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ある晴れた日に

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352部分:白銀の月その十七


白銀の月その十七

「そんなの何処で売ってんだよ」
「大阪のおばちゃんでもそんなの持ってねえぞ」
「これがあたしのスタイルなんだよ」
 しかし春華はあくまでこう主張するのだった。
「だからいいんだよ、別にな」
「まあ勝手にしな」
「その子供が逃げ出すみてえなグラサンかけとけよ」
 突き放しはするが随分と冷たい言葉であった。
「とにかくよ、来たぜ二人がよ」
「その主役がな」
「おっと、そうだったら」
「武装武装」
 千佳と春華以外の女組も彼等の言葉を受けて一斉に変装する。しかし皆伊達眼鏡やその趣味の悪いサングラスばかりなので変装にはなっていなかった。むしろかなり悪い意味で目立ってしまっていると言えるような状況になってしまっているのであった。
 そんな彼等が天幕の下で集まっているが。正道と未晴にも容易にわかるものだった。
「皆だけれど」
「あまりはっきり見ると気付かれるぞ」
 こう未晴に言う正道だった。
「もうわかっていてもな」
「そうね。じゃあ」
「ちらちらと横目で見るだけでいい」
 また未晴に告げた。
「それだけでな」
「そうね。だったら」
 未晴も納得した顔で頷くのだった。
「そうやってね」
「ああ。それにしてもあいつ等」
 目だけを彼等の方にやってそのうえで呟くのだった。
「あれで目立ってないって思ってるのか?」
「目立ってるわよね」
 未晴もひそかに囁く。
「絶対に」
「子供見てみろよ」
 彼はある子供連れの女の人を指差した。見ればその子供が彼等を指差してそのうえで実に無邪気にとんでもないことを言っていた。
「お母さん、変な人達がいるよ」
 彼等を指差したうえでこう言っているのだ。
「何あの人達。趣味悪いよね」
「しっ、見ちゃいけません」 
 母親も母親で随分なことを言う。
「危ない人達なんだから」
「危ない人達なの?」
「決まってるでしょ。危ない人ってのは格好で大体わかるのよ」
 極論だがその通りの場合も言える言葉であった。その筋の人間は確かにそうした服を着たりする。これは大阪府警についても言えたりするが。
「だからよ。見ちゃいけません」
「わかったよ、お母さん」
 こんなことを言われていた。とにかく彼等は目立っていた。しかもそれをどうすることもできない状況に自ら陥ってしまっていたのだ。
「なっ、わかりやすいからな」
「あそこまでわかりやすいのはいないってことね」
「その通りだよ。あれはもう無視していい」
 そしてこんなことも言うのだった。
「だから行くか」
「そうね。じゃあ今度は何処に行くの?」
「そうだな」 
 正道はここで少し考え。そのうえで言うのだった。
「観覧車なんかどうだ?」
「あそこね」
「ああ、また空だけれどな」
 そう述べたうえで未晴に問うのだった。
「それでもいいか?空で」
「ええ、私は別に」
 そして未晴の問いも決まっていた。
「それでいいわ」
「よし、じゃあそれで決まりだな」
 正道は未晴のその言葉を受けて頷いた。
 
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