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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第百九十九話

四月中旬。

中二になって数日。

「あ、いっ君。いまから西サハラ地域貰いに行くけど一緒に来る?」

「………………………は!?」

束さんがいきなりそんな事を言い出した。

「え、いや、ちょっと待って束さん何言ってるのかわかんない」

「地雷撤去とJPlevelMHD動力炉式淡水化プラントの建造と難民の受け入れを条件に国連とモロッコ政府に飲ませたよ」

「えーと……」

「スペインがウザかったかたISコアの機能を五分停止させたら飲んだよ」

うん。ちょっと待とう。ちょっと待とうか束さん。

「なんでそんな事したの?」

「え? 地上の公開拠点が欲しかったから」

「亡命政府は?」

「抱き込んだよ」

「うーわー………」

「やー、彼らIS持ってないからさ、私の庇護下に入るのはOKらしくてね」

「ま、まぁ、いいや」

「で、これから地雷撤去に行くんだよ」

「はぁ…なるほど」

地雷撤去。

国連が条件を飲む訳だ。

なんせいまでも地雷のせいで毎年多くの死者が出ている。

人道には反しない。

「で、いっ君も来る?」

「んー…………」

地雷撤去かぁ……………。

あ、そうだ。

いいこと考えた。

今度こそISの平和利用を世に知らしめよう。

「束さん、その地雷撤去の期間って決まってる?」

「一応二年を目処にって事にしてあるよ」

「わかった。じゃぁ地雷撤去は一週間待って。
そしたら俺が一時間で地雷撤去終わらせるからさ」

さぁてと…世界中に、福音をもたらそうかね。

side out











一夏が始めにした事は、三柱を乗せたトレイターを西サハラに向かわせる事だった。

手持ちの労働力(等身大FA、オートマトン、アルディ/リムシィなど)を満載したトレイターはディメンジョン・マスカーを使用することで1日かからず日本から西サハラまで到着した。

家の地下のラボから一夏が指示を出す。

そうしてみるみる内に西サハラ地域の海岸から20キロ地点の地下に部屋ができた。

30メートル四方の部屋だ。

それが二日目の事だった。

「ねぇいっ君。何する気? たしかに西サハラを貰うって話をしたのは私だけどさ。
そろそろ教えてくれないかな」

カタカタとラボでキーボードを叩く一夏の後ろに、束が立つ。

ふわり、と束の腕が椅子に座る一夏を抱く。

「んー…ISが戦いの道具じゃないっていうのを、改めて知らしめるのさ」

「……いっ君、トレイターで牽引して無理矢理地底湖のサイコシャード持っていったよね」

「うん」

そのサイコシャードは、現在件の部屋に安置されている。

「どうするの? あれ?」

「ブースターだよ。あれで増幅した脳量子波をオリジナルコアを媒体にして拡散。
サイコフィールドで地雷全てを消し去る」

「カンヘル、使うの?」

「御披露目さ。今度こそ失敗しないように」

人工皮膜におおわれたサイコシャードの腕が、束の頬に触れる。

「いっ君、まだ気にしてたの? アレは私が決めた事だよ?」

「でも提案したのは俺だ。もっといい方法はあった。でも」

「あの時は私もどうかしてたんだよ」

「でも………んむっ……❤」

尚も自虐的になる一夏の口を、束が物理的に塞いだ。

「んふふー…。いっ君は可愛いなぁ」

「……………………………ありがと」

「どーいたしまして」








三日、四日、五日、六日。

一夏はカンヘルの調整を行った。

家でも、学校でも、登校中も、下校中も。

けして暴走しないように。

そして暴走してもいいように。

それと同時に一夏が作った物があった。

「いっ君、なんで同じデザインの機体が何個もあるの?」

束の前には同じ形同じ顔同じ色のヒトガタが大量にあった。

「それはビットモビ……カンヘルの子機だよ。
直列ツインドライヴを各機一対ずつ持ってる。
この00Qを世界中に分散させて脳量子波の中継局として使うのさ」

「ふーん…あれ…? この肩のパーツカンヘルと共用?」

「そうだよ。と言ってもこの00Qは見た目だけで中身はサイコ・Eカーボンの塊だよ。
本当にただの中継局兼ブースターさ」

「ふーん……それにしてもよくこんなに作れたね」

「だからガワだけだって。はいプロパティ」

一夏が束に見せたウィンドウには、本当に僅かな電装部品を覗いてサイコ・Eカーボンで作られているという情報が記載されていた。

「たぶん、一回使ったらおじゃんだね。十中八九サイコシャード化する。
だってこの00Q擬きにはフォールドクォーツ乗せてないからね」

一夏にとって原作にある物は直列ツインドライヴだろうとフォールドクォーツだろうと作る事ができる。

だが、ソコに無い物は手探りだ。

特に、複数の異なる作品の技術の融合は。

「カンヘル、大丈夫なんだよね?」

「勿論。各部にフォールドクォーツを仕込んでイナーシャルストアコンバーターに余剰エネルギーをにがすように作ったし、増設ジェネレータとしてエイハヴリアクター乗せてナノラミネートでGN粒子とサイコ・Eカーボンの接触は絶ってる。
零落白夜のエネルギー対消滅も組み込んだ。
あとは爆砕プラグもある」

「それを、どう使うの?」

「束さんが地雷撤去をするって発表してから、世間では地雷反対の特番が流れてる。
先進国、途上国問わずだ。
人類の集合意識。サイコマテリアルでそれに形を与えればいい。
サイコマテリアルっていうのは、そういう物だから」

「そうなんだ……。そんな事して、いっ君は大丈夫なの?」

「大丈夫。俺は不死身だから」

「…………ねぇ、いっ君」

「なに?」

「いっ君ってさ、人間じゃないんだよね?」

「うん」

「じゃぁ、いっ君だけの、たった一人だけの、名前が要ると思うの」

「名前? って種族名ってこと?」

「うん」

束が一夏の耳元で囁いた。

「トライング」

「メシアで、イノベイターで、魔法師で」

「だから『3』」

「いっ君には、いろんな困難があると思う」

「だから『試練』」

「そして、『挑み行く者』」

「人類の限界に、人類の終に、人類の…可能性に」

一夏が、笑った。

「TRYING…か。いい、名前だね。メシアでもなく、イノベイターでもなく、魔法師でもなく。
トライング。好きな人が、つけてくれた名前」

一夏が、ホロウィンドウを指差す。

そこには、一ヶ所だけ空欄があった。

「このシステムの名前がずっと決まらなかった。人類の集合無意識を制御するシステムの名前が」

一夏が、空欄に文字を打つ。

TRYING-System

「大好きな人につけてもらった名前。俺そのものを冠したシステム」

だから大丈夫、と自信を持って言った。












「さぁ、白騎士事件をやり直そう」 
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