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おぢばにおかえり

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第五十三話 おさづけの理その二

「あっという間でした」
「それは誰もが言うよ」
「長い様であっという間だったってですね」
「言うんだよね」
 私に笑ってお話してくれました。
「本当に」
「そうですよね」
「うん、僕もだったよ」
 この人も天理高校出身です、つまり私の先輩でもあります。
「三年間あっという間だったよ」
「そうだったんですね」
「長い様に思えてね」
「それがだったんですか」
「本当にあっという間だったよ」
「私と同じなんですね」
「そうだよ、千里ちゃん見てると思い出したよ」
 おさづけの理を受けるという私にというのです。
「おつとめ着を着て参拝もしたよ」
「今の私みたいに」
「全部同じだよ、じゃあね」
「はい、今から」
「おつとめ着に着替えてね」
「参拝言ってきます」
「さて、あとね」
 ここで大教会長さんのお弟さんは笑ってこうも言いました。
「彼は来てるかな」
「彼っていいますと」
「阿波野君も来てるけれど」
「えっ、帰ったんじゃないんですか?」
「いるよ、呼ぶ?」
「いえ、どうしているんですか?」
 私は思わず聞き返してしまいました。
「阿波野君が」
「いや、どうしてって言われても」
「一年の子はもう全部終わったのに」
 それでお家や寮に帰るだけだというのにです。
「明日から始業式で」
「そうなんだけれどね」
 大教会長さんの弟さんは私ににこにことして言ってきました。 
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