ロックマンX~Vermilion Warrior~
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第56話:Berserker
ナイトメアポリスによるハンターベース襲撃から数日後、とある海域で大型輸送船が真っ二つされて沈没すると言う事件が起きた。
それから更に3ヶ月後のガンダ造船所。
世界有数の規模を誇るこの造船所で異変が起きており、それを感知したイレギュラーハンターは出撃した。
「アースクラッシュ!!」
造船所の一角でゼロが1人でドップラーの部下を相手取っていた。
「さて、まだやるか?」
ゼロの元にドップラー軍団のメカニロイドとレプリロイドが集まっていく。
「そう、相手は俺だ…(頼んだぞエックス)」
ゼロは自ら囮となって音信不通となった造船所の調査にエックスが向かった。
エックスはハイパワーエンジンをライドアーマー・キメラに取り付けることで潜水能力を持たせたフロッグで水中を移動していた。
そして造船所の壁に穴を開けて潜入すると、造船所の中にもドップラーの部下がいることに気付く。
「ドップラーの部下がここにもいると言うことはケイン博士が送った調査隊もやられてしまったかもしれないな。」
巨大戦艦の船底辺りをゆっくりと移動していくが、エックスの視界にあるものが目に入った。
「あれはこの造船所の作業員とケイン博士が送った調査隊じゃないか!!」
「進水式の生け贄だ~っ!!働いている人間も連れて来~い!!海を真っ赤に染めようぜっ!!」
上から聞こえてきた声にエックスは表情を顰める。
「進水式の…生け贄だと!?止めろっ!!」
水上に飛び出すと、この造船所を占拠したイレギュラーの指揮官らしき者の姿があった。
「むう?ひゃーはははっ!!こいつぁ、とびっきりの生け贄だぜっ!!」
「シザーズ・シュリンプァー!!3ヶ月前に脱走してこんな所にいたのか!!」
「勝手に造られ、勝手に殺されてたまるか!!俺はまだこの鋏を使っちゃいねえ!!俺は斬りまくるぜぇっ!!レプリロイドだけじゃねえ!!人間もだ!!生の肉を斬り裂いて思う存分この鋏に吸わせてやるのさ!!」
「う……」
シュリンプァーの狂気に気圧されるエックス。
「だから邪魔すんなよ~っ!!」
そんなエックスにシュリンプァーは両腕の鋏を向けて発射し、フロッグを破壊する。
「うわっ!?」
フロッグを破壊されたエックスは水中に落ち、シュリンプァーも飛び込んでエックスを鋏で掴む。
「ぐあっ!!」
「さあ、捕まえた~っ!!じたばたしなっ!!じたばたよ~っ!!」
「うっ、くっ…!!」
何とかエックスは脱出しようともがくものの、体に鋏の刃が食い込んでいく。
「暴れろ、もがけぇ、お前が動く度に鋏は確実にお前に食い込んでいくんだよぉ」
「(何か手はないのか…このままでは…)」
船底の砲台が視界に入ると、エックスはバスターを構える。
「実装されていてくれ!!パラスティックボム!!」
砲台が実装されていることを願いながらホーネックの特殊武器であるパラスティックボムを発射する。
どうやら実装されていたようで、爆弾の爆発によって誘爆を起こした。
「砲台の実弾を誘爆させて激流を作りやがったーっ!!」
両者共に吹き飛ばされるが、何とかエックスはシュリンプァーの鋏から脱出出来た。
「実弾の装備が早過ぎたな」
「よくも俺の戦艦に傷を付けてくれたな~!!」
「お前は罪のない者達を殺していただろう!!」
戦艦を傷付けられたことに怒るシュリンプァーだが、エックスもまた罪のない者を殺してきたシュリンプァーに怒る。
「当ー然!!!俺はその為に造られたんだーっ!!」
「その考えが間違ってるんだ!!だから廃棄されるんだ!!」
バスターを構えてチャージショットを撃とうとするが、フルチャージにも関わらずに通常のショットが放たれた。
「っ!しまった、バスターに水中戦用の調整が…!!」
「準備不足だな!!まあ、水中じゃ構えるにも時間を食う!!フルチャージでも軽く避けられるけどなぁっ!!」
「ぐああああっ!!」
「そ~れ!!反撃しねぇのか~っ!!」
鋏で突かれ、仰け反るエックスにシュリンプァーは尻尾を叩き付けて吹き飛ばして壁に激突させた。
頭から激突したエックスにシュリンプァーは鋏を構えてエックスに襲いかかる。
「これでお開きにしてやらぁ~っ!!」
鋏が当たる直前に体を動かしてかわすと、鋏が壁に減り込む。
「まだ終わるわけにはいかないんだ」
「てめえ、ちょっと生意気だぜぇ~っ!!!」
「このままやられてたまるか!!今の俺に必要なのは水中での機動力!!ならばまだ手はある!!」
エックスは泳いで破壊されたフロッグの元に向かい、近くにある物を持ち上げる。
「今更そんなスクラップに何が出来る!!纏めて斬り刻んでやる!!」
「それはどうかな?確かにフロッグは使えないが…これならまだ使えるぞ!!」
フロッグの特徴と呼べるハイパワーエンジンを起動させ、それに乗ることでエックスは水中での機動力を確保する。
「それはフロッグのエンジンか!?」
「そうだ。ライドアーマーを水中でも運用出来るようにする為のハイパワーエンジンだ!!これでバランスも機動力も補える!!」
「付け焼き刃ぁ~っ!!!」
エックスに向けて鋏を発射するものの、エックスはエンジンを動かすことで方向を変えて回避する。
「シュリンプァー!お前の攻撃は見切った!!今度はこちらの番だ!!」
エンジンを噴かしてエックスはシュリンプァーに接近する。
「馬鹿野郎!!俺は殺戮用レプリロイドだ!!殺られんのはおめえの方なんだよ!!俺じゃねぇ!!」
「いや!!殺られるのは貴様だっ!!」
バスターよりも威力があるルインのZXセイバーでシュリンプァーの左肩を斬り裂き、そしてエンジンに内蔵されている誘導魚雷を発射して左肩を完全に破壊する。
「うぐぐぐぐ、この野郎っこの野郎っ!!ぶっち殺す!!!」
「これは…戦艦が動き出している!?」
シュリンプァーが戦艦に指示を流して戦艦を起動させるとエックスは巻き込まれないうちに脱出する。
外に出ると戦艦が動き出しており、甲板にはシュリンプァーの姿も見え、エックスはこの最悪の状況での戦いを強いられることになる。
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