ある晴れた日に
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559部分:もう道化師じゃないその十
もう道化師じゃないその十
「そいつ見つけたら只じゃおかねえよ」
「ネットじゃ色々と言われてるよ」
また竹山が言ってきた。
「この街で最近怒っているこの話のことが話題になっている場所があるんだ」
「っていうとあそこか?」
「あのサイトか?」
坂上と坪本は同時に言ってきた。
「あの巨大掲示板のとことだよな」
「そこか」
「うん、裏事情とかね。そういう場所だけれど」
そうしたその巨大掲示板群サイトでも地下情報に属する場所での話だというのだ。
「少し話題になってるんだ。オカルト関連でも噂になってるし」
「オカルトっておい」
従兄弟の今の話につい突っ込みを入れた野本だった。
「また随分と変な話になってるな」
「けれどそれも無理ないよ」
桐生がここで野本にそっと言ってきた。
「かなり不気味な話だしね」
「うん、だからなんだ」
まさにそこにそうしたオカルト関係にまで話が至っている原因があると話す竹山だった。
「実際に犯人は悪霊とかそう言う人もいるよ」
「悪霊って」
「何なんだよ」
「実際に」
ここで竹山の声の色が急変した。それまでは普段の彼の客観視した落ち着いた言葉だったがそこに嫌悪感が満ちたのである。白からドス黒い灰色になったかのように。
「こんなことをする奴は悪霊と同じだよ」
「悪霊と同じ」
「それは確かにな」
「普通の奴じゃない、それは確かだよ」
「じゃあ未晴は」
「その普通じゃない奴にやられたっていうの」
「それは誰かはわからないけれど」
その悪霊に等しい人間が誰かということは、ということだった。
「それでも。確実に碌な奴じゃないね」
「そいつに未晴が」
「やられたのなら」
「許せねえな」
皆は口々に言った。
「何があっても」
「そいつだけは」
「見つけ出したいな」
「けれどね」
ここでまた言う竹山だった。
「今は誰かもわからないよ」
「誰かさえも」
「この街にいるかどうかも」
「だからそれよりも」
彼の言葉は続く。
「今は竹林さんのことはね」
「何とかしていくか」
「そうね」
答えはそこに行き着くしかなかった。
「とにかくあいつを」
「あと音橋も」
「音橋ね」
恵美が言った。
「あいつは絶対に諦めないわね」
「絶対になの?」
「そう、絶対にね」
奈々瀬に対しても答える。
「諦めないわ」
「私も」
恵美の言葉を聞いて奈々瀬は弱い声で言った。
「私も諦めたくない」
「そうなの」
「諦めたくない」
こう言うのである。
「未晴、絶対によくなるわよね」
「なるわ」
一言だったが確かな声で告げる恵美だった。
「絶対にね」
「そうよね。だから」
恵美の言葉を聞いて顔をあげる奈々瀬だった。
「私だって」
「また明日行きましょう」
その奈々瀬の背を叩いて言ってきたのは茜だった。
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