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ドリトル先生と姫路城のお姫様

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第四幕その八

「お会いするとなるとね」
「お姫様だからだね」
「失礼のない様にね」
「そのことはわかっているよ」
「戦士絵は紳士だから間違いないけれど」
 それでもというのです。
「やっぱり相手の方が相手の方だから」
「兵庫の妖怪の総大将だからだね」
「そうよ、人間の世界で言うと知事さんになるけれど」
「君主に等しいね」
「お姫様だから」
 そうした立場だからだというのです。
「一応ね」
「念押しだね」
「それで言っておくわ」
「わかったよ、それじゃあね」
「ええ、そういうことでね」
「そのことは注意しておくよ」
「お願いね」
 このことを先生と動物の皆に言ってでした、そのうえで。 
 お静さんはお店に戻りました、そうしてでした。
 先生はお静さんを送ると論文の執筆に入りましたがここで動物の皆が先生にしみじみとした口調で言いました。
「お静さんもわかってるね」
「先生のことがね」
「しかも占ってくれてね」
「その占いの結果がよかったわね」
「これじゃあね」
「私達も安心よ」
 笑顔で言います。
「これは僕達にとっても吉報だよ」
「そうそう、こんないいニュースないよ」
 オシツオサレツが二つの頭で言います。
「結婚出来るんだね、先生」
「それも確実に」
「じゃあここはね」
 老馬もにこにことしています。
「僕達も頑張っていこう」
「占いは道標」
 ダブダブは右の羽根を挙げて言いました。
「ならその道に行くことよ」
「そうよね、道が見えたら」
 ポリネシアはダブダブの言葉に頷きました。
「そこに行くだけよね」
「しかも妖力を持つ猫又の占いだよ」
 ホワイティはそれならと言います。
「こんな心強いことはないよ」
「幾ら先生が鈍感でもね」
 ガブガブは先生を見て言いました。
「確かなことを言ってもらったから」
「じゃあ何の心配もないね」
「私達も応援していきましょう」
 チープサイドの家族もこう言います。
「あの人のお力になって」
「どんどんとね」
「先生の背中も押して」 
 トートーは先生をその丸い目で見ています。
「やっていこうね」
「肝心の先生は相変わらずだけれど」
 もうチーチーにもわかっていることです。
「それでもだよ」
「こんないい占いのこと言われたら」
 まさにと言うジップでした。
「僕達も前に前にだね」
「何かわからないことを言ってるね」
 先生だけがこう思います。
「皆で」
「ああ、もうね」
「先生が気付かなくてもね」
「僕達は確かな道標を教えてもらったし」
「心配しなくなったわ」
「だから先生が気付かなくても安心よ」
「いや、安心とかね」
 やっぱり先生だけがわかっていません、お言葉にもはっきり出ています。 
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