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ある晴れた日に

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446部分:辺りは沈黙に閉ざされその十三


辺りは沈黙に閉ざされその十三

「動く」
「君はそうするんだ」
「あの連中とはまた違う」
 五人を見ての言葉だ。だからだというのだ。
「やってみるからな」
「頑張ってね」
 加山はその彼に静かに告げた。
「そして何とかね」
「成功させる」
 言葉は強くはっきりしたものだった。
「絶対にな」
「それで何かわかあればいいね」
「そうだな」 
 加山の今の言葉に静かに頷いた。
「本当にな」
「とにかく今日にでもだけれど」
「今日なら丁度いいだろうな」
 正道は言った。
「帰りが早いからな」
「ああ、そうだね」
 加山は言われてこのことに気付いた。今日は始業式である。学校はそれで終わりだ。実質午前だけで終わるのである。 
 それからだった。皆で未晴の家に向かう。既にお見舞いの品は買っている。
「今日はドーナツか」
「それもミスタードーナツだな」
「それでいいんじゃないの?」
 奈々瀬が持っている。その彼女が佐々と野茂に言葉を返す。
「これでさ。未晴ドーナツ好きだし」
「何か甘いもの買うの多いな」
「そうだな」
「一応未成年だし」
 そのミスタードーナツの紙の箱を見ながら言う奈々瀬だった。それは手にしっかりと持っている。そのうえで彼等と話をしている。
「お酒持って行くわけにはいかないじゃない」
「まあそれはな」
「幾ら何でもな」
 彼女の言葉に坂上と坪本が応える。
「普段あれだけ飲んでいてもな」
「持って行くのは流石にな」
「だからこれにしたのよ」
 そういうことだった。それなら、というわけだ。
「それに飲み物は」
「これだよな」
 それは春華が持っていた。午後の紅茶の一・五リットルのボトルが三本入っている。
「お茶とかコーラが一番だよな」
「そうね。未晴午後の紅茶好きだし」
「普通のとミルクにレモンかよ」
「揃えたんだ」
 野本と竹山がそれを見て言う。
「やっぱりそれもあれか」
「竹林さんの好きなものなんだ」
「そうだよ、未晴好茶が大好きなんだよ」
 春華はその手に持っている紅茶が入ったビニール袋を肩の高さまであげてそれを見るのだった。その顔は確かな目で微笑んでいた。
「だからこれなんだよ」
「何か御前等本当に未晴のことがわかってるんだな」
「それは感心するよ」
「全くだぜ」
 男組はそんな五人のことを素直に褒めた。
「それで気も使ってるんだな」
「しっかりと」
「当たり前でしょ」
「だから幼稚園からの付き合いよ」
 咲と静華が言うのだった。
「それで気を使わないでどうするのよ」
「こんな時に」
「私が捻挫して困っていた時なんかね」
 今度は凛が皆に言う。
「いつも傍にいてくれて助けてくれたし」
「だからか」
「それであいつになんだな」
「時間があったらそれこそいつもよ」
「顔出すわよ」
 こうまで言うのだった。
 
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