夜の声
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第四章
「ちょっとね」
「ちょっとっていうと?」
「ひょっとしてあんたもそのうちわかるかもね」
「わかるって何よ」
「何かとよ、じゃあ夜勤続けましょう」
「よくわからないけれどわかったわ」
同僚は実際に彼女の言っている意味がわからないままだった。彼女の言葉に頷いて今度は自分が巡検に出たが帰った時間は普通だった。
しかし二人が入院している間にだった。
ナース達は次第にわかっていった、それで彼女達の間で話した。
「昨日もだったのよ」
「えっ、昨日もなの?」
「夜にしてたの」
「そう、またあの娘彼の上でね」
そこでというのだ。
「もう激しかったわよ」
「若いわね、二人共」
「毎日何度もしてるわね」
「流石高校生ね」
「うちの彼氏以上ね」
「私の旦那も見習って欲しいわ」
「全くよね」
こんなことを話す様になっていた、二人について。
「ばれてないと思ってるみたいだけれど」
「お昼あれだけいちゃついてててね」
「毎晩だとね」
「そりゃ気付くわよ」
「喘ぎ声漏らしてるから」
「お部屋の外まで聞こえてるから」
「そんなことは見ないふりしなさい」
ナース長も苦笑いで言うのだった、責任者である立場の人も。
「いいわね」
「まあこうしたことはですね」
「恋愛については」
「患者さん同士でも」
「毎晩こっそり位は両目を瞑ってね」
片目どころでなく、というのだ。
「見ないふりをして声もね」
「聞こえない」
「そういうことにしておくんですね」
「院長さんも気にしない様に、だから」
そう言っているからだというのだ。
「犯罪とか感染の危険がないならよ」
「何も言わない」
「あえてですね」
「こうしたことは馬に蹴られてよ」
そうした案件になるというのだ。
「だからいいわね」
「わかりました」
「それじゃあです」
「このことは気にしないです」
「そうしていきます」
「そういうことでね」
こうしてだった、二人のことはいいとされた。だが遥はその二人のことを見て聞いてからそれで同僚に言った。
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