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ある晴れた日に

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366部分:天使の様なその十一


天使の様なその十一

「きっとね」
「幸せになれるのね」
「あの二人は」
「なれるわ。だから見ていたいのよ」
 だからだという恵美なのだった。
「あの二人。温かくね」
「そうね。私もかなり興味本位だったけれど」
「私も」
 そのことを反省する千佳と恵美だった。
「じゃあこれからはこんなことしないで」
「離れて。温かく見ればいいわね」
「そう思うわ。それじゃあ」
 恵美はメールを受けた自分の携帯を開いていたがそれを持つ左手をスナップさせてそのうえで折り畳んだ。そしてそれを収めてからまた二人に言うのだった。
「これからだけれど」
「そうね。囃したりしないで」
「温かくね」
「二人はそれでいいわ」
 何故かここで言葉を限定してきた。
「二人はね」
「あれっ、二人はって」
「まだ何かあるの?」
「私達だけれど」
 ここで話すのは自分達のことであった。
「今日はこのままで終わりというのはどうかしら」
「どうかしらって」
「もう二人は追っかけないんでしょ?」
 千佳と茜は今の恵美の言葉にその目をしばたかせた。
「それで何で終わりじゃないの?」
「そうよ。追っかけはしないのに」
「遊園地にいるのよ」 
 恵美は今度はこのことを二人に話したのだった。
「遊園地に。だったら」
「ああ、そうね」
「そういうことね」
 ここで彼女の言いたいことがわかった二人だった。納得した顔で微笑んで頷いた。
「遊園地にいるからにはね」
「遊ばないと」
「その通りよ。皆もいることだし」
「ええ」
「だからこそね」
「遊びましょう」
 彼女が言いたいことはやはりこのことだった。遊ぶというのである。
「皆で楽しくね」
「そう言われたら何か元々だけれど」
「そうよね」
 考えてみればそれは最初からだった一同である。
「何かクレープ食べたりプリクラ撮ったり」
「今もこうして観覧車にいるし」
 何だかんだで遊んでいる一同なのだった。
「じゃあこれをそのまま続けて」
「そうしよっか」
「それでいいと思うわ。それで閉園時間になったら」
「終わりってことね」
「皆それで帰ってって」
 二人はまた恵美の言葉に応えて笑う。
「いいわね。純粋に遊園地を楽しんで」
「そうしよっか」
「皆に連絡入れるわね」
 恵美はここでまた自分の携帯を取り出した。そうしてまた持っている左手をスナップさせてそれで携帯を開き左手の指でメールを打っていくのだった。この間右手は一切動かさない。
 そうやってメールを送り。皆の返信を見て微笑むのだった。
「皆わかってるわね」
「それじゃあ後は皆で」
「馬鹿騒ぎしよっか」
 千佳と茜は恵美の今の言葉を聞いてまた笑った。
「お化け屋敷も入る?」
「いや、あそこ奈々瀬が駄目だから」
 それは駄目になるのだった。
「止めておこう。本当に泣きそうだったから」
「そうね。じゃあ何処にしようか」
「何処でもあるわよ」
 恵美はあれこれと話す二人にまた述べた。
 
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