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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。

作者:エギナ
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第一部
  第45話 ごっちゃごちゃ 続

やばっ。
琴葉様にも首領にも怒られるパターン……

仁です。
突然ですが、侵入者と追いかけっこをしています。

侵入者はオレンジ色の髪の、なんというか中学生です。

「中学生じゃねェ‼︎ 看守だ‼︎」
「中学生がエスパーなんですけど」
「だから中学生じゃねェ‼︎ オレはそんなチビじゃねェ! 少なくとも黒華くらいはある‼︎」

へー。でも僕よりちびっちゃいじゃないですか。

だからチビで。本名は橙条雅人だけど。

「あ、おチビさん。そこは破壊禁止ですよー」
「チビって言うな‼︎ っつーか、破壊禁止? 余計ぶっ壊したくなるじゃねェか」

あ、脳筋チビゴリラだったわ。

侵入者は重力操作魔法が得意なのか、綺麗だった床が、今は破片だらけ。
一体、誰が修理するんだ……って、琴葉様と僕達か。

「おらァッ‼︎」

大きく足を振り上げ、床を破壊。
あーあ。真下が拷問室だから壊すなって言ったのに。

「って、ああ? 違う部屋が出て来やがったな。……って、血の臭いが半端ねェな、ここ」
「脳筋チビゴリラさん」
「なンだよその呼び方⁉︎」

「此処、拷問室です。貴方が配属されている刑務所の囚人三名と、看守一名、僕の双子の兄と、マフィア幹部二名が居ました」

今の踵落としに因って拷問室の天井が崩落。恐らく、拷問室に居た七人全員死んだ。

まぁ、しょうがないかな。

「……て事は、オレは今七人を殺したって事か」
「はい、そうでしょうね。どんな気分ですか? 『第一魔法刑務所主任看守』と言う名誉ある肩書きを捨てる覚悟で、自らマフィアの幹部である道を選び、此処に居た琴葉様を救出しに来たが、己の欲により一瞬にして殺してしまった今の気分は?」


僕にとっては最高だよ。
こんな絶望した様な感じ、僕は大好きだよ。


これだから、此の仕事はやめられない。




































「———最高の気分だぜ」


「……は?」

ショックで頭が逝ってしまったか?



「囚人共はどっちにしろこの一件が片付いたら処刑される。黒華だって、黒崎だって同じだ。第一魔法刑務所側が勝てば、てめえ等マフィアだって処刑される。人を殺した? それがどうした。オレは大して奴等に思い入れがあった訳じゃねェ。それに、俺は過去に何人も、否何百と“人を殺しちまッてんだ”。今更何人殺そうと、オレに課せられる罪なんて変わりゃしねェよ」



———実にマフィアに向いた性格。

こんなに良い出会い、久し振りだ。


「ククッ! 橙条雅人。貴様を歓迎しますよ。此の血に染まった世界が、貴様にはお似合いですから」
「生憎と、てめえ等の世界には興味が無くてな。その誘いには乗らねェよ」


「なら、此処で殺してあげますよ。愚かな罪人」


◇ ◆ ◇


「……うん。今どーゆー状況?」

はいはーい、レンでーす。

あった事を単純に説明すれば、天井が崩れた→床が抜けた→落ちた。

で、落ちたら目の前に薄い青色の障壁があって。
その向こうに大量の瓦礫があって。

反射的に瓦礫から逃れようと通路の方へ移動した。


———そして今に至る。


「あちゃー。此れは、完全に戻れないな! 諦めて階段まで行こうか」
「オイ待て、グレース。色々説明しろ、そして殴らせろ」
「酷くないっ⁉︎ 少し前までの琴葉ちゃんくらいすっごく理不尽てあれ琴葉ちゃんは⁉︎」

ハク「ウワァァァァアアアアアアアア‼︎‼︎ リア充滅べ、なんてものを見せるんだくそったれ‼︎」
グレ「ハク、そのキャラ崩壊状態から治れってギィィヤァァアアアアアアアアアア‼︎‼︎」
シン「御前等、叫び過ぎだ。一体どうし……アアアアアアアァァァァァアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎」
レン「アァァァァアアアアアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎」
要「イヤァァァァアアアアアアアアアアアア‼︎‼︎」

あ、ああ……‼︎
なんて事を見せつけているんだ‼︎
くそったれ……‼︎

「……あぁ? 御前等騒ぎ過ぎだっつの」
「んっ……ぁ、あ……はぁ、っ……ぁ……はっ……」
「口移しで薬飲ませるくらい、大した事ねぇだろ」

響と琴葉がキスしてた!
と思ったら薬飲ませてた‼︎

だけなら俺もやった‼︎
あれはしょうがなかったから許して⁉︎
超嬉しかったけど⁉︎

グレ「響、お前! 今絶対違うこともした‼︎」
響「俺が、何を、したって?」
グレ「今絶対舌入れたな⁉︎ 琴葉ちゃん表情溶け切ってるし‼︎」
響「さぁな?」
グレ「メイド狡い‼︎」

ぎゃあぎゃあ騒いでいたお陰で聞こえなかったが、上の方では凄い破壊活動が行われていたらしい。

響「……てか、さっさと上に戻るぞ。此処にいちゃ、何時また天井が降ってくるか分かりゃしねぇし」
シン「メイド。どうして僕達を殺さない?」
響「利用方法と命令があるからだっつーの。反逆行為にならない様にする為に御前等に手を出してないだけってのを忘れんn「「「「ああぁぁぁああああああああああああああ‼︎‼︎」」」」

絶叫。

レン「おい……響のヤツ、サラッと琴葉を姫抱きしたんだけどぉ⁉︎」
ハク「許せなァアアアイッ‼︎‼︎」
グレ「オイ誰か‼︎ 至急ハリセン持って来い‼︎‼︎」
要「琴葉も少しは何か抵抗して⁉︎」

響「別に良いよな? 琴葉」
琴葉「ん……」
「「「「うわぁぁあああぁぁぁあああああああああああああああああああ‼︎‼︎‼︎‼︎」」」」

グレ「楽しみにしていた映画のラストをチケットを買った後に前の回を見ていた人達にネタバレされるくらいイィヤアアァァアアアアアアア‼︎‼︎」
レン「これなら何もないところでコケて泥沼に顔面からダイブする方がマシィィィイイイイ‼︎‼︎」
ハク「くしゃみが出そうで出ないあのむず痒い感じの三那由他倍くらいワァァァアアアアアアアアアアア‼︎‼︎」
要「女装対決で優勝した以上にクソッタレェェェエエエエエエエエエエエエエ‼︎‼︎」
シン「……わぁぁぁあああ。リア充爆ぜろし」

 
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