ある晴れた日に
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
504部分:冷たい墓石その十二
冷たい墓石その十二
「いいね」
「はい」
「それじゃあ」
こうして五人は教頭先生と別れてそのうえで校門に向かった。そこにはもう明日夢が一人で待っていた。相変わらず外見はスカートは短く長袖の袖をあげてネクタイはラフにしている。その格好自体は中々勇ましいが背の低さがかえって女の子らしさを見せてしまっている。
その彼女が校門にいた。彼女は五人を見つけるとすぐに言ってきたのだった。
「じゃあ行くのね」
「ええ」
「朝のうちに決めたしね」
「それじゃあ。メイド服五着ね」
言いながら携帯を取り出し何処かにメールするのだった。
「これでいいわね」
「あのさ、今メールしたのって」
「何処なの?」
「お店」
こう五人の問いに答える明日夢だった。
「お店にね」
「それ普通のお店?」
「メイド喫茶とかならいいけれど」
言いながら五人はさらに。とんでもないことを考えてしまったのだった。
「風俗店とかじゃ」
「イメクラとかデートクラブとかデリヘルとかじゃないわよね」
「あんた達も結構詳しいのね」
明日夢はその携帯をなおしながら五人に応えた。言いながら彼女達を連れて学校を出ている。移動しながら彼女達に対して言うのだった。
「そういうお店って」
「まさかと思うけれど関係ないわよね」
「少年の家ってそういう世界と」
「と思うでしょ」
これまた実に思わせぶりな言葉だった。
「そう」
「と思うでしょ、って」
「つまりそれは」
五人はそれを言われてさらに不吉な顔になった。
「じゃあ私達何かあったら」
「そうしたお店に売られるとか?」
「高校生売春!?」
これまた実に不吉な言葉であった。
「そんなのに売られるなんて」
「何て怖いお店なの?スタープラチナって」
「それはないから」
ところが明日夢はそれはないというのだった。
「それはね」
「そう。ないの」
「それは」
「ないわよ。ただのコスプレ専門店からよ」
そこからだというのである。
「うちはそういうお店とは縁がないからね」
「だったらいいけれど」
「縁がなかったら」
いいというのだった。とりあえずは。
「けれど何ていうか」
「さっきの言葉は嘘に聞こえなかったし」
五人はまだ明日夢の言葉に信じられないものを感じていたのだった。
「そういう世界とね」
「縁がありそうで」
「お父さんやお母さんはないわよ」
それはないというのである。
「まあそっちから流れてる人もお店にいるかも知れないけれどね」
「そうなの」
「アルバイトとかで?」
「白鯨にはそれっぽい人もいるし」
「いるんだ」
五人はそれを聞いてまずは少しきょとんとした顔になった。
「そういう人も」
「お店にいるの」
「お客さんだけじゃないわよ」
明日夢はさらに言葉を加えてきた。
「アルバイトで来てる人もね」
「そういう人も来るのね」
「やっぱり」
「来るわよ。もっともうちも相当やばそうな経歴でもないとね」
「雇うのね」
「結局はあれなのよ」
明日夢は一呼吸置いてから五人に話した。
ページ上へ戻る