ドリトル先生と姫路城のお姫様
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第二幕その四
「神様になっていてね」
「それで今やね」
「普通に神様だからね」
「そうなっているから」
「人間と神様の垣根も低くて」
「妖怪についても」
「だから恋愛もだね」
まさにと言う王子でした。
「普通に書けるんだね」
「泉鏡花にしてもね。だから泉鏡花は今で言うと」
どうなるかといいますと、先生が言います。
「ファンタジ―小説家だね」
「成程ね」
「そちらの人になるんだ」
「今で言うとね」
「ファンタジー小説家ね」
「ライトノベル作家みたいね」
「そうだよ、純文学と言うと堅苦しいけれど」
それでもというのです。
「そう考えると近寄りやすいね」
「確かにね」
「そうなるよね」
「文学は堅苦しいイメージを持つ必要はない」
「先生はいつも言っているしね」
「これは他の作家にも言えるよ」
泉鏡花以外もというのです。
「泉鏡花以外のね」
「そうなんだね」
「じゃあ夏目漱石さんもかな」
「あと森鴎外さんもね」
「そうなのかしらね」
「純文学と考えると難しい感じがするけれど」
「そう、舞姫とかはね」
先生は森鴎外の代表作を出しました。
「恋愛小説だね」
「あっ、確かに」
「あの作品は恋愛小説だね」
「日本から来た留学生とドイツの女の子の」
「悲恋だね」
「そうなるよ、どうも実際にあったお話みたいだけれど」
そう言われているというのです。
「森鴎外本人かお友達の人のね」
「あの、ちょっとね」
「実際だったあのお話酷くない?」
「女の人捨ててるし」
「そうなってるから」
「そうだね、どうも森鴎外は作品は素晴らしいけれど」
それでもというのです。
「人間としてはね」
「ああ、問題があったね」
「脚気のこととかで」
「先生前そんなお話してたかしら」
「脚気の論文書いてる時に」
「あれだね、脚気は栄養の問題だね」
王子も脚気については知っています。
「ビタミンB1不足でなるね」
「そうだよ」
先生もその通りだと答えます。
「だから麦がいいんだ」
「そうだよね」
「けれど昔の日本人はね」
「白米ばかり食べていて」
「都会や軍隊ではね」
「それで脚気が深刻な問題になっていたんだ」
当時の日本ではです。
「けれど森鴎外は脚気菌があるって思って」
「あの人は細菌学を学んだからね」
「そちらの分野のお医者さんだったからね」
それでというのです。
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