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レーヴァティン

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第九十九話 要塞攻略その九

「あまり、でござる」
「効果的な感じじゃねえな」
「あれはテルシオの前でござるな」
「テルシオ?ああ欧州の昔の陣形だったな」
「槍兵を長方形に並べてでござる」 
 百人の横隊を縦に十列置くのだ。
「その四方に銃兵を置いて」
「斜めの四隅に縦横十人位で塔みたいに方陣置いてな」
「そうした密集方陣でござるが」
「あれはそのテルシオの前の形だな」
「そうでござるな」
「大砲もあるでござるが」
「それもな」
 見ればだった。
「でかくてな」
「旧式でござるな」
「そうだな、数も少ないしな」
「騎兵は殆どないでござる」
「何か俺達の戦を見てな」
「真似た感じでござるが」
 しかしとだ、進太は述べた。
「前をしきれずでござる」
「テルシオの前っていうかな」
「その様な感じの陣でござる」
「そうだな」
「あれではでござる」
 進太は確かな声で話した。
「特にでござる」
「恐れることはないな」
「そしていあの中から一万がでござる」
「こっちに寝返るんだったな」
「そやで、あっちの進軍がはじまった瞬間にな」
 美奈代も話してきた。
「攻撃を開始するで」
「そうした算段になってるんだな」
「そや、そやからな」
「俺達はそこにか」
「一気に攻めたらええわ」
「突然の裏切りにびっくりしている敵を叩く」
「そうすればな」
 それでというのだ。
「ほんまにや」
「勝てるな」
「確実にな」
 その彼等から見て中途半端な方陣の彼等にというのだ。
「これはな」
「ほなやな」
「進軍するか」
「そうしよな」
「それじゃあな」
 久志は進軍を命じた、そうしてだった。
 ローマ軍十万が一斉に動き連合軍に向かって進んだ、すると連合軍も動いたがその動きはローマ軍に比べて遅く。
 敵の動きより前にだ、攻撃ポイントに達し。
 砲撃を開始した、するとだった。
 敵の後方が騒がしくなった、美奈代はそれを見て言った。
「よし、手筈通りや」
「こっちに寝返った連中が動いたんだな」
「そしてや」
 こう久志に話した。
「その一万がな」
「今かつての味方を攻撃しているんだな」
「どうも敵軍を後ろから攻めてるな」
「そうか、だからか」
「今敵が騒がしいんや」
 そうなっているというのだ。
「いきなり後ろから襲われてな」
「そうか、こっちと干戈を交える前にな」
「そうなった、敵は混乱してるで」
「よし、ならな」
 それならとだ、久志は美奈代の話を聞いてだった。
 全軍に砲撃を何度も行わせてだった、そのうえで。
 銃撃も行った、そうして寝返った兵達に後ろから攻められて混乱している連合軍四万の方陣達に対して。
 方陣をぶつけ合うことなくだった、砲撃と銃撃でだった。
 方陣を一つ一つ潰していき左翼から進太が率いる騎兵隊も突っ込ませてだった。敵を散々に打ち破った。 
 打ち破られた連合軍は潰走しヴェネツィアに向かって逃げたし久志は追撃も命じた。こうしてであった。 
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