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おぢばにおかえり

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第五十三話 おさづけの理その三

「それでもいるんだ」
「何でいるんでしょうか」
 そのことが謎でした、もう何が何だからでした。
「阿波野君が」
「それで呼ぶけれど」
「いえ、呼ばなくてもいいです」
「あっ、今から呼ぶから」
 詰所の事務所にいる白石さんが言ってきました。大柄で太った体格に一重の目でお髭もある凄く目立つ人です。
「待っててね」
「ですから呼ばなくても」
「まあまあ」
 私が言ってもでした、白石さんは阿波野君を呼びました、すると阿波野君はすぐに事務所の前まで来て言ってきました。
「先輩、いよいよですね」
「いよいよって阿波野君には関係ないわよ」
 私はむっとした顔で阿波野君に言いました。
「二年後のことでしょ」
「いえいえ、先輩にとっては一生のことですから」
「それでなの」
「お祝いに来ました」
「別にいいわよ」
 自分でもわかる位お口をへの字にさせて言いました。
「そんなことは」
「いいんですか?」
「わざわざ残らなくても」
「お祝いにでもですか」
「そこまでしてくれなくていいから」
 阿波野君にこうも言いました。
「本当にね」
「そうですか」
「気持ちだけでいいから」
 お祝いしてくれるならです。
「それだけでね」
「ううん、じゃあお花とかは」
「いらないからっていうか」
 今の言葉にまさかと思って聞き返しました。 
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