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ある晴れた日に

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132部分:妙なる調和その四


妙なる調和その四

「とにかくな」
「それだけじゃちょっとわからないけれど」
「いいんだよ、感性だからな」
 感性を話に出してきた。しかしそれは千佳にとっては納得できるものではなかった。むしろ居直りにすら聞こえるもので釈然としなかった。
「それじゃあ理由には」
「理由なんかどうでもいいんだよ」
 また言う正道だった。
「とにかく嫌いなんだからな」
「まあそれで音橋君がいいならいいけれど」
 流石に言っても駄目だとわかってこれでここは終わらせることにした千佳であった。
「感性なの」
「そうさ。感性って大事だろ?」
「それはそうだけれど」
 千佳もそれ自体は否定しなかった。
「それはね」
「だったらいいじゃねえか。他にも結構嫌いなのは多いけれどな」
「ふうん、そうなの」
「うちのクラスはいいけれどな」
 一年G組についても話した。
「ちょっとばかり騒がしいけれどな」
「ちょっとばかり?」
「大いにっていうのか?」
「言葉としてはその方があってると思うわ」
 何気に千佳も言うことは言う。
「やっぱり。かなり」
「結構そういう面子が多いからな」
「音橋君もそうよ」
「俺もかよ」
「ええ」
 やはり言う千佳であった。
「それは。やっぱり」
「そうか」
「そう思うわ。いつもギター持ってるし」
「何度も言うがこれは俺の命なんだよ」
 にやりと笑って述べた言葉であった。
「このギターがな」
「そうなんだ。それは変わらないのね」
「多分な。死ぬまでな」
 言いながらギターを見る。丹念に細かいところまで手入れされている。本当に大事にしているのもわかる。そうしたものを見ても彼の今の言葉が嘘ではないことがわかるのだった。
「これは外せないな」
「本当になのね」
「わかってくれたか。ところでな」
「ええ。ところで?」
「あそこの図書館に行ったらな」
 図書館についての話に移したのだった。
「何でもあるんだったよな」
「ええ、そうよ」
 こう答える千佳だった。
「何でもあるわ」
「そうか。それなら音楽の本もあるな」
 考える顔で述べた正道だった。
「楽譜とかもな」
「あると思うけれど」
 答えはするが今一つはっきりとしない正道への返事だった。
「それは見たことがないからはっきりと言えないけれど」
「そうか。まあ一回行ってみるかな」
「行ったらいいわ」
 千佳もそれを勧めた。
「悪い場所じゃないから」
「じゃあ今度行くさ」
「ええ。それじゃあ私はこれで」
「行くのか」
「行くわ。それじゃあまた学校でね」
「一曲聴いていかねえか?」
 千佳を呼び止めるようにしての言葉だった。
「よかったらな。どうだ?」
「一曲?」
「ああ、無理強いはしないけれどな」
 この言葉は前置きする。
「どうだ?一曲」
「そうね。一曲なら」
 少し考える顔になってから答えた千佳だった。
 
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