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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第五幕その四

「本当に迷路みたいだね」
「ああ、そのことだね」
「実際にそうだよね」
「日本のお城だけあってね」
「何処が何処なのかわかりにくくて」
「道も入り組んでいて」
「ちょっと油断したらね」
 それならと言うのでした。
「道に迷ってね」
「困ったことになるね」
「何度巡ってもこうだとね」
「最初に何も知らずに攻め込んだなら」
「大変なことになるね」
「そしてそこでね」 
 先生はすぐ傍にあった櫓を見上げました、そうして皆に言うのでした。
「櫓とか城壁の穴からね」
「攻撃を受けてね」
「やられるんだね」
「そうなっちゃうんだね」
「そうだよ」 
 まさにというのです。
「だから攻めにくいんだ」
「ただ奇麗なだけじゃなくて」
「護りも凄いんだね」
「このお城攻めようと思うと苦労するね」
「絶対に」
「そうだよ、ただお城の堅固さで言うと」 
 その堅固さで言うならというのです。
「豊臣秀吉さんの大坂城は一番かな」
「ああ、あのお城ね」
「そういえば当時は大阪じゃなくて大坂だったね」
「先生もそこはわかってるんだね」
「そう、大坂城はね」
 豊臣秀吉さんの頃のこのお城はといいますと。
「もうどうして攻めにくく守りやすくするか」
「豊臣秀吉さんが考え抜いて」
「そうして築いたから」
「実際に攻めにくかったんだね」
「文字通り難攻不落っていう位に」
「そうだったんだ」
 実際にというのです。
「川が入り組んでいる中に築城して」
「大阪って橋が多いですね」
 トミーがこのことを言いました。
「その地名が」
「そう、つまりね」
「それだけ川が多かったんですね」
「その中にお城を築いたからね」
「川に守られていたんですね」
「只でさえね、そしてね」
 先生はさらにお話しました。
「そこに豊臣秀吉さんはね」
「考え抜いてですね」
「城攻めの名人と言われただけにお城のことがよくわかっていたけれど」
「そのことを最大限に活かして」
「築城したんだ、ものもお金もかなり使ってね」
「そうして築いたんですね」
「巨大なお城をね」
 川に守られている大坂の地にです。
「外堀も内堀も築いて」
「どの堀も幅があって深くて」
「石垣は高くて険しい、壁も高くて門は堅固で櫓も多い」
「まさに難攻不落だったんですね」
「だから誰も攻め落とせないとね」
「そこまで言われていたんですね」
「そうだったんだ」
 文字通りにというのです。
「大坂城はね」
「だから徳川家康さんも」
「攻める時に謀略を使って」
 そうしてというのです。
「外堀も内堀も埋めてね」
「一時休戦の時に」
「そうして石垣も壁も櫓も壊してだよ」
「その守りの殆どを取ったんですね」
「そうでもしないとね」
 それこそだったというのです。 
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