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ある晴れた日に

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221部分:オレンジは花の香りその四


オレンジは花の香りその四

「あげるわ。どう?」
「あっ、有り難う」
 受け取るということだった。
「それじゃあ」
「ええ。どうぞ」
 明日夢は丁度凛の席のところに来ていた。凛はその彼女の口に飴を入れるのだった。皆それを見てここでもまた言うのであった。
「だから御前等マジでよ」
「できてねえか?」
「できてないわよ」
「ねえ」
 当の二人はそれは否定する。
「ちゃんとした健全な関係よ」
「友達同士よ」
「最近そうは見えないんだけれどよ」
「本当にそういう関係じゃねえんだな?」
 特に男組が二人のことを疑っていた。
「何か芝居の時からさらにな」
「野外学習の時も怪しかったけれどよ」
「っていうか最近凛少年とやたらいね?」
 仲間の春華からも言われだした。
「うち等といてもよ。何かそれ以外少年といつも一緒じゃねえか?」
「気が合うからね」
 凛もそれを否定はしなかった。
「髪が短い同士だからかな?」
「それはないんじゃないの?」
 恵美はそれは違うと言った。
「明日夢は確かに明るくて付き合い易いタイプだけれど」
「凛これでもちょっと気難しいっていうか?」
「結構落ち込み易いのよね」
 奈々瀬と静華が言うのだった。
「普段明るいけれど結構うじうじしたり」
「そういうところあるのよね」
「へえ、それって意外ね」
 茜は二人の話を聞いて目を少し丸くさせた。
「そうだったの、凛って」
「これで結構ナイーブなのよ」
「私達の中で一番」
「っていうと御前とか柳本とかとは全然違うんだな」 
 野本が絶好のタイミングで余計なことを言った。
「そうなんだな」
「何で私なのよ」
「どうして咲なの?」
 案の定その二人が早速反撃に出て来た。
「つまり私が無神経ってわけ?」
「それってかなり失礼な言葉よ」
「いや、そこまでは言わねえよ」
 野本はそれは否定した。
「まあ適当で能天気っていうだけでな」
「どっちにしろけなしてるじゃない」
「あまり否定できないけれどね」
 実は自分達でも自覚はある二人だった。
「それでも今私も結構落ち込んでるのよ」
「雨ばかりだから」
 しかし今は流石にその適当さも能天気さも多少曇っているのであった。天気がもたらすものはやはりかなり大きなものがある。
「全く。凛は少年といちゃいちゃしてるし」
「義彦君も最近お家のことで大変だし」
「和菓子屋はそうだろうな」
 正道はもうそれだけでわかった。
「この季節な。カビがな」
「もうカビの話は沢山だな」
「っていうか身体に生えてきそうになってきたな」
 野茂と坂上はその単語を聞いただけでうんざりとなっていた。
「全くよ。家帰ってもジメジメしてるしよ」
「食い物は足早くなるしな」
 坪本は皆と同じだったが佐々は明日夢と同じで家のことに気がいっていた。
「天気予報だと暫く雨らしいしな」
「当分我慢かよ」
「本当に何かいいことないかな」
 このクラスでは一番の人格者とされる桐生もぼやくだけだった。
 
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