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ある晴れた日に

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425部分:夏のそよ風吹く上をその八


夏のそよ風吹く上をその八

「最後まで家まで帰れるぜ」
「最低限の意識は残っているからな」
 あくまで最低限である。しかしその最低限の意識までなくしてしまうのが酒というものである。なくしてしまえば終電の電車に乗り遅れてしまうのである。
「だからいけるけれどよ」
「御前等。どうなんだよ」
 彼等はここで五人を見るのだった。
「本当に大丈夫なんだろうな」
「五人で終電の電車の中ってのはないだろうな」
「大丈夫だって」
「そうそう」
 しかし五人はふらふらになりながらもこう言うのだった。
「多分さ」
「これからスラープラチナ行くし」
「マジで!?」
 それを聞いて本気で目を顰めさせた明日夢だった。
「そんなのでカラオケやるの」
「そこで二次会するのよ」
「いいだろ?少年よお」
「こっちとしてはそれでもいいけれど」
 お客ならば歓迎というわけだった。
「けれど。帰られなくなったらどうするのよ」
「その時は次の日メイド服でスタープラチナでアルバイトするから」
「安心してよ」
 五人でイソギンチャクの様にゆらゆら揺れながらの言葉であった。
「その時はさ」
「それでいいでしょ」
「メイド服でねえ」
 その話を一応聞く明日夢だった。
「言っておくけれどあれよ」
「あれ?」
「あれって?」
「バイト料は出ないわよ」
 このことは強く釘を刺すのだった。
「それは覚悟しておいてね」
「了解」
「じゃあいざスタープラチナへ」
「それじゃあお客さん今から連れて行くから」
 こう皆に告げる明日夢だった。
「それでいいわよね」
「ああ。ちゃんと送る奴がいたらな」
「俺達は別にな」
 男組はそれでいいとするのだった。
「最悪俺達が送ろうかって考えてたんだけれどな」
「ただなあ」
 しかしここで憮然とした顔にもなるのだった。
「こんな色気も何もねえ連中送ってもなあ」
「しかも半分泥酔だしな」
「何言ってんのよ、こんな美人捕まえて」
「しかも五人よ、五人」
 既にイソギンチャクから虎になろうとしていた。
「それで何言ってんのよ」
「やっちゃうわよ、本当に」
「駄目だこりゃ」
 茜は今の五人の言葉を聞いて肩を竦めさせた。
「これじゃあね。ちょっとね」
「本当にスタープラチナまで着けるのかしら」
 明日夢もこの辺りが不安なのだった。
「着いてもこれじゃあ絶対に」
「だから大丈夫だって」
「そうそう」
「酔ってないし」
 酔っている人間こそが言う言葉だった。
「安心していいって」
「五人だけでスタープラチナ行けるから」
「それは絶対に無理ね」
 今言ったのは恵美である。
 
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