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ある晴れた日に

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216部分:思いも寄らぬこの喜びその十六


思いも寄らぬこの喜びその十六

「虎キチの中でもかなりハードな域にいってるし」
「もう猛星党員って感じね」
「猛星党員!?結構な言葉よ」
 明日夢自身もその名前を称号のように受け取るのだった。
「今度からそれをネットでのハンドルネームにしようかしら」
「そういうのが傾奇いてるって言うんだよ」
 正道はここでまた明日夢に言った。
「そういうのがな」
「これ普通じゃない」
「普通じゃないから」
「全然」
 また女組全員でそれを否定する。
「だからそこまでやるっていうのがね」
「傾いてるっていうのよ」
 そういうことであった。
「徹底してるじゃない」
「そういえば携帯に番号貼ってるけれど」
「ああ、これね」
 明日夢は女組の話に応えて懐から携帯を出してきた。そこには確かに番号がある。
「これのことよね、この番号」
「十一か」
 春華はその番号を見て何かに気付いたようだった。
「荒木大輔さんのじゃねえか」
「斉藤隆さんよ」
 明日夢は少しむっとなって春華に言い返した。
「ベイスターズじゃね」
「まあ番号はうち等もだけれどな」
「それはね」
 皆それぞれ携帯を出してきた。見れば皆携帯に番号がある。皆も皆で傾いている。
「うちこれな。一番」
「私は二十七番」
 春華と奈々瀬もそれぞれ見せる。数字のカラーはスワローズのカラーだ。当然明日夢のそれはベイスターズの青であり対象的だ。
「若松さんに池山さんに岩村さんな」
「言うまでもなく古田さんよ」
 それぞれの趣味が出ていた。
「やっぱりこれだろ、数字は」
「凄く安心するわよね」
「そうそう。咲も一番」
 咲もにこにことして自分の携帯の数字を見せる。そこにあるのは福岡ダイエーホークスのオレンジと黒、それに白の少し懐かしいカラーだった。
「秋山さんよ。裏には八十九番」
「私は六番」
「私は三十一」
 静華と凛のカラーはやはり縦縞の黒と黄色である。
「言うまでもないけれど金本さんよ」
「掛布さんよ」
「何かそれぞれだな」
 野本は四十四番だった。
「俺はこれだけれどな」
「僕はこれ」
「俺はこの数字だな」
 桐生は七、坂上は十六、野茂は十八、佐々は四、坪本は二十八であった。
「俺はバース様だぜ」
「僕は真弓さん」 
「俺は岡田監督の現役でよ」
「俺のは藪だな」
「俺キーオさんな」
「江夏さんだよ、阪神は」
 それぞれ誇らしげにその数字を見せながら話すのだった。正道はその数字を見てふと呟いた。
「何か皆回顧趣味なんだな」
「そういう音橋君はどうなの?」
 問う竹山もやはり黒と黄色で数字は二十二だった。
「何番?」
「俺はこれだけれどな」
 彼の数字は十一であった。黒と黄色の縦縞の。
「これが一番好きな数字だ」
「凄いね」
 竹山はその数字を見て素直に賞賛した。
 
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