ある晴れた日に
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445部分:辺りは沈黙に閉ざされその十二
辺りは沈黙に閉ざされその十二
「だからそれはよくないわ」
「何よ、じゃあそれも駄目なの」
「動けないじゃない、やっぱり」
「そうだ、探偵さん雇わない?」
しかしまだ諦めていない面々であった。今度は奈々瀬が言うのだった。
「探偵さんをね。どうかしら」
「あっ、だったらパパに御願いしてみようかしら」
咲が奈々瀬のその提案に乗った。
「お金出して貰って調べてもらって」
「やってみる?」
「そうね」
「それもどうかしら」
だがそれも明日夢が懐疑的な言葉を出してきた。
「上手くいくかしら」
「けれど。探偵さんよ」
「プロなのよ」
「居場所は何とかわかってもね」
明日夢は言うのだった。
「物凄い場所とかに隔離されていたらどうなのよ」
「物凄い場所って」
「どんな場所?」
「隔離病棟とか」
明日夢がここで出すのはこれだった。
「そうした場所だったらそれこそ探偵さんでも中に入れないわよ」
「隔離病棟って」
「まさか」
五人は流石にそれは否定したかったし否定した。
「風邪でそこまではないんじゃないの?」
「そうよ。風邪ならよ」
「風邪ならね」
またこう言う恵美だった。
「確かにそこまではいかないけれど」
「何かよ。本当に今は動かない方がいいぜ」
「御前等の気持ちはわかるけれどな」
男組もここで五人に対して言うのだった。
「そうしろ。いいな」
「様子を見るんだ」
「様子を見る?」
「そうする?」
ここに至ってようやく立ち止まった五人だった。誰もが残念そうな顔で見合ってそのうえで観念したような声を出して言うのであった。
「仕方ないし」
「そうね」
「動かないのもやり方だよ」
ここで彼女達に言ったのは竹山だった。
「だからね。いいね」
「そうするしかないわね」
「残念だけれど」
こう言うしかなかった。最早。
「じゃあ未晴のお家に行くだけにするわ」
「お見舞い持ってね」
「それが一番だと思うわ」
茜も五人を慰めるようにして言ってきた。
「だから。今日にでもね」
「俺達も行くからな」
「一緒に行こうぜ」
男組もこう言ってきたのだった。
「お菓子でも買って行ってな」
「そうしましょう」
「わかったわ」
「それじゃあ」
こうして五人だけでなく皆で行くことにしたのだった。その間正道は皆のやり取りを離れた場所でじっと見て聞いているだけだった。そしてその横には加山がいた。
「ねえ」
「一緒に行くかどうかか」
「行くの?」
こう彼に問う竹山だった。
「やっぱり」
「ああ、行く」
答えは一つしかなかった。
「俺もな」
「そう。行くんだ」
「行ってそれからだ」
また言う正道だった。
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