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ある晴れた日に

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184部分:さくらんぼの二重唱その二


さくらんぼの二重唱その二

「それでも。自分でも思ったより」
「動けてるのね」
「うん。いい感じ」
 こう明日夢に答えて微笑む。二人はもう化粧までしていてどちらもその顔は白粉で真っ白だ。
「これならやっていけるわ」
「よかったね、凛」
「少年もね」
 ここで実際に演技をして寄り添う。皆それを見て顔を顰めさせるのだった。
「あいつ等、やっぱり」
「妖しいよな」
「マジレズなんじゃねえのか?」
 二人は寄り添いながらさらに演技を続け今度はじっと見詰め合っていた。
「うわ、あの目がな」
「もう完全にな」
「そこがいいんじゃない」
 ここで竹山が出て来て述べた。見れば彼はノートパソコンを持ってそこに色々と入力していた。それがまた実に似合っている姿であった。
「そこがね」
「いいのか?」
「いいの」
 こう壺本にも述べたのだった。
「実際にはそんな関係にはないしね」
「何でそんなの御前が知ってるんだよ」
「わかるから」
「わかる!?」
「本当のレズビアンはもっと違うんだ」
 壺本に言うのはこうだった。
「もっとね。実際の男女の関係みたいで」
「あれは演技っていうのかよ」
「うん。だから安心していいから」
「あれは演技なのかよ」
 壺本は演技を続ける二人を見てまた言う。
「だったらいいけれどな」
「絵柄的にはいいでしょ」
 竹山は絵柄と言う。
「あの二人って」
「まあな」
 これは壺本も素直に認めることができた。
「どっちも顔立ちいいしな」
「それで女の子同士だし」
「余計にいいっていうのか」
「宝塚だよ」
 竹山は今度は宝塚を話に出した。
「ああいう感じだからね」
「成程、宝塚か」
「やっぱり人気あるじゃない」
 宝塚は最早信仰に近い人気がある。これに熱中している人も多い。竹山はそのことも完全に見抜いていたのであった。かなりのものである。
「だからね」
「そういうことか。じゃあこの舞台は」
「ひょっとしたらだけれど」
 一応はこう前置きはした。
「けれどね」
「成功するかも知れないんだな」
「大成功ね」
 竹山は言った。
「するかもね」
「よし、それじゃあな」
「ああ」
 壺本だけでなく坂上も話に入って来た。
「俺達も頑張るか」
「端役だけれど役もあるしな」
「そうしよう。そうそう」
「今度はどうしたんだよ」
「舞台はね」
 彼が今度言うのは舞台についてであった。
「それでいいから」
「こんな感じかよ」
「江戸時代って感じだな」
「うん、まあここはこうして」
 竹山は自分もトンカチを出してそれで釘が甘い場所を打った。
 
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