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レーヴァティン

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第百一話 島への侵攻その三

「そうするな」
「ほなどんどん行こうな」
「ああ、ただ手はじめにな」
「エルバ島やな」
「あの島を忘れたらいけないな」
 この小さな島をというのだ。
「やっぱりな」
「うち等の島やとナポレオンが流されてたな」
「その島だったよな」
「そやったわ」
 最初に流された島だ、ウィーン会議で欧州各国が揉めている隙を見て脱出して皇帝に返り咲いたのが百日天下だ。
「その島や」
「じゃあその島もな」
「占領するな」
「最初にな」
 そうすると言うのだった。
「放っておけないしな」
「じゃあまずは」
「エルバ島占領だよ」
「ちなみに人あまりおらんで」
「じゃあ占領してすぐにな」
「コルシカ島やな」
「特にどっかの国の勢力圏でもないだろ」
「北西の王国が狙ってるみたいやで」
 この国がとだ、美奈代は久志に答えた。
「どうやらな」
「そうか、けれどまだだよな」
「領土にはしてへんわ」
「こうした時は早いもの勝ちだからな」
 領土のこうした考えはこの島でも同じだ、力の空白地の領有は先に進出した勢力のものとなるのだ。ただし奪うことは出来る。
「だからな」
「これを機会に占領するか」
「ああ、それでその次にな」
「サルディニア島やな」
「そうしていくな、それで二つの島を占領して」
 それからのこともだ、久志は美奈代に話した。
「シチリアだよ」
「その順番でいくんやな」
「順番にな」
「どの島々も小勢力が乱立しているよ」
 淳二はそういった島々の勢力について話した。
「街や村ごと、あと山賊とか海賊のね」
「小さな勢力ばかりか」
「兵の数で千人の勢力はないよ」
「小勢力ばかりか」
「中には街の中で数十二ん単位で揉めていたりとかね」
「何かヤクザ屋さんの抗争みたいだな」
「実際そんな感じのところも多いみたいだよ」
 久志が言うヤクザ屋達が街の中でシノギを削り合っている様な状況もというのだ。
「どうやらね」
「そうか、そんな勢力ばかりだとな」
「おいら達が何万と送り込んできたらね」
「降る勢力が大きいか」
「それで下手に逆らう勢力は」
「潰すだけだな」
「街とか山の地の利を活かして抵抗しようって勢力もあるかもね」
 街のヤクザ者や山賊達の中にはというのだ。
「その場合は厄介かも知れないけれどね」
「その場合はこっちも身なりの軽い奴を送り込むさ」
 久志は淳二の今の言葉に即座に返した。
「そしてな」
「やっつけていくんだね」
「ああ、そこはお前に任せていいか」
「身なりの軽い連中には身なりの軽い奴を送り込む」
「それでいいか」
「おいらもそれを言うつもりだったんだ」
 ここで明るく笑ってだ、淳二は久志に答えた。
「丁度ね」
「じゃあ話は早いな」
「うん、そうしていこうね」
「そんな連中のことは頼むな」
「色々戦い方があるしね」
「戦い方?」
「毒を以て毒を制す、それも二虎競食だよ」
 淳二は久志に笑ったまま述べた。
「そういうことだよ」
「ああ、大体わかったぜ」
 久志も淳二の言葉に笑って応えた、それは明らかに彼が言っていることを理解してそのうえでの返事だった。 
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