ある晴れた日に
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531部分:空に星は輝いているがその十八
空に星は輝いているがその十八
「二人のことは」
「どうしたら」
「俺達も竹林のこと知ったよな」
また言ってきた野本だった。
「それであいつがそのことに気付かないと思うか?」
「それは」
「気付かないって」
「もう一つ言うぜ」
何時になく切れている感じの野本だった。
「このことを先生達が気付かないと思うか?あいつも」
「音橋も」
「それでなの」
「そうなんだよ、どうなんだよ」
野本はさらに言う。
「絶対にわかるしよ。それに」
「それに?」
「あいつをそのままにできるのかよ」
皆、特に五人を見ての今の言葉だった。
「どうなんだよ。そんな風になっちまった竹林放っておけるのかい」
「そんなことできる筈ないでしょ」
「そうよ」
五人は俯いているがそれでも応えるのだった。
「未晴とはずっといたのよ」
「友達よ」
「いえ、それ以上なのよ」
それだけ深い絆なのは彼女達自身が一番わかっていることだった。
だからこそ。俯いていても言葉が出たのだった。
「それで何でなのよ」
「放っておけるっていうんだよ」
「じゃああれだね」
五人のそうした言葉を聞いてすぐに言ったのは竹山だった。
「答えは出たね」
「答えが」
「出たって?」
「竹林さんを絶対に見捨てないよね」
このことをあらためて言う彼だった。
「だったら」
「そうだよな」
「俺達だってな」
今度言ったのは男組だった。
「放っておけないよな」
「そうだよな」
こう口々に言うのだった。
「やっぱりな。ここは」
「出来るだけのことをするか」
彼等もまだ俯いていた。しかしそれでも言葉を出すのだった。
「それじゃあな」
「決まりだね」
桐生は彼等の話をまとめてきた。
「それでだね」
「あのですね」
「いいですか?」
五人がおずおずと晴美に対して言ってきた。普段の馴染みの様子は消えている。そうしたことを出せる様な状況ではなくなっていた。
「私達も」
「未晴のことで」
こう言っていく。
「出来るだけのことをしていきたいんですけれど」
「駄目ですか?」
「それで」
「御願いできるかしら」
晴美もまだ頷いていた。しかしこう声をかけるのだった。
「それで」
「はい、それじゃあ」
「やらせてもらいます」
「出来るだけのことを」
五人は俯き続けている。しかし言葉ははっきりとしていた。
そうしてだった。彼等もだった。
「俺達もです」
「やらせてもらえますか?」
「未晴の為に」
男組だけでなく明日夢達も加わっていた。
「出来るだけ」
「やらせてもらって」
「皆そう言ってくれるのね」
晴美の顔がほんの僅かだが晴れた。
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