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ある晴れた日に

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367部分:天使の様なその十二


天使の様なその十二

「遊ぶ場所はね」
「そうよね。この遊園地はね」
「何でもあるから」
 その充実ぶりも評判になっているのである。
「それじゃあ本当に後は心ゆくまで」
「遊ぼうか」
 これで皆は二人の追っかけは止めて自分達で遊ぶことにした。二人はこのこそに気付かなかったが二人にとっては非常にいいことであった。
 観覧車から降りた二人はすぐに場所を移動した。しかしそれでゲームセンターの前で誰の気配もしないことに気付き怪訝な顔になるのだった。
「あれっ、まさかな」
「いないの?」
 二人は誰もついて来ていないのに気付いて声をあげた。
「まさかな」
「けれど誰もいないわよ
「上手く隠れたのか?」
 正道はその可能性も考えた。
「まさか」
「多分それはないわ」
 しかしそれは未晴が否定した。
「だって。さっきまであんなに」
「そうだったな。はっきり見えていたからな」
 彼等はそこまで目立っていてそのうえ隠れるのが下手だったのである。つまり彼等は探偵には全く向いていないということだ。
 その彼等の姿が誰も見えない。やはりこのことに不思議に思わずにはいられなかったのだ。それで二人はとにかく周りを見回した。しかしであった。
「いないな」
「そうね。やっぱり」
 二人はあらためて彼等がいないのを確認して怪訝な顔になった。
「どうしたんだ?急に」
「隠れるつもりだったのに」
 未晴がここでこんなことを言った。
「それで上手くあそこに行って」
「あそこ!?」
 正道は今の彼女の言葉に気付いたのだった。
「あそこって何処なんだ?」
「あっ」
 正道のその問いで自分の失言に気付いた未晴だった。それは表情にも出ていた。思わずしまった、という顔になっていることにそれが出ていた。
 しかしこれで未晴は開き直ったのか。正道に顔を向けて言うのだった。
「実はね」
「実は?」
「遊園地の後ね。ある場所に行くつもりだったのよ」
「そういえばさっきから何か言っていたな」
「ええ」
 そのことも認めるしかなかった。苦い顔ではあるが。
「そうなのよ。ある場所に二人で行くつもりだったのよ」
「ある場所は何処なんだ?」
 正道の今の問いはなしの流れから至極当然のものだった。
「それで。何処なんだ?」
「来てくれる?」
 未晴はまだそこが何処か話さなかった。
「よかったら今から」
「俺もか」
「二人で行くところだから」
 こう言う未晴だった。
「だからね。一緒に来て欲しいのよ」
「ここを出てか」
「そう。ここを出てね」
 言いながら何故か頬を赤らめさせていた。それはうっすらとメイクしたその顔にも出ていた。正道は今彼女のその赤らんだ頬を見ているのだった。
「行きたいのだけれど」
「とりあえずわかった」
 未晴の話を聞いて頷く正道だった。
「じゃあ。そこに行くか」
「来てくれるのね」
「一緒に行きたいんだよな」
「ええ。絶対に」
 未晴にしては強い意志の見られる言葉だった。
 
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