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ある晴れた日に

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344部分:白銀の月その九


白銀の月その九

「ジェットコースターって上にあって色々回るだろ?」
「だったら俺達も見られないか?」
 二人が心配しているのはそのことだった。見つかることを心配しているのだ。
「だからよ。ちょっとここにいるのはな」
「まずくね?」
「だよな、それはな」
「まずいよな、確かに」
 坂上と佐々も二人の言葉に頷いた。
「考えてみればな」
「じゃあここから場所変えるか」
「それで何処にするの?」
 凛が相変わらずソフトクリームを食べながら問う。見ればそのアイスクリームはバニラでかなり大きい。普通のソフトクリームの倍はある。
「とりあえずさ。ここにいたらまずいんだったら」
「ああ、丁度いいのがあったよ」
 ここで桐生がコースターの入り口の赤と白の天幕がしてある席の場所を指差した。席が幾つも置かれているその後ろにも売店が幾つかある。
「あそこに入ってそれで見ない?二人を」
「ああ、それいいな」
「それじゃあ」
「プリクラもあるし」
 咲はまずそれに気付いて楽しそうに声をあげる。
「撮る?皆で」
「ここまで来てプリクラかよ」
「好きだな、本当に」
「女の子は皆プリクラが好きなのよ」
 しかし咲はにこにこと笑って平気な顔である。
「だからいいのよ。あそこでプリクラ撮りながら待ってましょ」
「俺達はそんなのいいからな」
「男同士でプリクラなんか撮ってもよ」
「それやったら完全に危ない世界ね」
 静華がさりげなくとんでもない指摘をしてきた。
「やらないかとか親父さえいなければの世界よね」
「御前よく知ってるな」
 野本は彼女の今の言葉を聞いて思わず顔を顰めさせた。
「そんなえげつないもんよ」
「実はね。道場に来てる人でゲイバーの人がいてね」
 静華は何故知っているかということも話すのだった。
「それで教えてもらってるのよ」
「ゲイバーかよ」
「おぞましい場所から来てる人いるんだな」
 皆ゲイバーと聞いてその表情を思いきり暗くさせた。
「じゃあおかまさんか?やっぱりよ」
「女装して三輪あきひろさんみたいな」
「ううん、レイザーラモンさん」
 しかし静華は首を横に振って男組に対して述べるのだった。
「ハードゲイさんもいるしリアルゲイさんもいるわよ」
「何かおぞましい道場だな、おい」
「そんな怖い人達が来てるのかよ」
「どっちもね。護身用に空手を身に着けたいからって」
「それでかよ」
「そんな必要あるの?」
 男組だけでなく女組も彼等が空手を学ぶことにはかなり懐疑的であった。
「そんな人達に」
「街歩いてるの見たら皆逃げるような人達が」
「これが心は凄く繊細で」
 しかし静華はこう言うのである。
「それでね。おしとやかなのよ」
「筋肉ムキムキで全身皮のスーツの人達が?」
「おしとやかって?」
「嘘だろ」
 皆静華のその言葉を信じようとしない。そんな話をしながらとりあえず天幕の中に入る。そうしてその中でまずは巨大ソフトクリームをそれぞれ注文して食べはじめる。そうして席に座ってそれぞれ食べはじめる。まずはプリクラには誰も行ってはいない。
「レイザーラモンそっくりの人達が」
「嘘にしか思えないけれど」
「それが嘘じゃないのよ」
 静華はまだ言う。
「筋肉はしっかりしてるけれど心が頼りなくて」
「それで空手をなのね」
「心を鍛える為に」
「空手は心を鍛えるのにもいいのよ」
 静華はソフトクリームを左手に持ち右手を拳にしながら語るのだった。
「空手はね」
「御前みてるとあまりそうは思えないけれどな」
「同感」
 しかし皆は彼女に対してはこんな見方であった。
 
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