レーヴァティン
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第九十四話 モンスター退治からその六
「それだけ集めるか」
「今度は」
「そうしような、あとな」
ここで難しい顔になってだ、久志はこうも言った。
「今勢力圏が拡大してな」
「それでっていうのね」
「俺達十三人とローマの行政機構だけじゃ統治に限界が見えてきたな」
このこともだ、久志は気付いていた。
それでだ、こう言ったのだ。
「だからな」
「ここは」
「ああ、もっと大きな統治システム築くか」
これが久志が今考えていることだった。
「そうするか」
「そうね、私から見てもね」
「今の統治システムじゃ限界があるだろ」
「政も軍もね」
その両方がというのだ。
「どうしてもね」
「そうだよな、じゃあな」
「それをね」
「整えるか、モンスターの出現もぐっと減って今のところ戦もない」
政が十分に出来る状況だからというのだ。
「だったらな」
「今のうちに」
「ちゃんと政治システムも整えておくか」
「そうしていくのね」
「ああ、まず俺が国家元首だな」
国家の軸になるそれだというのだ。
「護民官だしな」
「他に誰がいるんだ?」
芳直はかえってそのことを聞き返した。
「俺っち達の中でもリーダーだしな」
「護民官でか」
「しかもこの世界を救うんだろ」
「だからレーヴァティンを抜けて使えてるな」
「だったらな」
それならというのだ。
「もうな」
「俺しかいないか」
「そうなるだろ」
「そうだな、それじゃあ俺が国家元首、護民官でな」
「護民官の権限は強くするな」
「そうしていくな、人事権とかも握ってな」
これもというのだ。
「官僚機構もしっかりするな」
「それぞれの分野の統治をする様にするね」
淳二もこのことを尋ねた。
「そうだね」
「ああ、財政とか軍事とか建築とかな」
「各分野でね」
「今の日本っていうか大日本帝国か」
「あの頃の日本の統治システムだね」
「それでいくか、あの頃の日本は陛下に主権があったけれどな」
「その実はね」
明治から昭和に十年までの日本はどうだったのかとだ、淳二も知っていて話す。
「親政じゃなかったからね」
「立憲君主制だったしな」
「それはね」
「ああ、俺が政もやるしな」
「そこは違うね」
「俺自ら政も執ってな」
親政の様にというのだ。
「それでな」
「さらにだね」
「ああ、軍勢を率いて戦場にも出るからな」
「明治の頃の日本そのままじゃないね」
「システムはモデルにしてもな」
「そうだね、けれどだね」
「教育とか治安とか産業とかな」
「それぞれの分野を対象にした省庁を設けて」
淳二はさらに言った。
「大臣も決めようね」
「ああ、ピラミッド型にしていくな」
当然どの頂上には国家元首である久志がいるしそのすぐ下に十二人もいる。そうした風にしていくというのだ。
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