ある晴れた日に
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326部分:その日からその二十二
その日からその二十二
「バイクで中走り回れたらいいのにな」
「あのホンダのあれ?」
「ああ、バイクはやっぱりホンダだよ」
坪本は何故かここでバイクの話をするのだった。
「あれよ。仮面ライダーも乗ってるあれよ」
「仮面ライダーもいいけれどハーレーが最高じゃね?」
同じくバイクを乗る春華はそれだった。
「ハーレーよ。あれでかっ飛んでよ」
「まあハーレーはな」
坪本もハーレーと聞くとまんざらではない顔になっていた。
「ロマンだからな、マジでよ」
「だろ?まあホンダもいいよな」
何だかんだでそれもいい春華だった。
「うちあのオートバジン好きなんだよな」
「御前ありゃファイズだろ」
坂上が呆れた顔で言い返す。
「人型のよ。空飛んでよ」
「ああいうのがよかね?」
「下手したら御前も撃たれるぞ」
特撮の話にもなるのだった。
「あれはよ。やばいぜ」
「空飛んで闘えるバイクがいいんだよ」
「俺あれもいいけれどサイドバッシャーが一番好きだったな」
坪本はそれだった。
「変形させて大暴れしてな」
「そういうの百貨店で売ってね?咲よ」
「八条グループってオートバイも売ってるけれどそんなのなかったと思うわよ」
「何だよ、面白くねえな」
春華は咲の答えに実に面白くない顔になる。
「ああいう闘えるバイクがいいのによ」
「私はバイクより車の方がいいかしら」
恵美が欲しいのはそちらだった。
「オープンカーでね。派手にね」
「ああ、オープンカーっていいよな」
「確かにな」
皆で言い合うのだった。
「雨降ったら覆いしないといけないけれどね」
「それもドイツ製な」
こんな話をしていてふと一同気付いた。
「やべっ、二人が行っちまう」
「追っ掛けろ追っ掛けろ」
皆で慌てて二人を追う。当然ながら二人はその慌しい音に声を後ろからしっかりと聞いていた。それはもうはっきりわかる程だった。
「あれでばれてないって思ってるのかしら」
「流石にそれはないだろ」
それはもう二人も読んでいた。
「幾ら何でもあれだけ騒いでたらな」
「そうよね。やっぱりね」
「そこまで馬鹿じゃないだろ」
そしてこうも言うのだった。
「あの連中でもな」
「それにしても。目立つわね」
未晴は後ろを横目でちらりと見ながら述べた。
「あれだけ一杯いたら」
「しかも何だあいつ等の格好」
それも見る正道だった。
「どいつもこいつもちんどん屋みたいな格好だな」
「それが目立つのよね」
皆相変わらず目立っていた。しかし本人達には自覚がない。
「まあ気にしていないふりしてね」
「そうだよな。今度はミラーハウスに行くか」
「ええ。流石に皆中には来ないわよね」
「それはないだろうな」
正道もそれはないと考えた。
「こっちに見つかるって思うからな」
「そうよね。まあわかってるけれど」
それでも気付かないふりをするのがお約束と言えた。これはお互いに言えることだった。
「じゃあミラーハウスね」
「ああ。入るか」
「ええ。じゃあ」
二人でにこりと笑ってそのうえでミラーハウスの受付に入って中に入る。クラスの面々はここでまたそれぞれで入り口のところに隠れて待つのだった。
ミラーハウスの中は暗くやはり壁が全て鏡になっている。合わせ鏡の中で二人の姿が無数に映っている。それだけ見ればどれが本当の二人なのかわからない程だった。
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