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レーヴァティン

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第百八話 善行がもたらした果報その三

「文字通りにな」
「そや、小悪党の小細工や」
「それに引っ掛かる様ではな」
「世界を救うなんてな」
「無理だ」
 英雄は騙し討ちに対するもの以上の否定を持ってあらためて述べた。
「それこそな」
「そや、それでや」
「前以てか」
「忍のモンを送ってな」
「城の中を調べさせたか」
「わい等を迎える用意はしていても」
「宴だな」
「それはしててもな」
 それでもと言うのだった。
「罠とか毒はな」
「なかったか」
「何もな」
「降るのは本意か」
「間違いなくな、安心してええわ」
「それは何よりだ」
 英雄は耕平のその話を聞いて頷いた、そのうえでの言葉だった。
「では城では酒に馳走が楽しめるか」
「ウツボもおったで」
「ウツボか、そういえばな」
 この魚のことを聞いてだ、英雄は考える目になって述べた。
「この国ではウツボも食っているな」
「そや、海の幸が豊富な国でもあってな」
「その魚も獲れてな」
「食べてるわ」
「そうだったな」
「あと梅もあったで」
「それは欠かせないな」
 梅と聞いてだ、英雄は納得した声で述べた。
「まさにな」
「紀伊やとな、あと蜜柑もあるわ」
「それは食後のだな」
「言うならお菓子や」
 それになるというのだ。
「お茶も用意されてたみたいやで」
「本格的なもてなしだな」
「それをしてな」
 そのうえでというのだ。
「わい等の下に入るらしいわ」
「本気ならいい」
 本気で降るならというのだ。
「ならな」
「ほなやな」
「紀伊和歌山城に入りだ」
「そこからやな」
「紀伊の領有を宣言する」
 一国を手中に収めたことを言うというのだ。
「大きくな」
「そうするか」
「そうする、しかしだ」
「しかし?」
「忍達は次々と降ってきているが」
 そちらを受け持っている峰夫を見ての言葉だ。
「もう一つのな」
「ああ、高野山か」
「そちらはどうなるか」
「そちらはです」 
 その峰夫が言ってきた。
「どうやらです」
「降るか」
「はい、山の民達にです」
 領民とした彼等にというのだ。
「調べさせていますが」
「降る気配か」
「どうやら」 
 そうだというのだ。
「流れは」
「そうなのか」
「こちらが魔物退治に精を出していると聞いてであります」
「それならと思ってか」
「他の勢力と同じく」
 まさにというのだ。 
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