魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話
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第二百話
『地球圏に住む全ての方々へ、こんにちは』
各国のISコアを通し世界規模で撒き散らされた公開放送の出だしは挨拶からだった。
どこかの海をバックに、ISと思われる銀色の機体と一人の女性が立っている。
『やっほー。はろはろー。皆大好き束さんだよー』
女性の方は、今や知らぬ者は居ないほどの存在、タバネ・シノノノだ。
ISの方は、3メートル程の人型で、全身が銀一色に統一されていた。
銀ではないのは各関節とスリットアイだけ。
肩と背中に大きなバインダーをつけ、それが異形感を醸し出している。
『私の名前はUNオーウェン。先日日本国にアルディとリムシィを送り込んだ者だ』
UNオーウェンと名乗ったISが喋る度に、スリットアイが明滅する。
『今回の電波ジャックの目的は、勧告だ』
UNオーウェンのISが大きな手で器用に指を鳴らした。
するとホロウィンドウが開く。
『我々はこれより、先日の発表通り該当地域における地雷撤去作業を行う』
ホロウィンドウに撮されていたのは、少し調べればわかる地雷地域から極秘裏に地雷を巻かれた場所まで様々だ。
『国連と当該国とは既に話を着けてある。これより子機を全世界に向かわせるので、撃墜しないで頂きたい。
まぁ、撃墜出きるならばの話だが』
UNオーウェンが再び指を鳴らすと、カメラが沖を向いた。
海面が盛り上がり、大型潜水”艦”が姿を現した。
その姿は大戦末期に大日本帝国海軍が建造した伊号四〇〇型潜水艦に酷似していた。
「ハッチオープン。全機出撃」
そのハッチが開き、中から多数のISと思われる機体が発進した。
青と白のカラーリング。
人型のシルエット。
左肩のみつけた大型バインダー。
そのバインダーはUNオーウェンの機体と同じデザインだ。
その機体達が、四方八方へと飛んでいく。
総勢20機。
世界を落とせる戦力だ。
その発進場所から、UNオーウェンの所在が割り出される。
西サハラ地域の端だ。
20機のISは、一時間もせずに地球全土をカバーできるような位地についた。
南北半球の南北40度に東西36ずつ。
そして遂にUNオーウェンが飛び立った。
ひたすらに上昇を続け、高度400キロ。
もはや宇宙と呼べる高度まで上昇したUNオーウェン。
その場で両手を広げる。
『これより地雷撤去を行う。クアンタムバースト、トランザム、発動』
カシャカシャとカンヘル・クレアードが変形、否、変身する。
それと同時刻。
世界中の子機が同じように手を広げ、装甲をパージした。
さらにカンヘルの肩部バインダーとアームドアーマーDEが切り離された。
肩部バインダーが背中と腰のGNドライヴに接続。
アームドアーマーDEとソードビットが翼を広げたように展開する。
「TRYING-system! 起動!」
次の瞬間。
カンヘルから光が溢れる。
それと同じ光が20機のクアンタから溢れ、世界を包み込んだ。
「地雷なんて、いらない」
とUNオーウェンが、一夏が呟いた。
それは、きっかけ。
呼び水。
流れ出すは、人の集合意識。
地雷なんていらない、という世界の意思。
人類の意志が集合した。
20機のクアンタ、そして地上に置かれたサイコシャードが一瞬にして肥大化する。
カンヘルの背部に、サイコシャードの翼が発生した。
煌めく翼。
光る翼。
翼を起点に、地球を覆うように発生したサイコフィールド。
願いを、望みを顕現させる空間。
それは、人類の願いを叶えた。
全ての地雷が崩壊した。
砂と化した。
跡形もなく、だ。
結果としてクアンタはもはや形を保てず、巨大な十字架のような物と成り果てた。
それにより、GNドライヴもサイコシャードと化し、機能を停止した。
地上の結晶は、積を増し、部屋を突き破った。
砂漠の中に縦横数百メートルの巨大な光る結晶が鎮座することとなった。
人類の集合意識によって肥大化したサイコシャード達。
クアンタ達がゆっくりと落ちていく。
海に沈んだ物。
街に降り立った物。
森に刺さった物。
砂漠に落ちた物。
それらは地上に触れると同時に輝きを失い、無色透明となった。
そして一夏は落ちていた。
背中に数百メートルはあるサイコシャードの翼を発生させた状態で、地上に向けて落下する。
翼が邪魔で、おかしな軌道で落ちるカンヘル。
「いっ君!」
束がイノセントを纏い、空で一夏を受け止めた。
サァッ…とサイコシャードの巨大な翼が砂となって消える。
残ったのは、輝きを失ったアームドアーマーDEとソードビットだった。
「お疲れ様。いっ君」
こうして、第二次白騎士事件は人類史に刻み込まれた。
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