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ある晴れた日に

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424部分:夏のそよ風吹く上をその七


夏のそよ風吹く上をその七

「それだがな」
「おっ、じゃあ何なんだよ」
「どんな曲だよ、それで」
「チューブだ」
 それだというのである。夏といえばこのグループと言っていい半ば伝説となっているグループである。その曲も殆ど全てが夏を歌っている。
「あのグループの曲だ」
「あっ、いいな」
「いいわね」
 皆チューブと聞いて明るい声を出したのだった。
「それじゃあどんな曲?」
「何歌うんだよ」
「さよならイエスタディだ」
 それだというのである。チューブの代表曲の一つだ。
「それを歌う」
「よし、じゃあ歌ってくれよ」
「是非ね」
 皆またビールを飲みながら歌うように急かす。
「やっぱり夏はチューブだよな」
「そうそう」
「夏にあれ聞かないとはじまらねえよ」
 春華はことさら上機嫌だった。
「チューブ大好きなんだよ、あたし」
「あんた音楽は結構何でもいいじゃない」
「何でも聴くじゃない」
 また五人の仲間が春華に対して言うのだった。
「それでチューブ限定みたいに言われても」
「どうかしら」
「いいじゃねえかよ」
 しかし春華はこう返すのだった。
「それでもよ。チューブも好きなんだよ」
「チューブもか」
「成程な」
 皆今の言葉で納得した。
「まあそれならそれでいいな」
「そういうことでね」
「じゃあ歌うな」
「ああ」
「頼むわね」
 皆正道がギターを奏ではじめたところでまた応える。こうして彼はそのギターを奏でてそのうえで歌を歌うのだった。そのチューブの歌を。
 歌が終わって暫くして解散となった。皆それぞれ帰り道に着く。
「大分飲んだな」
「そうだよなあ」
「もう私足ふらふら」
 実際に千鳥足になっている者も結構いた。
「結構黒ビールって効く?」
「そうかも」
 散々飲んでから言う言葉だった。
「思った以上にね」
「普通のビールよりも」
「黒ビールはそうだぜ」
 ここで佐々が彼等に言ってきた。その黒ビールを出した本人である。
「濃くてな。かなり効くんだよ」
「確かに」
「もうふらふら」
「おい、大丈夫かよ」 
 本当に千鳥足になっている面々を見て心配な顔を見せる佐々だった。
「まともに家に帰れるんだろうな」
「心配しなくていいわよ」
「大丈夫だからよ」
 だが彼等はこう返すのだった。
「気にするなって」
「安心していいわよ」
「だったらいいんだけれどな」
 佐々はあまり信頼していない顔だがそれでもここは見送ることしかできなかった。
「それだったらな」
「まあ俺達は大丈夫だけれどな」
「俺達はな」 
 男組はこう言うのだった。
 
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