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ある晴れた日に

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254部分:その吹く風その十一


その吹く風その十一

「皆ね」
「そこまで深いんだな」
「幼稚園の頃からずっと一緒で」
 時間も彼女達の絆を作り上げていったのである。時間は絆を作り上げるうえで極めて重要な調味料の一つである。それだけ熟成していくからだ。
「それでこれからもね」
「これからもか」
「ずっと一緒にいたいわ」
 未晴の心からの言葉だった。
「本当にね。ずっとね」
「そうか。じゃあそうするようにな」
「努力しろっていうのね」
「続けるには努力が必要だからな」
 素っ気無いがそれでも確かな言葉であった。
「何でもな。続けようと思ったらな」
「そうね。私達気付かなかったけれど努力していたんだと思うわ」
 未晴は言いながら幼稚園から今までの六人のことを頭の中で思い浮かべていた。確かに今まで色々なことがあったということをだ。
「悲しいことや辛いことも一杯あったけれど」
「喧嘩もあったよな」
 正道はふと喧嘩の話も出した。
「やっぱり。あったよな」
「あったわ」
 未晴はこのことも隠さなかった。
「さっき話したことも。私達の中でも」
「やっぱり中でもあったんだな」
「ええ。お互いにちょっとしたことで衝突したり」
 そういうことは何処でもあることである。人間は感情がありそれがぶつかることもある。このことはどうしてもなくならないものであるのだ。
「そうしたことが幾つもあったわ」
「そうだよな。けれどそれでもだよな」
「ええ。その都度色々あってそれでも終わらせて」
 解決していったというのだ。
「それで今もね。六人でいるわ」
「絆だよな」
 正道はここまで聞いてまた呟いた。
「それもな」
「そうね。絆ね」
 未晴も彼の今の呟きに頷いた。
「私達も」
「ああ。それで今日はな」
「何?」
「おたくこれで帰るんだよな」
 このことをまた未晴に尋ねたのだった。
「これでな。帰るんだよな、家に」
「そうよ」
 正道に顔を向けて答えた。
「今日はね。もうこれでね」
「俺はちょっとギターのコード見に行ってな」
「あれって案外すぐ切れるのね」
「繊細なんだよ」
 コードについての言葉だった。
「あれでな。ちょっとしたことで切れるんだよ」
「そうみたいね」
「人間と同じかな」
 こうも言った。
「その辺りはな」
「ふふふ、そうね」
 未晴も彼の今の言葉に笑って頷いた。
「強いように見えて実はね」
「それですぐに切れそうで中々切れない」
 こうも言った。
「そういうものなんだよな」
「やっぱり人と似てるわね」
 その逆の言葉を聞いてまた言った未晴だった。
「切れそうで切れないっていうことも」
「そうだよな。本当に人間ってわからないな」
「そう簡単にわからないから難しいのよね」
「そうだよな。じゃあ今日はそれでな」
「ええ。また明日ね」
 二人はこの日はそれで別れた。そして次の日。担任の二人がホームルームの時間を利用して皆に話をしていた。それは学校ではよく言われることであった。
 
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