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英雄伝説~灰の騎士の成り上がり~

作者:sorano
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第15話

1月14日、同日PM9:30――――

アルフィンがメンフィル帝国の大使館に向かったその日の夜、リィン達がメンフィル帝国軍の一員としてクロスベルに侵攻したエレボニア帝国軍を殲滅した事を新聞で知ったアリサ達はサラが自分の伝手を使っての事実確認や情報局に呼ばれたミリアムによる情報収集、そしてメンフィル帝国政府からルーファスの遺体がエレボニア帝国政府に届けられた為、それの確認の為に帝都(ヘイムダル)に呼ばれたユーシスを待っているとまずユーシスが戻ってきた。

~第三学生寮~

「……………………」
「あ、ユーシス…………!」
「それで…………どうだったんだ?」
暗い表情を浮かべて寮に戻ってきたユーシスに気づいたエリオットは声を上げ、マキアスは心配そうな表情で訊ねた。
「………………間違いなく兄上の遺体だった。―――それも首と身体が別れた状態のな。」
「く、首と身体が別れた状態って………!」
「まさか本当にあのルーファスさんが死ぬなんて…………」
ユーシスの答えを聞いたアリサは表情を青ざめさせ、エマは信じられない表情をし
「…………ちなみに”クロスベルタイムズ”にも書いてあるように、ユーシスのお兄さんを殺したのは本当にリィンだったの?」
「……………………それについてはメンフィル帝国政府側からの説明の為、真偽は不明だが…………兄上の遺体の状態を解析した結果判明したのは、兄上の首を切断した武装は斬撃に特化した武装――――東方独特の剣である”太刀”の可能性が極めて高いとの事だ…………」
「”太刀”という事はやはりルーファスさんを討ったのは…………」
「確かリィンの話だとメンフィル軍の武装はこっちとそれ程変わらないという話だから、ほぼ間違いなくリィン(あの子)である証拠ね…………」
「一応我々が知っているメンフィルの”太刀”の使い手はリィン以外にもいるが…………」
「その人物―――エリゼ君だったとしても、どの道ルーファスさんを討った人物は僕達と関りのある人物という事になるよな…………」
フィーの疑問に答えたユーシスの答えを聞いたガイウスは辛そうな表情をし、セリーヌとラウラは重々しい様子を纏って呟き、マキアスは複雑そうな表情で呟いた。

「その…………ルーファスさんの遺体はどうしたんだ…………?」
「兄上の遺体はバリアハートに送ってバリアハートで略式の葬式をすませて、兄上の遺体をアルバレア家の墓に埋めるのを見守って帰ってきたところだ。」
気まずそうな表情で訊ねたマキアスの質問にユーシスは静かな表情で答え
「りゃ、略式の葬式って………言ってくれたら、僕達も参加したし、何か手伝えることがあったら手伝えたのに…………」
「―――今はお前達にそのような”些事”に時間を取らせるような暇はない。…………ましてや、幾ら”鉄血宰相”の指示とはいえ、本来ならばカイエン公同様”逆賊”の立場の上内戦でも俺達を苦しめ、内戦後は”鉄血宰相”と共にリィンを利用とした挙句クロスベルに侵攻してそのリィンにあっけなく討ち取られた兄上の葬式を華美にする必要はない。」
「ユーシス…………」
複雑そうな表情で指摘したエリオットの言葉に対して静かな表情で語ったユーシスの様子をガイウスは心配そうな表情で見つめた。

「…………ヴァリマールを回収に来たメンフィル軍と共に現れたエリゼさんの話からして、エレボニア帝国とメンフィル帝国が戦争状態に陥る可能性は考えていましたが、まさかクロスベルと連合を組んでこのような事になってしまうなんて、一体メンフィルとクロスベルの間で何があったのでしょうね…………?」
「それも”自治州”だったクロスベルは”帝国”を名乗っているものね。」
「しかもメサイアに関しては”クロスベル皇女”扱いされていて、リィンと婚約した事が堂々と新聞にも載っているよね。」
「ああ…………それに結社の”神速”を含めた”鉄機隊”の者達もメンフィル軍に所属しているとの事だが…………まさか結社もメンフィルとクロスベルと協力関係を結んだのか…………?」
「―――いえ、少なくともメンフィル・クロスベル連合は”結社と手を組んではいないわ。”」
エマとアリサは不安そうな表情で呟き、フィーは静かな表情で呟き、ラウラが真剣な表情を浮かべて推測を口にした時寮に戻ってきたサラがラウラの疑問について答えた。

「サラ教官…………!」
「”クロスベルタイムズ”に書かれている内容――――リィンがメンフィル軍に所属してクロスベルに侵攻したエレボニア帝国軍を迎撃した上ルーファスさんを討った事や、メサイアがクロスベルの皇女になった事、それに鉄機隊はメンフィル軍に所属しているかどうかについて何かわかったんですか…………!?」
サラの登場にエリオットは声を上げ、アリサは血相を変えてサラに訊ねた。
「順番に答えるから落ち着きなさい。――――――それよりもミリアムは”情報局”関連だからまだ戻ってこない事は仕方ないにしても、あのメイドも見かけないけど何かあったのかしら?」
「それが…………母様からRF(ラインフォルトグループ)本社に至急戻るようにとの連絡を受けた為、急遽ルーレに向かったんです…………シャロンの話によると、エレボニア帝国とメンフィル帝国との戦争に関連するRF(ラインフォルトグループ)の対応についての会議に関連しているらしいですけど…………」
サラの疑問にアリサは不安そうな表情で答えた。

「そう…………で、まず”結社”の件についてだけど…………信じられない事に”結社は既に崩壊しているわ。”」
「へ…………」
「一体どういう事なのだろうか?」
サラの説明を聞いたエリオットは呆けた声を出し、ガイウスは不思議そうな表情で訊ねた。
「遊撃士協会の情報によるとどうやらメンフィル・クロスベル連合は内戦の間に結社のトップの”盟主”を含めた最高幹部クラス――――”盟主”や”蛇の使徒”の大半を抹殺していたらしいのよ。」
「なっ!?結社のトップや”蛇の使徒”が!?」
「一体何があって、そんな超展開になっているのよ…………あら?という事はヴィータは今どうなっているのかしら?」
「あ…………サラ教官、ヴィータ姉さん――――”蒼の深淵”はどうなったんですか!?」
サラの説明を聞いて仲間達と共に血相を変えたマキアスは驚きの声を上げ、溜息を吐いた後呟いたセリーヌの疑問を聞いたエマは呆けた後血相を変えてサラに訊ねた。

「”蒼の深淵”については現在消息不明よ。現在唯一生存が確認されている”蛇の使徒”は第七柱――――”鋼の聖女”という二つ名の”蛇の使徒”なんだけど、その”鋼の聖女”は自分直属の部隊である”鉄機隊”と共にメンフィルに寝返ったらしいのよね…………」
「ハアッ!?」
「け、結社の”蛇の使徒”がメンフィルに!?」
「その話も気になるが”鋼の聖女”とやらは”槍の聖女”と何か関係があるのだろうか…………?どうやらその”鋼の聖女”とやらが”神速”――――”鉄機隊”の主のようだが…………」
疲れた表情で溜息を吐いて答えたサラの話にセリーヌとエリオットは驚きの声を上げ、ラウラは真剣な表情で考え込んでいた。
「………サラ教官、その”鋼の聖女”とかいう蛇の使徒がメンフィルに寝返ったという事はまさか結社の”盟主”や”蛇の使徒”が抹殺されたのはその”鋼の聖女”とやらの裏切りによるものなのか?」
「ええ、状況からして恐らくその可能性が高いと遊撃士協会は判断しているみたいよ。で、肝心のリィン達の件についてだけど…………どうやらあの子達がメンフィル軍に所属してクロスベルに侵攻したエレボニア帝国軍をメンフィル軍の一員として殲滅したという話は本当らしいわ。―――それもリィンやセレーネだけでなく、エリスも。」
ユーシスの質問に答えたサラは気まずそうな表情でアリサ達にとっての凶報を伝えた。

「そ、そんな…………っ!?」
「しかもリィンやセレーネだけでなく、エリスもメンフィル軍に所属か。メンフィルにはメンフィル皇族に重用されているエリゼがいるから、リィン達が無理矢理メンフィル軍に所属させられた可能性は低いだろうね…………ちなみに、リィン達の件についての情報を遊撃士協会はどうやって掴んだの?」
サラの説明を聞いたアリサは悲痛そうな表情で声を上げ、フィーは複雑そうな表情で呟いた後サラに訊ねた。
「リィン達の情報を掴んだのはクロスベルにある遊撃士協会の支部よ。クロスベル支部の話によると迎撃戦が始まるとヴァリマールが”戦場”に現れて次々とエレボニア帝国軍の空挺部隊を撃破したらしいわ。――――――それと迎撃戦後メンフィル軍もクロスベルに駐屯していて、メンフィル軍の軍服を纏ったリィン達が普通にクロスベル市に歩いている様子もクロスベルの遊撃士達が目撃しているとの事よ。」
「という事はリィン達は今クロスベルにいるのか…………ちなみにメサイアは何故突然クロスベルの”皇女”になったのだろうか?」
「それなんだけどね…………クロスベル支部もまだ詳しい経緯は掴んでいないそうだけど、何でもメサイアはクロスベルの皇帝の一人にして”六銃士”の一人――――”黄金の戦王”ヴァイスハイト・ツェリンダー皇帝とその側妃の一人の”養女”としてクロスベルの皇女扱いされているとの事よ。」
「ろ、”六銃士”って確か父さん達――――”第四機甲師団”がクロスベルとの合同演習の際に完敗させられた相手であるクロスベル警備隊を鍛え上げたっていう…………」
「クロスベル警備隊、警察の上層部に就いた義賊気取りの凄腕の使い手達か。という事は今のクロスベルのトップはIBCのディーター・クロイスではないのか?」
ラウラの疑問に答えたサラの答えを聞いたエリオットは不安そうな表情をし、静かな表情で呟いたユーシスはサラに確認した。

「ええ、どうやら内戦の間に”六銃士”達は自分達を慕う部下達――――”六銃士派”と共にディーター・クロイス政権に対してクーデターを起こして、そのクーデターを成功させてディーター・クロイスを処刑して”クロスベル帝国”を名乗り上げたそうよ。」
「しょ、”処刑”…………」
「フン、”独立国”の次は”帝国”か。自治州が”帝国”を名乗るとは、その”六銃士”とやらは呆れを通り越してもはや感心に値するな。」
サラの説明を聞いたエリオットは信じられない表情をし、ユーシスは呆れた表情で呟いたが
「…………それなんだけどね。クロスベル支部や遊撃士協会の情報によるとメンフィルと連合を組んだクロスベルは共和国に侵攻して、僅かな期間で共和国を占領してその占領した領土をメンフィルと山分けしたとの事だから、今のクロスベルは冗談抜きで”帝国”を名乗るに相応しい広大な領土を保有しているらしいのよ。」
「何だとっ!?」
「共和国がメンフィル・クロスベル連合に…………という事はカルバード共和国は既に滅亡しているのですか………?」
サラが驚愕の事実を口にすると血相を変えて声を上げ、ユーシス同様仲間達と共に血相を変えたラウラは信じられない表情で訊ねた。

「ええ。ちなみにロックスミス大統領は首都が侵攻された際に責任を取って”自決”したとの事よ。」
「じ、”自決”って…………!」
「…………どうやらあたし達の知らないところで、随分とエレボニア以外の世間の状況が大きく変わっていたみたいね。」
「ええ…………そもそもメンフィル帝国は何故”自治州”であったクロスベルと連合を組んだのでしょう…………?」
サラの説明を聞いたアリサは信じられない表情で声を上げ、目を細めて呟いたセリーヌの言葉に頷いたエマは不安そうな表情で考え込んでいた。

「クロスベルと連合を組んだメンフィル帝国の意図は不明だけど、あくまで遊撃士協会の推測になるけど”聖皇妃”がクロスベルの出身――――それもクロスベルの市長、議長と長年クロスベルの政治家のトップだったマクダエル議長の孫娘だから、その関係で連合を組んだのではないかと推測しているわ。」
「そ、その人って確か帝都(ヘイムダル)で”帝国解放戦線”に拉致されたアルフィン殿下とエリスちゃんを助けに行って、後から来たリウイ陛下達がクロウ達を撃退した後に現れた…………」
「うむ…………”聖皇妃”――――リウイ陛下の正妃として嫁がれたイリーナ皇妃陛下だな。だが、例えそれが理由でもまだ疑問は残るな。もしイリーナ皇妃陛下の関係でメンフィルがクロスベルと連合を組んだ際にマクダエル議長がクロスベルの”皇”になるならまだ納得がいくが、マクダエル議長とは何の関係もない”六銃士”とやらがクロスベルの”皇”に名乗り上げたとの事だからな…………」
「…………ねえ、サラ。何でそんなとんでもない情報を”情報局”は掴んでいなかったの?エレボニアの長年の宿敵だった共和国が滅んだなんてとんでもないニュース、普通に考えれば内戦の間に共和国に潜入している”情報局”とかが掴んでいそうだけど。」
サラが口にした推測を聞いて不安そうな表情で呟いたエリオットの言葉に頷いたラウラは考え込み、フィーは真剣な表情でサラに訊ねた。

「さすがにそれに関しては遊撃士協会もわからないわよ。それよりも、問題はトヴァルと連絡が取れなくなった事なのよね…………ったく、こんな肝心な時に何をしているのよ、アイツは。」
「え………トヴァルさんと連絡が取れないんですか!?」
悪態をついてこの場にはいないトヴァルについ文句を口にしているサラの言葉が気になったマキアスはサラに確認した。
「ええ、今朝の新聞の件でトヴァルにも調べてもらおうと思って連絡したのに、全然連絡が取れないのよ。」
「その件も気になりますね…………」
「うむ…………トヴァル殿の身に”何か”が起こっていないとよいのだが…………」
サラの答えを聞いたエマの言葉に頷いたラウラは重々しい様子を纏って考え込んでいた。

「―――みんな、いる!?」
するとその時トワが学生寮に現れた。
「トワ会長、こんな夜遅くにわざわざ第三学生寮に訊ねるなんて何かあったんですか?」
「うん、さっきヴァンダイク学院長に連絡があったの――――オリヴァルト殿下から。」
「オリヴァルト殿下から…………!?」
「それで殿下はなんと…………?」
マキアスの質問に答えたトワの答えを聞いて仲間達と共に血相を変えたラウラは声を上げ、ユーシスは真剣な表情で訊ねた。
「『”紅き翼”の再始動をトールズ士官学院に要請する。もし、要請に応えてくれるのならば、明日の朝8:00に帝都(ヘイムダル)の国際空港に停泊させている”カレイジャス”に集合してくれ』だって…………!」
こうして…………オリヴァルト皇子の要請を受ける事にしたアリサ達Ⅶ組は翌朝、トールズ士官学院の生徒全員と共にヘイムダルの空港に停泊している”カレイジャス”に集まり、アリサ達を乗せたカレイジャスは離陸してどこかへと向かい始めた。


1月15日、同日AM8:30―――

~カレイジャス・ブリーフィングルーム~

「…………話を始める前にまずは謝らせてくれ。私達エレボニア皇家の愚かさと怠慢によって、内戦の裏で燻っていた”真の意味でエレボニアを滅ぼす火種”を今まで放置していた事によってこのような結果――――君達の協力によって終結したばかりのエレボニア帝国が異世界の大国にしてかつての”百日戦役”でも大敗させられたゼムリア史上最強の国家であるメンフィル帝国とメンフィル帝国と共に共和国を飲み込んで大国となったクロスベル帝国との戦争を勃発させてしまった事に…………!」
「殿下…………」
オリヴァルト皇子はアリサ達を見回した後その場で頭を深く下げて謝罪し、オリヴァルト皇子の様子をアルゼイド子爵は辛そうな表情で見守り
「殿下達の責任ではございません!全てはアルバレア公爵家を含めた貴族連合軍の責任です!」
「そうだね…………そういう意味では例えユミルの件に関わっていなくても貴族連合軍によるユミルへの襲撃やエリス君の拉致監禁を黙認してカイエン公や陛下達の代わりにメンフィル帝国に対して何の謝罪もしなかった父上―――ログナー侯爵家もその責任の一端を担っている。ですからどうか頭をお上げください、殿下。」
「ユーシス…………」
「アンちゃん…………」
辛そうな表情で声を上げたユーシスと重々しい様子を纏って呟いたアンゼリカのオリヴァルト皇子への指摘を聞いたガイウスとトワはそれぞれ心配そうな表情で二人を見つめた。

「―――今は互いの非を謝罪しあっている場合じゃないわ。殿下、あたし達に再び”紅き翼”の再始動を要請した理由はリィン達の件を含めたメンフィル・クロスベル連合との戦争に関する件ですか?」
「…………ああ。そしてそれにはアルフィンの事も含まれている。」
「へ…………アルフィン殿下が?」
「どうしてそこにアルフィン殿下まで出てくるんでしょうか…………?」
「!まさか…………アルフィン殿下の身に何かあったんですか!?」
サラに説明を促されて答えたオリヴァルト皇子の話を聞いたマキアスとエリオットが戸惑っている中、ある事に気づいたラウラは血相を変えて訊ねた。

「…………ああ。昨日の夕方アルフィン殿下は女学院を去って、リベールにあるメンフィル帝国の大使館にお一人で向かわれたとの事だ。」
「ええっ!?アルフィン殿下がお一人でメンフィル帝国の大使館に!?」
「…………まさかとは思うけど、自分がメンフィルの”人身御供”になる事で戦争を止める為にメンフィル帝国の大使館に自分から捕まりにいったのかしら?」
「セリーヌ!」
重々しい様子を纏って答えたアルゼイド子爵の答えを聞いた仲間達がそれぞれ血相を変えている中アリサは驚きの声を上げ、推測を口にしたセリーヌをエマは声を上げて睨んだが
「いや…………セリーヌ君の推測は恐らく当たっているだろう。」
「え………それは一体どういう事なんですか…………?」
オリヴァルト皇子の答えを聞くと戸惑いの表情で訊ねた。

「実は昨日にエリス君からアルフィン充てに手紙が届いていたようでね…………手紙の内容を要約するとエリス君にリィン君、そしてセレーネ君はメンフィル帝国貴族の義務を果たす為にメンフィル帝国軍に所属してメンフィル・クロスベル連合による”エレボニア帝国征伐”に参加する事になった事や早速メンフィル軍の一員としてクロスベル侵攻軍を殲滅した事とリィン君達と共にルーファス君を討ち取った事、そしてアルフィンに対する別れの言葉が書かれていたんだ。…………恐らくその手紙がユミルの件でメンフィル帝国との戦争が勃発してしまった事に責任を感じていたアルフィンに”止め”を刺したんだろうね…………自分の身を犠牲にしてでも、メンフィル帝国にエレボニア帝国の侵略を中止してもらうか、それが叶わなければせめて敗戦後のエレボニアの処遇を少しでも穏便な処遇にしてもらえるようメンフィル帝国の”大使”であるリウイ陛下と直接交渉する為にリベールにあるメンフィル帝国の大使館に向かう事や、私達―――”アルノール皇家”の人物達それぞれへの別れの挨拶が書かれた手紙がアストライアの学生寮のアルフィンの部屋から発見されたんだ…………」
「そんな…………」
「それにやっぱり、リィン達がルーファスさんを…………」
「申し訳ございません、殿下…………ッ!」
オリヴァルト皇子の説明を聞いたエマは悲痛そうな表情をし、エリオットは不安そうな表情で呟き、ユーシスはオリヴァルト皇子に謝罪した。
「…………殿下。エレボニア帝国政府はアルフィン殿下がいなくなった事にいつ、気づいたんですか?」
「昨日の夕食の時間になっても食堂に現れないアルフィンを心配した女学院の教師達がアルフィンの部屋を訊ねて、その時にようやくアルフィンが女学院―――いや、エレボニア帝国からいなくなった事を把握して政府に通報して、当然政府の指示によって軍もアルフィンの捜査をしたんだが…………どうやら自分が連れ戻される可能性を低くする為にアルフィンは乗船手続きの時に偽名で手続きをしたみたいでね。それによってアルフィンがどの飛行船に乗ったのかを把握する事に時間がかかってしまい…………ようやくアルフィンが乗った飛行船を把握した頃にはアルフィンは既にリベールに到着していたようなんだ。」
「リベール王国政府にアルフィン殿下の件を連絡して、殿下がメンフィル帝国の大使館に到着する前に保護するような要請はエレボニア帝国政府は行わなかったのですか?」
アンゼリカの質問に答えたオリヴァルト皇子の話を聞いて新たな疑問が出てきたラウラは質問をした。

「…………それなんだが…………事の経緯を知った宰相殿がアルフィンの捜索の打ち切りを命じたどころか、内戦が終結したばかりのエレボニア帝国がメンフィル・クロスベル連合と緊張状態に陥ってしまった今の状況でアルフィンの我儘に付き合って他国であるリベールに弱みを握られる事や”借り”を作る訳にはいかないという理由でアルフィンの件でリベール王国政府への連絡すら許可しなかったんだ…………」
「ええっ!?オズボーン宰相が!?」
「あの男…………!ついに、帝位継承者の一人でもあられるアルフィン殿下まで蔑ろにしたのか…………!」
「…………ちなみにオズボーン宰相のその判断に皇帝陛下達は何と?」
オリヴァルト皇子の話を聞いたアリサは驚き、ユーシスは怒りの表情で声を上げ、アンゼリカは真剣な表情で訊ねた。

「当然プリシラ継母上(ははうえ)は宰相殿に対して反論したんだが、何故か父上―――ユーゲント皇帝陛下は宰相殿の判断に対して何も反論せず逆に宰相殿に反論を続けようとしたプリシラ継母上(ははうえ)を宥めたんだ。」
「こ、皇帝陛下が…………!?」
「…………ユーゲント皇帝が”鉄血宰相”を信用している話は有名だけど、幾ら何でも”異常”じゃない?下手したら自分の娘がメンフィルに命を奪われるかもしれないのに、それすらも黙認しているんだから。」
オリヴァルト皇子が語った驚愕の事実に仲間達と共に驚いたエリオットは信じられない表情で声を上げ、セリーヌは困惑の表情で呟き
「ああ…………私も今回の件に対する父上の反応は”異常”だとは思っているが…………それでも今はアルフィンの件を優先すべきだと思って、私は父上と宰相殿にアルフィンの件を含めたメンフィル・クロスベル連合との外交問題に対して”紅き翼”を再始動させる事を要請したんだ。」
「―――そして恐らくアルフィン殿下の件でオリヴァルト殿下に対しても”負い目”があると思われるお二人はオリヴァルト殿下の要請を受け入れて、其方達―――”トールズ士官学院”が”紅き翼”として活動する事も承諾されたのだ。」
「そのような経緯が…………」
「そういえば…………先程から気になっていたが、”Ⅶ組”もそうだがトワ君達の中にも姿が見えない者達がいるが…………彼らは何故、この場にいないんだい?」
セリーヌの意見に頷いたオリヴァルト皇子とオリヴァルト皇子に続くように答えたアルゼイド子爵の話を聞いたラウラが驚いている中、ある事が気になったオリヴァルト皇子はアリサ達を見回して訊ねた。

「ミリアムちゃんは昨日”情報局”に呼ばれてから、まだ戻っていないんです…………」
「シャロンは…………メンフィル・クロスベル連合との戦争の件でルーレのRF(ラインフォルトグループ)の本社に戻ることになってしまって…………」
「ジョルジュ君も、シュミット博士に急遽呼ばれたとかで、一昨日から留守にしていて、まだ帰ってきていないんです…………」
「そうだったのか…………」
エマとアリサ、トワの説明を聞いたオリヴァルト皇子は静かな表情で呟き
「殿下、実はトヴァルとも連絡がつかないのですが、何かご存知ないでしょうか?」
ある事が気になったサラはオリヴァルト皇子にトヴァルの事について訊ねた。

「…………トヴァル殿なら、今は”オレド自治州”にいるだろう。」
「ハア?何でアイツがエレボニアどころか、そんな辺境に…………」
「…………トヴァル君は1度目のユミル襲撃の件で遊撃士協会本部から降格と左遷処分を受けて”オレド自治州”の遊撃士協会の支部に異動させらてしまったんだ…………」
アルゼイド子爵の答えを聞いたサラが困惑しているとオリヴァルト皇子が重々しい様子を纏って答え、オリヴァルト皇子の答えを聞いたアリサ達はそれぞれ血相を変えた―――― 
 

 
後書き
という事でいよいよお待ちかね(?)のⅦ組側の話です。今回の話でお気づきと思いますが、Ⅶ組やその関係者達が一部いなくなっていますが…………その理由については閃3や4をやっていたらわかるかと(ガクガクブルブル)なお、Ⅶ組側はトワとアンゼリカに加えてオリビエやアルゼイド子爵、後に合流する予定となっているミュラーを頻繁にパーティーインさせてアリサ達と共に戦ってもらう予定です。…………まあ、正直な所オリビエとアルゼイド子爵、ミュラーが加わった所で、リィン達を含めたメンフィル・クロスベル連合やオズボーン宰相達に対抗できるかと言われたら正直、”無理”としか思えない程の絶望的な戦力差なんですけどね(ぇ)ちなみに第三学生寮の時のBGMは閃1の”Seriousness”、カレイジャスにいる時のBGMは閃2の”目覚める意志”だと思ってください♪ 
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