ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第73話:Counterpart
任務を終えてハンターベースに帰投している途中、ゼロは久しぶりにレプリフォースの友人であるカーネルと会った。
「カーネル、久しぶりだな」
「む?ゼロか…」
挨拶のためにカーネルに近づいてみると、見知らぬ少女型レプリロイドが彼の後ろにいるのを見付けた。
「そいつは誰だ?」
「ああ、ゼロと会うのははじめてだったな。ゼロ、私の妹のアイリスだ」
「よ、よろしくお願いしま…す…?」
そういえば、カーネルは元々1体のレプリロイドの半分から出来ていて、もう半分のパーツから出来た妹がいるということを聞いたことがあった。
カーネルに促されて、彼の後ろに隠れながら恐る恐る出てきたのはカーネルとは似ていない色恋沙汰に疎いゼロから見ても可愛らしいと思える容姿のレプリロイドだった。
しかし彼女はゼロを見ると何故か硬直した。
「おい、どうした?」
「アイリス?」
カーネルもアイリスの硬直を不思議に思ったのだろう。
疑問符を浮かべている。
「あ、すみません…あなたが私の友人に似ていたので…」
「友人?」
「はい。イレギュラーハンターであなたと同じ赤いアーマーの長い金髪の女性なんですけど…」
アイリスの言葉を聞いて、それに該当するレプリロイドはあいつしかいないだろう。
「ゼロ~」
背後からゼロに抱き着くルインだった。
噂をすればだ。
「ルイン、後ろから抱き着くのは止めろ」
「いいじゃん。私達親友でしょ?」
「人目を考えろ」
「いひゃいいひゃい!!」
ルインをひっぺがすと頬を容赦なく抓るゼロに涙目になるルインであった。
「うぅ…痛いよう…」
抓られた頬を擦るルインにゼロは深い溜め息を吐いた。
「お前の友人ってのはもしかしなくてもこいつか?」
親指でルインを指差すゼロ。
「は、はい…」
「ははは…アイリス、ゼロは見た目は怖いがいい奴だ。安心しろ」
「そりゃないだろ、カーネル…」
そう言われて、イレギュラーハンターはよく一般のレプリロイドに怖がられることがあるのを思い出した。
イレギュラー化をしたレプリロイドを処分する職業柄もあるのだろうが、イレギュラーと一緒に暴れ回る彼らをよく思わない人も少なくはない。
「それにしてもお前にも妹がいるとは知らなかったぞ。よく似ている」
カーネルがゼロとルインを見比べて2人を兄妹だと勘違いしたようだ。
「妹じゃねえ。こいつとはたまたま似ているだけだ。目の離せない後輩ってとこだ」
「ええ~、私はゼロのこと頼りになるお兄ちゃんのように思ってたんだけどな」
その言葉にゼロは目を見開いたが少しだけ微笑んで彼女の頭にポンと手を置いた。
頭を撫でられているルインもルインで嬉しそうにしている。
「ゼロ、ルイン」
「エックス、あそこにいたわ」
ゼロとルインを捜していたエックスとエイリアが、声をかけてくる。
「エックス…それにエイリアか?」
エックスと、そして今では完全にハンターベースに馴染んだ科学者兼臨時オペレーターのエイリアの姿にゼロは顔を向けた。
「彼は?」
カーネルに初めて会うエックスはゼロに尋ねるが、それよりも早くカーネルが答えた。
「私はレプリフォースのカーネルだ」
「カーネル…あのレプリフォースの…私は第17精鋭部隊隊長エックスです」
「あのエックスか…貴殿の武勇伝は聞き及んでいる。過去の大戦を鎮圧し、あのシグマを下したと。貴殿さえ良ければの話だが、是非手合わせしたいのだが」
「あら?丁度良いじゃない。新たに復元したサードアーマーの性能チェックも出来るし」
「感謝する。訓練所を借りるぞ」
「え?え!?」
訓練所に向かうカーネルに引っ張られていくエックスと、それを追い掛けるエイリア。
「…せめてエックスの了承を聞いてから連れていけよカーネル…」
「す、すみません…兄が…」
「まあ、大丈夫だろう。エックスもあいつみたいな性格のタイプはよく知っているしな。それよりもアイリス。こいつと友人だってことはこいつが確実に迷惑をかけているんだろうが、これからもこいつをよろしく頼むぞアイリス」
「は、はい」
「ちょっとゼロ!!何その言い方!!?寧ろ私がアイリスのお世話をしてるんだから!!」
「それは有り得ないな」
「酷い!!ゼロの馬鹿!!」
アイリスはゼロとルインの会話を見ながらゼロは思っていたよりも怖い人物ではないとほっとした。
せっかくなのでエックスとカーネルの模擬戦を見ていくことになった。
イレギュラーハンターが誇る第17精鋭部隊の隊長とレプリフォースが誇る陸軍士官の模擬戦にかなりのハンターが見物に来ていた。
「それではよろしくお願いします」
エックスはエイリアが再び復元したサードアーマーを身に纏い、特殊武器を幾つか装備する。
「お互い正々堂々と勝負しよう」
対するカーネルもまたビームサーベルを構え、エックスと相対する。
「それでは模擬戦開始!!」
エイリアが叫ぶとカーネルはビームサーベルを構えながらエックスに凄まじい速さで斬り掛かって来る。
「(速い!!)」
想像以上の速さに一瞬目を見開くが、エックスもこれと同等のスピードを持つレプリロイドと戦ったことがあるため、すぐに対応出来た。
「フロストシールド!!」
予めチャージしていたバスターを構え、チャージフロストシールドで氷の盾を出現させると、カーネルの斬撃を受け止める。
「むっ!?」
「トルネードファング!!」
盾で防いで、素早く次の行動に移行するエックス。
チャージトルネードファングでバスターを大型ドリルに変形させるとカーネルに突き出す。
「チッ!!」
しかしカーネルも虚を突かれたとは言え簡単に喰らってくれるはずもなく、サーベルでドリルを受け止める。
「う…おおおお!!!」
「ぬうううう!!!」
力比べの状態になるが、どちらも負けていない。
「凄い、フルアーマー状態のエックスと互角なんて」
「レプリフォースの陸軍士官で最高司令官のジェネラルに次ぐ実力者だからな。あれくらいは出来て当然だ」
力比べでは埒が空かないと判断したエックスは距離を取り、バスターを構えた。
「でやあ!!」
カーネルに向けて放たれるチャージショット。
しかし弾速が遅いためにサーベルで簡単に斬り裂かれて余裕で対処されてしまう。
「この程度で…何!?」
カーネルがエックスの方を向いた時には既にもう1発のチャージショットが放たれていた。
「ダブルチャージだ!!」
時間差で放たれたチャージショットは見事にカーネルに直撃する。
復元されたサードアーマーはクロスチャージショットを放つ機能こそは失ったが、ダブルチャージは放てるために射撃型故に追撃を苦手とするエックスの弱点を多少補える点は変わっていない。
「トライアードサンダー!!」
エックスがチャージトライアードサンダーの拳を地面に叩き付けると電撃が地を走り、カーネルに迫る。
「グランドクラッシュ!!」
対するカーネルもサーベルによる衝撃波を繰り出して反撃すると、電撃と衝撃波が激突し、威力は互角だったのか相殺される。
「凄い、兄さんと互角に戦えるなんて…やっぱりエックスさんは凄いんですね」
「うん、今回の特殊武器を近接戦闘でも扱える物にしてるのもあるんだろうけどね」
「よし、サードアーマーの調子は良さそうね。完全に復元出来なかったのは不満だけどそれでも実戦での投入は問題無さそうだわ」
「生き生きしてるなエイリア…」
科学者であるためか戦闘に出しても問題ない代物が出来て嬉しいのだろう。
普段は知的で物静かな彼女の目が嬉しそうに輝いている。
彼女は普段、如何にも仕事が出来る女性で異性を寄せ付ける雰囲気がないが、こういう表情や微笑を浮かべた時は余程の鈍感でない限り男性なら目を引く程である。
その証拠に周りの男性型のハンター達の視線が釘付けである。
「なあ、相棒。俺はな…第17部隊に配属されて心から良かったと思うよ。女性隊員は少なくてむさ苦しいけど、ルイン副隊長や臨時オペレーターとは言えエイリアさんのレベルは滅茶苦茶高いしな…」
「ああ、全くだ。あのレベルの高さを他の女性隊員も見習って欲しい位だぜ」
【あんた達、もう一度表に出な】
女性隊員に引き摺られていく男性隊員達。
【でぇえええええやあああああうぅぅぅっ!!!】
途中の断末魔は聞かなかったことにしよう。
模擬戦の結果は引き分けに終わった。
カーネルは満足そうにアイリスを伴って帰っていき、そしてゼロとアイリスの邂逅、エックスとカーネルの模擬戦からしばらくしてアイリスはハンターベース本部にいた。
アイリスの研修場所である。
「(うぅ……。緊張するなぁ……)」
せめて配属先がルインのいる部隊であるようにと願いながら、アイリスは足を動かした。
そしてアイリスの願い通り、研修の配属先はルインのいる第17精鋭部隊であった。
「レプリフォースから研修生としてやって来たアイリスです。今日からお世話になります。至らない点も多々ありますが、これからよろしくお願いします!!」
勢いに乗せて全部言うと、アイリスは深くお辞儀した。
そうして頭を下げていると、誰かが近づいてきて、そっと手を差し出した。
それにアイリスも自分の手を重ね返し、ゆっくり視線と頭を元の位置に戻していくと親友の姿があった。
「こちらこそ、私は第17精鋭部隊副隊長のルインです。今日からよろしくお願いしますねアイリス」
「…………」
普段のぽややんとした雰囲気は無く、凛とした声と兄と同じように上に立つ者の威厳を持った親友に目を見開いた。
「…アイリス?」
硬直しているアイリスに疑問符を浮かべるルイン。
「あ、す、すみません。ルイン副隊長」
慌てて手を握り返すアイリスにディザイアが苦笑しながら歩み寄る。
「緊張するのも仕方がありませんよ副隊長。彼女にとってここは初めて訪れる場所なんですから」
「あ、あの…あなたは……?」
「これは失礼しました。私は第17精鋭部隊に所属しているディザイアと申します。ハンターランクはA級。以後お見知りおきを、アイリスさん」
「ディザイア…“希望”ですか、素敵なお名前ですね」
ディザイアの紳士的な対応に安心したアイリスは彼の名前の意味に気づき、褒めた。
「ふふふ…何だか照れますね…ありがとうございますアイリスさん。」
照れ隠しに微笑むディザイアにアイリスも微笑んだ。
他の隊員達もディザイアに続くようにアイリスの元へやって来て、次々と手が差し出された。
予想外の友好的な歓迎に、アイリスはすっかり面食らってしまった。
パンッ!!
強く手を叩く音が響いた。
振り返ると音の発生源はルインであった。
「あなた達、彼女への質問なら後にして、今から戦闘訓練をしますから戦闘員は今すぐトレーニングルームに向かうように」
【了解!!】
ルインが言うと戦闘員達は敬礼し、何事も無かったかのようにトレーニングルームに向かいだした。
「(す、凄い…)」
これにはアイリスも唖然とした。
時々レプリフォースでカーネルの訓練を見学していたことがあり、その時に見た兄の統率力にも驚かされたが、ルインの統率力にも凛とした力強さが感じられた。
「(ルインって凄いんだ…そうよね…あのエックス隊長やゼロさんと対等の人だし…)」
副隊長のルインがこれなら隊長のエックスは…。
「(あれ?)」
そういえばエックスの姿が影も形も見当たらない。
アイリスはディザイアに尋ねる。
「あの…エックス隊長はどちらに?」
「エックス隊長ですか?エックス隊長ならエイリアさんの元でアーマーの機能チェックをしていますよ。上手く行けば更にエックス隊長の戦闘力が高まりますからね。」
「エイリアさん…あの人は科学者レプリロイド…なんですよね?」
「ええ、彼女は高い情報処理能力をケイン氏に買われて有事の際は臨時オペレーターとして配属されます。科学者としても非常に優秀でケイン氏やドップラー氏でも難航したエックス隊長の強化アーマーの復元まで可能とする程です」
「そ、そんな人が…やっぱり精鋭部隊なだけあるんですね…」
ひょっとしたら自分はとんでもない部隊に配属されてしまったのかと不安を抱いた。
そしてハンターベースのトレーニングルームで隊長代理となっているルインの指揮の元、激しい戦闘訓練が始まっていた。
「横の回避ばかり使わないの!!いい加減、縦の回避も覚えて!!ジャンプやローリング、一時停止なり減速なりバックステップでもいいしスライディングでもいい。回避パターンを敵に読まれると戦場では確実に死ぬよ!!」
「は、はい!!」
「ギ、ギブアップ…」
「そこ!!」
「は、はい!!」
音を上げはじめた隊員にルインの怒声が上がる。
「イレギュラーがそんなこと認めると思う?動きを止めた瞬間に嬲り殺されるよ………死にたくないなら生き残る術を磨いて、君自身の為にもね。」
「わ、分かりました…」
「そしてディザイア、君はもう少し攻撃の手数を増やした方がいい。サーベルの出力に頼っている部分があるからね。サーベルのリーチを活かした連続突きとかも使えるようになって」
「分かりました。」
アイリスは普段のルインからは考えられないくらい厳しい指導に目を見開いていた。
それから1週間が経過し、アイリスはルインから与えられた課題を次々と卒なくこなすと、瞬く間にハンターベースでも一目置かれる存在となった。
しかしこの頃、他の部隊でも慌しい様子が目立ってきて、何かあると感じずにはいられなかった。
やがてアイリスの耳にも、ある事件の話が飛び込んできた。
イレイズ現象。
レプリロイドのプログラムが突然消滅し動かなくなる事件が起きたというのだ。
前例の無い事態に、ハンター側も手を焼いているという。
原因不明のため予防処置も、既にイレイズしたレプリロイドの修復処置も出来ない状態で、そのうちシグマのせいではないかという噂まで流れ始めた。
アイリスは早期解決をただただ祈るばかりで、今日も大分慣れてきた足取りで、部隊へと向かう。
「アイリス」
「ルイン副隊長、おはようございます」
部屋に入るなり、ルインがアイリスの元へ歩み寄る。
「ついさっき上層部から連絡があって、アイリスにはある特別チームに入ってもらいたいの」
「特別チーム……?」
「うん、私も詳しくは聞かされなかったんだけど、とにかく急いでブリーフィングルームに行ってくれないかな?」
「は、はい、分かりました」
アイリスは返事するなり部屋を飛び出した。
ブリーフィングルームの扉の前に着いたルインとアイリスはブリーフィングルームに入ると既にエックスとゼロがいた。
「遅いぞ」
「ごめんごめん。ところで何なの?」
「ルインもアイリスも知っていると思うけど…」
エックス達はアイリス達を部屋の中央まで招き寄せると、傍にあったコンピューターの電源を入れた。
モニターに、巨大な研究所を有した島の映像が流される。
「プログラムが消滅して機能停止する、イレイズ現象。」
「なるほど、ラグズランド…あそこでイレイズ現象が起こってるんだね?」
「そうだ。俺とエックスとルイン、そしてアイリスの4人のチームだ」
「わ、私がですか!?エイリアさんじゃなくて研修生の私が!?」
自分を指差しながら言うアイリスにゼロは肯定の意味で頷いた。
「そうだ。お前の噂は俺の部隊にも届いている。的確なオペレートで作戦の成功に貢献しているってな。今回も頼むぞ」
「ええ…?」
自分は普通に与えられた課題をこなしていただけだというのに…。
「私、研修生なんですけど…?」
「研修生とか関係ないよ。君がハンターベースのオペレーターより優秀だから上層部から指名を受けたんだ。しっかりしなさいアイリス。」
「は、はい…」
仕事モードのルインに咎められたアイリスは俯く。
エックス達はイレイズ現象が発生したことにより、無人となったラグズランド島はすっかり生きている音を失っていた。
「静かだね。」
「ああ、だが静かでやかましくない島。そんなのもいいかもな」
「前に研修で来た時はもっと賑やかだったんだけどね」
「まあ、とにかく。あいつが関係してるのは間違いないね」
ルインが近くに落ちていた破片を拾うと全員に見せる。
「これは…!!」
「あいつの…シグマのエンブレムか…」
ゼロの口から出たその名に、アイリスの背中にも冷たいものが走った。
「アイリス、ハンターベースにこれの画像を送って詳しい解析をお願い」
「分かりました…………画像データ転送は完了しました。一応解析出来ることは出来ますが……詳しいことは帰ってからじゃないと分かりそうにないですね」
「それでいいよ。」
「とにかく、街を調査してみよう。何か分かるかもしれない。」
「ああ」
エックス、ルイン、ゼロの3人が街に向かって歩き出したので、アイリスも慌てて追い掛けた。
しばらく歩いて街に着いたエックス達は機能停止しているレプリロイド達を調べていた。
「本当に機能停止してるんだ…」
「ボディにも外傷はないな」
「やはりウィルスだろうか?」
「アイリス、どうだ?」
「駄目です。何もかも消されていて…」
「そうか…」
全員が落胆した時、ルインはある場所を見つめた。
「あれ?」
「ルイン?」
「何か、遠くで見覚えのある奴がいたような」
「もしかしてイレギュラーですか?」
「イレギュラーだと?なるほど、そいつを捕まえて調べた方が良さそうだなエックス」
「ああ、アイリス。下がっているんだ」
アイリスを庇うように3人が武器を構えた瞬間に、かつての大戦でエックス達が倒したイレギュラー達が押し寄せてきた。
「何だと!?」
「馬鹿な…俺達が倒したイレギュラーが何故活動しているんだ!?」
「来るよ!!」
ゼロとエックス、ルインはそれぞれの武器を構えてイレギュラーを迎撃する。
幸いにして大して強力なイレギュラーはおらず、あまり時間をかけずに殲滅出来た。
「全くどうなってるの?倒したはずのイレギュラーが復活するなんて…こいつらはシグマお得意のデッドコピーでもなさそうだし…」
「とにかく、こいつらを回収して解析してみるしかないだろう」
ゼロは斬り伏せたイレギュラーを見遣りながら言う。
「うん、そうだね。イレギュラーの残骸を調べれば何か分かるかもしれないしね」
「そうですね、解析してみればきっと色々分かると思います。でも本格的な解析が必要なので、本部に戻ってからでないと出来ません……」
「それじゃあ一度ハンターベースに戻ろう」
「そうだね。これ以上ここにいても何も見つかりそうにないし、ソニアもお腹空かせてるだろうしね。」
エックスが提案すると、ルインも賛同した。
「アイリスはどうだ?」
「はい、私もその方がいいと思います」
ゼロとアイリスもそれに異存はなかったので、ハンターベースに帰還することにした。
そしてハンターベースに帰還するとイレギュラーの解析を開始し、帰還してからアイリスは休まず解析を続けていた。
「どうだ?」
様子を見に来たゼロがアイリスに尋ねて来た。
「あ、ゼロ隊長。まだまだ解析には時間がかかります。」
「そうか…差し入れだ」
ゼロはアイリスにハンターベースの購買の紙袋を渡す。
アイリスは紙袋を開け、中を見るとアイリスが好んで飲むカフェオレとサンドイッチ等の軽食が入っていた。
「あ、ありがとうございます…」
「ああ、まあ…俺達レプリロイドには気休め程度にしかならないだろうが」
ゼロも持参してきた飲み物を口に含む。
飲み物はゼロもアイリスと同じカフェオレだ。
「ゼロ隊長、甘い物がお好きなんですか?」
「いや、昔はそんなに好きではなかった。だが一度大破してボディが別物になったせいか味覚が変わったのかもしれん」
「はあ…」
「アイリス、その隊長と敬語は止めろ」
「え?でも…」
「そういうのは苦手でな。エックスにもルインに対しても敬語はいらない。それ以前にお前とルインは友人だろう。何故友人相手に敬語を使う?」
「あ…その…勤務中のルインはなんか怖くて…」
「今は同じチームで仲間だ。仲間同士敬語は必要ない。現にあいつだって普段通りだろう。」
「仲間…そう、よね……仲間だものね…これからよろしくねゼロ。」
「ああ」
こうしてエックス達は仲間として互いに協力しあい、この事件を解決するのであった。
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