ある晴れた日に
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502部分:冷たい墓石その十
冷たい墓石その十
「そっちに行くんだよな」
「ええ、そうよ」
「決めたわ」
話しているうちに決めたのだった。スタープラチナに行くことを。ここで加山と千佳も皆のところにやって来たのだった。この二人もだ。
「どうかしたの?」
「皆集まって」
「ああ、ちょっと」
「音橋がな」
皆相変わらず自分の席に座ってギターを持ったまま動こうとしない彼を見ながら二人に話す。その加山と千佳に対してもだった。
「昨日市立病院にお見舞いに行ってたって」
「春華が見たっていうのよ」
「何でなんだろうな」
春華は二人にもこのことを話したのだった。
「あいつが市立病院にいたのな」
「ふうん」
加山は話を聞いた。しかしそこであえて止めるのだった。
そしてそのうえで。いつもの表情を作ってから皆に述べるのだった。
「どうしてなんだろうね」
「わからないよな、やっぱり」
「何でなんだろ」
皆加山は何も知らないし何も聞いていないと思った。少なくとも加山はそう思わせることに成功した。とはいっても彼も全ては知らなかった。
「大変なことじゃなかったらいいけれどね」
「だよな、本当に」
坪本が今の千佳の言葉に頷いた。
「けったいな話だぜ」
「最近彼おかしかったけれど」
千佳もここで正道を見る。やはり彼は一人自分の席に座ったままである。
「病院だったの」
「そうみたいなんだよ。で、まあそれでさ」
春華は今度は千佳にだけ話した。
「うち等な、今日スタープラチナに行ってな」
「少年のお店に?」
「そこにあいつの中学校同じだった娘がいるんで話を聞くのよ」
そうすると。彼女にも告げた。
「今はな」
「そうなの。けれど」
「ああ、わかってるさ」
千佳に対しても真面目な顔で答える春華だった。
「やばいようなことは聞かないからな」
「そうした方がいいわよ」
「じゃあ今日の放課後ね」
明日夢はここでも五人に告げた。
「集まってスタープラチナね」
「ええ」
「それじゃあ」
これで話はおおよそ決まったのだった。そんな話をしているうちに限目の予鈴が鳴った。皆ここでふと二人程いないのがわかった。
「あれ、あいつ等」
「また遅刻かよ」
「全く。竹山もね」
皆そのことに気付いたのだ。二人がいないことに。
「またあれか。野本の馬鹿起こしに行って」
「あいつが中々起きなくて」
「二人で遅刻ってわけね」
皆の言葉はさながら流れる様であった。
「あいついい加減学校で寝泊りしろよな」
「当直室でね」
そしてこんな風にも言われるのだった。
「そうしたら誰も迷惑しないのに」
「全く」
「さて、それじゃあさ」
加山がその皆に言ってきた。
「そろそろ授業だから」
「そうね」
「自分の席に座るか」
学校の授業がはじまる。そのことが話された。
「今日最初の授業何だったっけ」
「確か英語のグラマー」
「それはまずいわね」
咲がグラマーと聞いて顔を曇らせてしまった。
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