ある晴れた日に
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224部分:オレンジは花の香りその七
オレンジは花の香りその七
「で、何時やるんだ?」
「場所は?」
参加を決めてから時間と場所を尋ねる。しかし二人の返答はこれまた実にいい加減なものであった。
「一応今日にね」
「早速やるか」
「何っ、ちょっと待てよ」
「今日いきなり!?」
皆それには絶句であった。
「今日って何よ、今日って」
「いきなりかよ」
「そうだけれど?何か悪い?」
「食べ物は新鮮なうちにだろ?」
まだ強引に言ってはいる。
「じゃあそういうことでな。いいよな」
「いきなり今日かよ」
「無茶苦茶だな、おい」
「いいじゃない。いきなり訳のわからない八人とか十六人で生き死にかけた武道会に参加するんじゃないし」
明日夢はここでもかなり強引に話した。
「いいでしょ?今日で」
「まあ別にね」
「時間はそれでいいさ」
とりあえず皆また二人の言葉に頷きはした。
「時間はあるから」
「それはな」
「で、それでだ」
一応彼等の言葉に頷いたうえでまた言うのだった。
「場所は?」
「場所何処?」
「スタープラチナ?それとも猛虎堂?」
皆今度は場所を尋ねる。しかし二人の返答は時間の時より遥かにいい加減だった。
「あっ、そういえば何処だったっけ」
「何処だった?」
二人で顔を見合わせてそれぞれ聞き合うのだった。
「場所って」
「何処にしていた?」
「あんたが決めていたんじゃないの?」
「そっちでセッティングしたんだろ?」
こう言い合うのだった。そこまでは何も考えていないのだった。
「こっちそこまで考えてなかったし」
「こっちもだぞ」
あくまでこう言い合うのだった。
「ええと。スタープラチナにする?」
「猛虎堂でいいか?」
「こいつ等、何考えてるんだ?」
「全然何も考えてないじゃない」
坪本と奈々瀬が完全に呆れた顔で二人のことを言った。
「そこまで考えてから普通言うだろ?」
「場所なんて基本中の基本じゃない」
「まあどうにかなるから」
「だからいいだろ」
しかし二人の調子は相変わらずであった。しれっとしたものである。
「で、場所だけれど」
「ああ、こっち駄目だな」
佐々は自分の携帯を見ながら皆に言った。
「予約入ってるや。悪い悪い」
「こっちも何か駄目っぽいわね」
明日夢もここで自分の携帯を見ていた。二人はそれぞれ携帯を電子手帳がわりにしているのだった。この辺りは二人も皆と同じだ。
「今日は八条大学の先生達がパーティールーム借り切りね。どうしようかしら」
「どうしようじゃねえだろ?」
「何でそう楽観的なんだ?」
皆さらに呆れた顔で二人に言い返したのだった。
「場所なくてどうするんだよ」
「しかも今日なのによ」
「どうにかなるわよ」
「なあ」
「どうにかなるって」
皆またしても二人のいい加減さに呆れるのだった。だが呆れてはいるが怒ってはいなかった。この辺りが穏やかと言えば穏やかである。
「で、場所本当にどうするのよ」
「スタープラチナも猛虎堂も使えないのに」
「そうね。たまには野外?」
「それもいいんじゃないのか?」
「御前等馬鹿だろ」
野茂も完全に呆れた声で二人に言った。
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