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ある晴れた日に

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334部分:その日からその三十


その日からその三十

「それで」
「いいの?」
「怖くないから何でもできる人間ってかえって怖いわよ」
 こう言うのだ。
「それよりも怖さを知ってる方がね」
「いいのね」
「そりゃ確かにね。克服できるに越したことはないわ」
 一応はこうも言いはする。
「けれど。すぐには無理だから」
「少しずつやればいいってことよね」
「そういうこと」
 明日夢は凛に対しても言った。
「それでいいんじゃない。少しずつで」
「少しずつなのね」
 奈々瀬はまだ俯いておりそのうえで明日夢の話を聞いていた。
「聞いていけばいいのね」
「いいのよ、それで」
 また言う明日夢だった。
「時間はあるから」
「有り難う、少年」
 その明日夢に礼を言う。
「そうするわ。今は無理だけれど」
「怪談が怖い位はね」
 実は明日夢も凛も表面的にしかわかっていなかった。他ならぬ奈々瀬自身も。三人共その怖さということを表面でしかわかっていなかった。
「それはね」
「それは?」
 そしてそのまま話は続く。
「何かきっかけがあれば大きく変わったりするじゃない」
「ええ」
「だからそうしていけばいいのよ」
 また奈々瀬に話す明日夢だった。
「で、今だけれど」
「今は」
「そうよ。何する?」
 少し笑って奈々瀬に話してきた。その顔も凛を挟んではいるがそれでも奈々瀬に向けていた。そうしてそのうえで話す二人だった。
「これから暫く。時間あるけれど」
「そうね。何か食べる?」
 気が上向いてきた奈々瀬はこう提案してきた。
「何か」
「じゃあハンバーガーにする?」
 凛がここで二人に言ってきた。
「ハンバーガー。どう?」
「ハンバーガーね」
「それかラーメンか」
 凛はこちらも提案してきた。
「どっちにする?この遊園地ってどっちも美味しいので有名じゃない」
「安いしね」
 明日夢は笑ってこうも言い加えた。
「早い、安い、美味いだからね。どちらも」
「そうなのよ。それでどうするの?」
「そうね」
「ここは」
 明日夢も奈々瀬も考えそうして出た答えは。
「両方にする?」
「そうしない?」
「両方?」
「そう、両方」
「どう?それで」
 二人が左右から凛に問う。
「どうせだから」
「あっ、それいいかも」
 そして凛もそれに頷くのだった。
「確かにね」
「そうでしょ?だったらここは」
「特別ラーメンとスペシャルバーガー」
 二人が言うのはこのメニューだった。
 
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