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ある晴れた日に

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253部分:その吹く風その十


その吹く風その十

「スタープラチナは絶対にな」
「明日あそこで咲達がプリクラ撮るつもりらしいわよ」
「あいつ等も本当にプリクラ好きだな」
 その話を聞いて思わず言った正道だった。
「特に中森な。あいつな」
「そうよね。咲も好きだし」
「柳本なんかアルバムまで作ってるじゃねえか」
 彼女の趣味であるのだ。
「何かっていうと写真撮ってよ」
「あれ咲の趣味なの」
「アルバム作るのがかよ」
「そうなの。子供の頃からずっと作ってるの」
 未晴は話す。
「ずっとね。もう何十冊あるかしら」
「じゃあ幼稚園の頃からか」
「そうよ。私の写真も一杯あるわ」
 当然長い付き合いの彼女の姿もそこにあるというわけだった。
「小学校の時も中学校の時も」
「やっぱりその頃のもかよ」
「それで今も」
「高校に入ってもなんだな」
「もう二冊できたんだって」
 未晴は笑って咲のアルバムのことを話した。
「最近じゃ少年とか茜ちゃんがいたり」
「男連中もだよな」
「音橋君もいるわよ」
「俺もか」
 自分もいると聞いて意外といった顔を見せた。
「俺もいるのかよ」
「当たり前じゃない。クラスメイトじゃない」
 だからだというのだった。
「いるわよ。ちゃんとね」
「あいつ何かっていうと写真撮ってもらってるけれどな」
 カメラも持参しているのだ。持っているのはデジカメである。これが一番撮りやすいからだという。
「そういえば俺も何回も撮られてるな」
「だから。音橋君もいるわよ」
 再度彼に話す。
「ちゃんとね」
「まあそれはそれでいいけれどな」
 撮られていても実際悪い気はしていない正道だった。
「別に呪いとかそういうのに使われるんじゃないからな」
「それはないし」
 未晴は笑って呪いの類は否定した。
「安心して」
「最初からそれはないってわかってるさ。それでな」
「ええ。それで?」
「あいつアルバム作るの趣味だったのか」
 あらためてこのことについて考えるのだった。
「あいつらしいけれどな」
「寂しがり屋だから」
 未晴はそのせいだと答えたのだった。
「幼稚園で私達と一緒になるまで一人だったし」
「それでおたく等と一緒になってだったよな」
「そうなの。それまではね」
 またこのことを話したのだった。
「ずっと。一人だったから」
「そのことずっと覚えていてなんだな」
「結局。私達皆そうなのだと思うわ」
 話を咲に限ってこなかった。
「それはね」
「寂しいことが嫌ってことがか」
「咲だけじゃなくて静華も春華も凛も奈々瀬も」 
 その彼女のいるグループのメンバーだった。
「そして私もね」
「おたくもか」
「皆がいないことなんて考えられないわ」
 こう言うのだった。
「もうね。絶対にね」
「そこまでか」
「ええ。本当にそこまで頼りにしてるから」
 言葉を続ける。
 
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