魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第二百十二話
一夏達が夕食に天下一品のこってりラーメンを食べているのと時を同じくして。
西サハラ地域。
先行建造エリア地下50メートル。
立方体の部屋の中で、奏が台の上の球体に手をかざしていた。
「IScoreType-OBSESSION起動」
<IScoreType-OBSESSION Prot1 set up>
ホロウィンドウが開き、奏の目の前に注意事項が表示される。
「承認」
<使用者・織斑奏の承認を確認。
被憑依システム起動完了。
プログラムの精査を完了。
カンファレンスのアクセスを確認。
カンファレンスの情報支援を確立。
カンファレンスが当機の参加を承認>
そして最後に。
<使用者は当機に憑依してください>
奏がコアに触れた。
「OBSESSION」
奏の体が光と化した。
怪異という量子生命体が、ISコアに憑りついた。
カンファレンスのバックアップを受け、奏が完全にISコアに憑依した。
「ほー…こんな風になるのか…」
奏の主観に於いては、空に浮いた自分の周りに幾重にもウィンドウが開いていた。
「暇な俺様としては、こっちの方がいいかもしれねぇな…」
テラリウム内の奏が手を振り、量子格納庫のロックを解除した。
「おもしれぇ物ばっかだな…」
奏の目の前にはワイヤーフレームで作られた3Dモデルが存在していた。
奏が念じれば、次の3Dモデルが表示される。
「これは……………鎧のボツ案か…」
奏がスクロールすると、出るわ出るわISのボツ案。
奏がコアの内部で色々やってる間。
「ひまー」
「ひまー」
「だ、そうですよ束お姉さん」
奏のいる部屋の隣。
呼ばれた束が椅子を回した。
「要するに三人とも暇なんだね?」
「「「だー」」」
束がホロウィンドウを叩く。
「んー……まぁ…こんなものかな…」
束がアタッシュケースを三つ量子展開した。
「その中にエアガン入ってるから遊んできなよ。
上の階が資材置き場になってるからさ」
「いいの?」
「魔法は使っていいの?」
と円香、エレンの順で束に質問した。
「魔法に関しては三人で決めてね。BB弾も中に入ってるから」
束がそう言うと、エレンと円香が駆け出した。
「りーちゃん、よろしく」
「まぁ、私達なら鉄パイプが落ちてきても死にはしないでしょうしね」
「そうだけども」
「大丈夫ですよ。ちゃんと面倒見ますから」
リムもアタッシュケースを持って二人を追いかける。
束はリムが背を向ける寸前、僅かに笑みを浮かべている事に気付いた。
(あ、りーちゃんがマジだ)
上の階層にて。
「わぁー…見てエレン。おっきなロボットがいっぱい」
「でも装甲がないよ?」
「あれは…フレームアーキテクトですね。束お姉さんの<資材置き場>という言い方から察するに、建設用重機として持ち込んだのでしょう」
そこは直径数百メートル高さ数十メートルの円盤上の場所だった。
織斑家地下のジオフロントと同等の物だ。
そこには大量の建材と見ただけでも十数機のFAがハンガーに立っていた。
パーツ状態のFAも含めれば五十機はあるだろう。
「遮蔽物にはこまりませんね」
積み上げられた建材は、大人でも余裕で隠れられるような物から数メートル積まれた物まであった。
「三次元戦闘までできそうだね」
ボソリとエレンが呟いた。
「先ずは魔法無しでやった方がいいですよ」
リムが近くの建材の上にアタッシュケースを置いた。
カチリとロックを外し、ケースをあける。
「ライフル、拳銃が一つずつ。ナイフが二本。
装備装着ベルト一式…予備マガジンがそれぞれ4つずつ。
BB弾が1.5のペットボトル満杯…。
あとは保護ゴーグル…。
円香、エレン、自分のケースを確認してください」
「「うん!」」
円香とエレンも中身を確認した。
内容は全て同じだった。
「剣がないね」
と円香が言うと。
「むぅ……たしかに」
「剣があったらチャンバラになってしまいますよ」
エレンは同意、リムは冷静に返した。
「ではルールを決めましょう」
「魔法どうするの? 気功は?」
エレンが指輪を見せながらリムに聞いた。
「気功は……まぁいいでしょう。魔法は一切無しでしないとここが火事になりますから。
あと、ゾンビはナシです」
最低限のルールを決めると、三人が散らばった。
そして所定の時間になると、円香とエレンが動き出した。
リムは耳を澄ませている。
(二人の位置ははっきりとわかっています…。
おそらく二人もわかっているでしょう…)
リム達三人は毎日のように三人で気功を廻したり、魔法演算領域をリンクさせている。
霊的に繋がっているのだ。
(位置的には円香は私に近い…エレンの方へ行った…?)
リムの耳にエアガンの発砲音が聞こえた。
パン、パパパパパパン……パパン…パン、パン。
(音源は離れて二つ……互いは十分離れている…。
トラップではなさそうですね…)
リムがライフルのセレクターレバーを連射にする。
(はっきり言って、エアガンの弾は普通に撃っても当たらないでしょう…)
リムがチラリと、FAのパーツ群を見る。
(FAはアーマー用のジョイントの為に穴が多く空いている…。
陣地にはいいでしょう)
リムは気配と音に気を付けながら、少しずつ後退した。
円香はエレンに対し、ライフルのトリガーを引いた。
軽い発砲音と共にBB弾が吐き出される。
(っ…! 弾が遅い!)
弾が届く頃には、エレンはもうそこにはいない。
(もっと近づかないと…)
円香が遮蔽物の影から身をだし、エレンへ突撃する。
エレンも近付かせまいとライフルを撃つ。
(これくらい避けられるっ…!)
連射とはいえ、たかだか一人分だ。
その程度なら三人には見えるし避けられる。
(射撃が正確だから避けられる…! ある意味私達のじゃくてん!)
エレンの射撃も、円香の射撃も反動ではぶれない。
気功で強化された肉体が完全にグリップを保持する。
「っ…!」
エレンが大きく飛び上がり、積み上げられた資材を越えて後退した。
「逃がさない!」
円香が資材を飛び越え追撃。
パンパンパンパン! とエレンがハンドガンで牽制する。
そしてエレンの手には細い何かが握られていた。
健在の中から取ったEカーボンの棒だ。
エレンがそれを片手で回すと黒く透明な壁ができる。
「織斑流武器術スピニングシールド!」
「あー! エレンずるーい!」
エレンは半身になりスピニングシールドに身を隠しながらハンドガンを撃つ。
円香がドラム缶に身を隠す。
二人が資材に囲まれて撃ち合っているのを、リムは上から傍観していた。
「今ですね」
FAを整備するためのキャットウォークの上で伏せていたリムが二度トリガーを引いた。
それらは弱いながらも確りと届き…。
ぺちぺちぺちぺちぺち!
「「!?」」
円香とエレンに命中した。
ばっと二人がFAハンガーの方を向くと、ゆっくりと立ち上がったリムがフッと笑った。
「二回戦のルールを決めましょう!」
リムが口に手を当てて二人を呼んだ。
悔しそうにリムのいるキャットウォークの下に来る二人。
リムがトン、とキャットウォークから飛び降りた。
「「むぅ………」」
「取り敢えず次は加速魔法だけ解禁しませんか?
このエアガンは弾が遅すぎますし。
それと目の周りだけ対物障壁も」
「「さんせい!」」
「三回戦は三回戦で考えましょう」
二回戦が始まった。
円香とエレンはスピニングシールド用の棒を持っている。
(ふふふ…加速術式を込めたBB弾はスピニングシールドじゃ弾けませんよ?)
FAの脚部パーツの穴からライフルの銃身を覗かせる。
左手には、ハンドガンを握っている。
(挟撃ですか…)
エレンと円香は協力し、リムを狙う事にしたそうだ。
が、しかし。
━━十分後━━
「私に勝てると思いましたか?」
「「ふみゅみゅみゅみゅ………」」
あっさりとリムが勝利した。
「まだ、やりますか?」
「「もちろん!」」
結局二人がリムに勝つ事は無かった。
後書き
えーと、進みが遅すぎると言われたので気持ち速めで進めます。
ISが終わった後に物語を続けるための構想もあって、この『おちょくる話』のエンディングは既に作っています。
なのでそこへ向かって、気持ちペース上げていきたいと思います。
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