年齢詐称
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第三章
「感謝されることはです」
「ありませんか」
「ご子息の立派さを褒めて下さい」
「そうですか、ですが」
「ですがとは」
「こうしてお会いしたのも何かの縁」
ナポレオンの視線に色気のある目で応えた。
「ですから」
「それで、ですか」
「宜しければ明日ですが」
ナポレオンにさらに述べていく。
「私のお家にいらしてくれますか」
「ご自宅にですか」
「はい」
まさにというのだ。
「お待ちしています」
「それでは」
ナポレオンはジョゼフィーヌの言葉に頷いた、そうして実際に彼女の自宅に招かれた。これが決定的な縁となり。
そうしてだ、二人はやがて交際する様になってだった。
結婚することになった、だがナポレオンと交際している時からだった。
ジョゼフィーヌは友人達に秘かに困った顔で話した。
「中々言えないことだけれど」
「ええ、貴女は実はね」
「ボナパルト将軍より六つも年上ね」
「その実は」
「そうよね」
「そう、彼よりもね」
実際にとだ、友人達に言うのだった。
「そこまで年上だから」
「実はバラス様の愛人だったこともあるし」
「色々な男性を渡り歩いてきているわ」
「愛人を務めてきているわね」
「そのこともあるし」
「そのことは隠せるにしても」
夫に先立たれてからは権力者の愛人として世を渡ってきたことはだ、艶やかな色気はそれ故のことである。
「けれどね」
「年齢のことはね」
「難しいわね」
「若し結婚するとなれば」
「紙にそのことを書かねばならないわ」
「結婚証明書にね」
「そうよ、だからね」
それ故にというのだ。
「私も困っているのよ」
「難しい問題ね」
「それも実にね」
「果たしてどうすべきか」
「困ったことね」
「ええ、何かいい知恵はないかしら」
友人達にこうも言ったのだった。
「一体」
「そうね、もうね」
友人の一人がこう提案した。
「こうなったら嘘を吐くことよ」
「嘘をなの」
「愛人であることは隠して」
そしてというのだ。
「年齢のことはね」
「嘘を吐くの」
「これ位の嘘はいい筈よ」
友人はこうジョゼフィーヌを安心させる様にしてワした。
「ある程度自分の年齢を誤魔化すことは」
「証明書に書くことも」
「そう、貴女の年齢をね」
「実際より若く書くのね」
「ええ、そうよ」
その通りだとだ、友人はジョゼフィーヌに話した。
「そうしましょう」
「それではね」
ジョゼフィーヌは友人のその言葉に頷いた、そしてだった。
結婚の時は自分の年齢を実際より若く書くことにした。四歳そうすることにした。だがこのことはジョゼフィーヌだけではなかった。
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