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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第七十三話 張遼、董卓を探すのことその七

「今のうちにね」
「そうしよか」
 こんな話をしてだ。そうしてであった。
 二人は宮中を見回った。無論董卓を探す為である。巨大な柱や豪奢な装飾で飾られた豪壮な美があるその中を回る。しかしだった。
 その中にはだ。探している相手はいなかった。全くだ。
 手掛かり一つない。その中でだ。
 張遼はだ。いぶかしむ顔でこう言うのであった。
「ひょっとしたらや」
「ひょっとしたら?」
「宮中に地下室とかないか?」
 そうではないかというのだ。
「それでそこから秘密の抜け道とかあってや」
「それでその先になのね」
「隠し扉とか誰も知らん牢獄とかあってや」
「姉様はそこにいる」
「そうなってるんちゃうか?」
 こう予想を言うのだった。
「ひょっとしたらな」
「そうね。可能性はあるわね」
 董白は考える顔で述べた。
「それもね」
「そやろ。そやったらや」
「そういう部屋探す?」
「そないしよか。色々とな」
「そうね。それじゃあ」
 こうしてだ。二人は今度は宮中の怪しい場所を虱潰しに探し回った。そうして色々な場所を見回った。しかしそれでもなのだった。
 見つかったものはなかった。全くだった。どの壁や扉を調べてもだ。無論床や天井も調べた。だがそれでも全く見つからなかった。
「あかんなあ」
「何もないわね」
「宮中には何もないんかいな」
「そうみたいね」
 董白は眉を顰めさせて述べた。
「残念だけれど」
「ほな月ちゃん何処におるんや」
「わからなくなってきたわね。後宮にはいないでしょうけれど」
 董白は言った。しかしだった。
 ここでだ。彼女は見落としていた。そうして話すのだった。
「結局宮中にはいないってことね」
「この都のどっかにはおるやろな」
「都ね。一件一件調べていく?」
「手間かかるなあ」
「けれどそれしかないわよ」
 董白もぼやく顔だがこう言うのだった。
「やっぱりね」
「そやな。今はな」
「そうしましょう」
 こうしてだった。彼等は都の怪しそうな空き家を調べたり手掛かりを探し回った。人がいる家もこっそりと調べたりした。しかしであった。
 手掛かり一つ見つからない。そしてその間にであった。
 賈駆がだ。彼女達を集めてこう言うのであった。
「今度はそれ」
「ええ、そうよ」
 賈駆は眉を顰めさせて呂布に答えた。
「そうなのよ。月の為に別邸を築くのよ」
「そんなのもうあるじゃない」
 董白が眉を顰めさせて言った。
「それも二つも凄いのが」
「もう一つ築くのよ」
 賈駆は眼鏡の奥の目を顰めさせて言い返した。
「そうするのよ」
「それまずいのです」
 陳宮も抗議混じりに反論する。
「これ以上何かを築いたら民が余計になのです」
「そや。もうええやろ」
 張遼も言う。
「建築とか。ちょっとは田畑や町に顔を向けんと」
「これ以上そんなことに金を使えるのか」
 華雄も同じ考えだ。
「都の財政が破綻するぞ」
「そのことだけれど」 
 都の財政についてはだ。賈駆はこう話した。
「あれよ。財貨を鋳造するわ」
「そうなのです」
「そう、鉄でね」
 これを聞いてだ。全員唖然となった。ただし呂布の表情は変わっていない。
 まずはだ。董白が言い返した。
「鉄!?そんなので造ったらそれこそ偽の銭が出回るわよ」
「そうだ、鉄は銅よりも遥かに多くしかも鋳造しやすいのだぞ」
 華雄もそのことを指摘する。
「鉄の貨幣なんてそれこそ」
「絶対にしてはならない」
「鉄は専売だから大丈夫よ」
 賈駆はバツの悪い顔でこう反論する。
「統制が効くから」
「絶対無理なのです」
 陳宮はまた言い返す。断言できることだった。
 
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