?」
「何か手懸かりがわかったの?」
「あくまで噂だよ、ネットの」
こう言いはしてきた。つまり信憑性は疑わしいというのだ。
「けれどね、ある弁護士がこの事件で何か動いてるそうだし」
「弁護士!?」
「何でこんな事件に弁護士が!?」
「何かを揉み消そうとしているらしいよ」
また皆に話すのだった。そのサイトを見ながら。
「随分とね」
「何でだろう」
「それって」
「おかしいよね」
ここで皆にこのことを問うた竹山だった。
「これって」
「おかしいっていうか」
「何、それ」
「警察とか探偵じゃなくて弁護士が!?」
皆彼の言葉を聞いて口々に言う。
「事件で動くのかしら」
「しかも揉み消してって」
「何なんだろうな」
「その弁護士だけれど」
彼はさらに言ってきた。
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